勝新ぐらい濃い人が500人(秘蔵「五百羅漢」展)
増上寺にある「五百羅漢図」全100幅が、
初めて一挙公開されるということで、話題になっています。
震災で延期されていたのが、今日、4月29日から始まりました。
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http://500rakan.exhn.jp/
法然上人八百年御忌奉賛 特別展
「五百羅漢―増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信」
会期 平成23年(2011)4月29日(金・祝)~ 7月3日(日)
会場 東京都江戸東京博物館 1階展示室
東京都墨田区横網1-4-1
出品作品:(すべて狩野一信)
「五百羅漢図」全100幅(増上寺蔵)
「釈迦普賢文殊四天王十大弟子図」、
「十六羅漢図」(成田山新勝寺蔵)
「五百羅漢図」彩色下絵50幅のうちの10幅(東京国立博物館蔵) ほか
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洋画の影響も見られる幕末の絵師・マニアしか知らない狩野一信の作
ということで、美術史的にはたいへん価値があるそうです。
羅漢とは、サンスクリット語のअर्हत्アルハット=阿羅漢のことです。
修行者が到達した最高の位で、煩悩を焼き尽くしたはずなのですが、
狩野一信の絵は、ひたすらに濃い。眉も剛毛である。
勝新太郎あるいは日系ブラジル人のような肉食系の羅漢さんたちが、
地獄に堕ちた民をレーザー光線で救おうとしていたり、
脳天からピューッと水を出して神通力を見せていたり、
顔の皮をベリッと剥いで中に不動明王がいたり、
これでもかこれでもかと活劇を見せる500人なのです。
1993年の『芸術新潮』で「悪趣味のパワー」という特集があって、
日光東照宮とか目黒雅叙園とかヴェルサイユ宮殿を取り上げていた記憶が
ありますが、あの仲間に入る隙間恐怖のような濃さと執念を感じます。
なぜ500人かというと、
お釈迦さま入滅後、王舎城(ラージャグリハ)郊外に500人の比丘が集まって、
はじめて結集(仏典編纂会議)が開かれたという伝承にもとづいています。
美術史的に価値ある「五百羅漢図」は、仏教的にはどうなのでしょうか?
というか、仏画ではないんでしょうね。
仏画って、きっちりと図像的なお約束があって、
「狩野派あたりからそれを踏み外していて全然教養がない」と
仏教美術の某先生が言ってましたが、その末裔の狩野一信さんですからね。
何はともあれ、100幅も並ぶと圧倒されるのは間違いないでしょう。
「時間があれば行く」ぐらいの気持ちですが、
とりあえず5月7日のテレビ「美の巨人たち」は見よう・・・。

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