一読の価値おおいにあり『考える人』考える仏教特集
新潮社の意欲的な季刊誌『考える人』2011年春号が
「考える仏教 仏壇から遠く離れて」という特集を組んでいますね。
90ページぐらいの特集で、なかなか読みごたえがあります。
特に、ただ「信じろ」と言われても乗っかれない、
「近代理性に毒された人間」(by高村薫氏)にとっては。
曹洞宗・安泰寺のドイツ人住職・ネルケ師のグラビアとインタビュー。
元サラリーマンの禅僧・南直哉氏と、作家・高村薫氏の対談。
オウム真理教のことも語られています。
「日本仏教を哲学として鍛え直す」という末木文美士先生の寄稿。
ときに邪道扱いされる日本仏教を評価し直し、
日本人の感性をどう哲学化するかという試論です。
若い思想研究者・中島岳志氏と、釈徹宗氏の、親鸞についての対談。
「仏教で癒される、なんてのもちょっと眉唾かもしれません。
仏教の目指す地平は、喜びにも悲しみにも支配されるなという、
とても反ヒューマニズム的な立ち位置です」(釈氏)。同感。
佐々木閑先生ほか数人の寄稿。
日本仏教に「原点回帰」を促すブックガイド。
書いたのが日本テーラワーダ仏教協会の佐藤哲朗さんなので、
スマナサーラ長老や小池龍之介さんをはじめ、
初期仏教のわかりやすい本がいろいろ紹介されてます。
このブックガイドのなかで
一番気になった本は『「般若心経」成立史論』(原田和宗著、大蔵出版)。
「般若心経は大乗経典でも密教経典でもなく、
呪文に能書きを貼り付けた<マントラ文献>に過ぎない
ということを実証した」本なんですって。わぁ、たくさんの人が怒りそう。

にほんブログ村