禅僧・南直哉さんに惚れた(サンガジャパンvol.5  その2) | 釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~

禅僧・南直哉さんに惚れた(サンガジャパンvol.5  その2)

前回の続きで『サンガジャパンvol.5』についてです。
南直哉(みなみじきさい)さんという曹洞宗のお坊さんをご存知
でしょうか?


今回『vol.5』で一番強烈だったのは、南さんと宮崎哲哉さんの対談でした。


南直哉さん(1958年生まれ)はサラリーマンを経て

25歳かそのぐらいで出家得度します。
子どもの頃から、「死」ということに異常に取り付かれて、
自殺か発狂かという瀬戸際で、藁にもすがる思いで出家したそうです。
あの永平寺で20年近く修行して、福井県の寺や恐山菩提寺で住職をされています。


釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~  直哉さん
めちゃくちゃスリム


印象に残った南さんの言葉をいくつか勝手に紹介します。


「仏教の聖なるものって、薄情とか非情なものですよ。
良いものではない。仏教者として僕が理解する仏教の
聖というのは、その暴き出す力、視点です。
これは、ある種の人間にとっては強烈な救いなんですよ」


「僕がどうして出家して生きるほうにチップをはったかというと、
あれほど苦しんであそこまでのことを言ったブッダが、
自殺しないで生きている、ということが理由です」


「(ブッダは)あんなことをずーっと言い続けて、
『苦しかったろうな、生きてること自体が。
80年、いいことなかっただろうな』と思います」


「それまで僕はずっと独房にいたような感じだったのが、
(諸行無常という言葉を知ったときに)
『あ、おれは一人じゃない。おんなじことを思ってたやつが
世の中にいたんだ』と救われた」


そして、お2人はお釈迦さまの教えを、「劇薬」「濃硫酸をぶっかける」と表現し、
意味も無意味も自己も解体しつくされることが
「ものすごい痛みを伴うけど、ものすごい解放感」だと言います。


南さんのことを私はよく知らなかったのですが、
人としてすごく信頼が置けるなあと思いました。
だって、鬼の永平寺で20年近く修行していながら、
いまだに平安そうじゃないんですもの。

やはり道は遠く険しいのだなあ。
これから南さんの本も読んでみようと思いました。


ちなみに、今出ている『考える人』(新潮社)の仏教特集で
南さんと作家の高村薫さんの対談も読みましたが、
『サンガジャパン』のほうがヒリヒリしていて面白かったです。


宮崎さんは、お釈迦さまの教えが「劇薬」であるとふれまわって、
ずいぶん周りに嫌がられたそうです。
「ホッとする仏教」「癒される仏教」とか言っといたほうが
ウケがいいんでしょうかね。
お嬢ちゃん、仏陀に近寄ると火傷するぜ、というぐらいの
濃硫酸ぶっかけだと私も思いますけどね。

釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~

      語る禅僧 (ちくま文庫)




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