善いことをしたならば安心しておれ(ウダーナヴァルガその2)
本日もパーリ語仏典「ウダーナヴァルガ」現代語訳から、
忘れがたい言葉のメモです。
いっぱい並べすぎましたが、
一句ずつかみしめて頂ければと思います。
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第8章 ことば
3
人が生まれたときには、実に口の中に斧が生じている。
ひとは悪口を語って、その斧によって自分自身を斬るのである。
9
すでに(他人が)悪いことばを発したならば、
(言い返すために)それをさらに口にするな。
(同じような悪口を)口にするならば悩まされる。
聖者はこのように悪いことばを発することはない。
愚かな者どもが(悪いことばを)発するからである。
10
口をつつしみ、ゆっくりと語り、心が浮つかないで、
事柄と真理とを説く修行僧ーーかれの説くところは優しく甘美である。
第11章 道の人
1
勇敢に流れを断て。諸の欲望をきっぱりと去れ。
諸の欲望を捨てなければ、聖者は一体に達することができない。
第14章 憎しみ
15
旅に出て、もしも自分にひとしい者に出会わなかったら、
むしろきっぱりと独りで行け。
愚かな者を道連れにしてはならぬ。
第16章
3
起て、つとめよ。自分のよりどころをつくれ。
鍛冶工が銀の汚れを取り去るように、自分の汚れを取り去れ。
汚れをはらい、罪過(つみとが)がなければ、
汝らはもはや生と老いとを受けないであろう。
4
恥じなくてよいことを恥じ、恥ずべきことを恥じないで、
恐ろしくないことを恐れ、恐ろしいことを恐れない人々は
邪(よこしま)な見解を抱いて、悪いところ(地獄)におもむく。
第26章
1
亀が諸の肢体(首と四肢と尾と)を自分の中にひっこめるように、
自分の粗雑な思考をおさめとり、何ものにも依存することなく、
他人を悩ますことなく、束縛の覆いを完くときほごして、なんびとをも謗るな。
第27章
1
他人の過失は見やすいけれども、自分の過失は見がたい。
ひとは他人の過失を籾殻のように吹き散らす。
しかしこの人も自分の過失は隠してしまう。
狡猾な賭博師が不利なサイの目を隠してしまうように。
15
世の中は泡沫(うたかた)のごとしと見よ。
世の中はかげろうのごとしと見よ。
世の中をこのように観ずる人は、死王もかれを見ることがない。
第28章
13
人は他人を浄めることができない。
もしもその他人が内的に心のはたらきが浄らかでないならば、
金剛石が宝石を磨くように他人を練磨すること(はできない)。
31
この世で善いことをしたならば、安心しておれ。
その善いことが、ずっと昔にしたことだとか、遠いところでしたことであっても、
安心するがよい。
人に知られずにしたことであっても、安心しておれ。
それの果報があるのだから、安心しておれ。
『ブッダ 真理のことば 感興のことば』(岩波文庫 中村元訳)
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お釈迦さま、ありがとう! 中村元先生、ありがとう!