なにがなんでも極楽へ行く!(京都大原・三千院・阿弥陀三尊像)
(京都寺めぐりメモ、その3)
大原といえば三千院。20年ぶりに再訪しました。
広い敷地の中にいくつものお堂や庭があって、
よく手入れされた紅葉や苔が青々としていて、
1日中でも居座りたくなる素敵なお寺です。
往生極楽院にある阿弥陀三尊像(国宝)もとても面白いものでした。
特に、脇侍である観音菩薩と勢至菩薩が「大和坐り」という
珍しいポーズをとっています。
大和坐りは、正座より足を少し開いてお尻をペタンとついた状態から、
少し腰を浮かせて前かがみになった姿勢です。
これは、亡くなった人を浄土にお迎えに行くときに、
「さぁ迎えに行こか、よっこらしょ」と立ち上がろうとする、
その「よっ」の瞬間ですわ、というのがお坊さんの説明でした。
勢至菩薩は合掌、観音菩薩は往生者を蓮台に乗せるポーズ、
中央の阿弥陀如来の手は「来迎印」という印相を結んでいます
(生前の行いによって人は9つのクラスに分けられるのですが、
写真を見ると下から3番目を表す下品上生印みたいです。
9クラスの、あの世での待遇の違いについては
http://ameblo.jp/nibbaana/entry-10518085795.html
)
この阿弥陀三尊像は、「極楽に連れていくよ」ということを
全身でアピールしているわけですね。
(奈良・白毫寺の阿弥陀三尊像も、この来迎形式らしいです)
さらに、赤外線で調べてたところ、
お堂の中には三千体の仏がびっしりと描かれていたそうです。
お堂のわりに仏像が大きいので、天井が船底型なのですが、
その天井にも極彩色で極楽浄土の様子が描いてありました。
空を舞う天女や菩薩たちが描かれたその天井画は、
復元されて三千院内の「円融蔵」に展示されています。
つまり、この小ぶりなお堂の中は、
これでもかこれでもかという極楽づくしなのでした。
なんとしてでも極楽に行くぞという執念を感じましたね。
また説明してくれるお坊さんが落語家みたいな人でして。
「この阿弥陀さまは、あの世でお世話になる方です。
ただし極楽は完全予約制です。予約すれば必ず行けます。
必ず枕元に仏さんがお迎えに来てくださります。
よーくお願いしといてください」と言っていました。
たぶん、このお堂ができた当時も、
信者にこんなふうな説明をしていたんじゃないかな。
理屈もへったくれもない往生願望の強力さを実感しました。
三千院
http://www.sanzenin.or.jp/

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