愛するものをつくってはならぬ(ウダーナヴァルガ 1)
本日は「ダンマパダ」と同じ文庫本に入っている
「ウダーナヴァルガ」の中から覚えておきたい詩のメモです。
『ブッダの 真理のことば 感興のことば』(岩波文庫 中村元訳)の
「 感興のことば」のほう。
昔はひろく読誦されたらしいけれど、
今では一般にあまり知られていないそうです。
「ダンマパダ」と重なる詩も多く、
「ウダーナヴァルガ」も名言の宝庫なんです。
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第1章 無常
43
「わたしはこれをなしとげた。
これをしたならばこれをしなければならないであろう。」
というふうに、あくせくしている人々を、老いと死が粉砕する。
第3章 愛執
4
恣(ほしいまま)のふるまいをする人には、愛執が蔓草のようにはびこる。
林のなかで猿が果実(このみ)を探し求めるように、
かれは(この世からかの世へと)あちこちにさまよう。
第4章 はげみ
22
たといためになることを数多く語るにしても、
それを実行しないならば、その人は怠っているのである。
牛飼いが他人の牛を数えているようなものである。
かれは修行者の部類には入らない。
23
たといためになることを少ししか語らないにしても、
理法にしたがって実践し、情欲と怒りと迷妄とを捨てたならば
その人は修行者の部類に入る。
第5章 愛するもの
8
それ故に、愛するものをつくってはならぬ。
愛するものであるということはわざわいである。
愛するものも憎むものも存在しない人々には、わずらいの絆は存在しない。
18
どの方向に心でさがし求めてみても、自分より愛しいものをどこにも見出さなかった。
そのように、他人にとってもそれぞれ自己がいとしいのである。
それ故に、自分のために他人を害してはならぬ。
19
すべての者は暴力におびえている。すべての(生き物)にとって生命が愛しい。
己(おの)が身にひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。
25
他人に愛される人は、また自分のためにもよいことをするのである。
この世では人々にほめたたえられ、死後には天上に生まれる。
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ビジネス系自己啓発本などを見ると、
目標を決めて達成したら次の目標を決めて、というのが良しとされますが
1章43「『わたしはこれをなしとげた。
これをしたならばこれをしなければならないであろう。』
というふうに、あくせくしている人々を、老いと死が粉砕する」
という詩を思い出します。
5章8「愛するものをつくってはならぬ」。うくく・・・。
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