神は毎日宇宙を消滅させる(『インド宇宙論大全』その2)
大著『インド宇宙論大全』(定方晟著、春秋社)の
第2章「ヒンドゥー教の宇宙観」を読んでいます。
もうね、頭が狂いそう。
いったい何の話なの!?という記述がこれでもかこれでもかと続きます。
ほんの一節を引用しますとーー
==================================
さて、ブラフマー神の一昼日の終わりに、宇宙の消滅が起こる。
すなわち3つの世界(プール、ブヴァル、スヴァル)が火で焼き尽くされる。
3世界の上にあるマハル世界の聖者たちは下界からの熱気に
追い立てられ、その上のジャナ世界に避難する。
3世界が火に融けて大海となったとき、ブラフマー神(実はヴィシュヌ神の具現)は
宇宙の消滅作業に飽いて、大海のうえで、蛇のからだをベッドとして眠り込む。
プラフマナー神は一夜眠りつづけて、
夜が明けるとふたたび宇宙の創造にとりかかる。
このようにしながらブラフマー神は100年生きるという。
==================================
すごいです。
インドの根本神は、世界を創造するだけでなく、毎日消滅もさせ、
しかも消滅作業に飽きて、さぼって寝ちゃうんですよ。
たぶん創造に比べると、消滅は単純作業で眠くなるのでしょう。
おなじみの図像、蛇の上で寝るヴィシュヌ
しかも、時間の単位がとんでもなく長いのです。
ブラフマーの1日=2カルパ
(1カルパ=人間の年数だと43.2億年)
ブラフマーの1神年=720カルパ=3兆1104億年
ブラフマーの一生=100神年=311兆400億年!
なぜこの数字を着想したのか皆目見当がつきませんが、
インド人は巨大な数字が好きなのか。
大乗仏典で「億千万の神々が」とか「三千大世界=1000の3乗」と
巨大数字が出てくるのは、ヒンドゥーと共通していますね。
実はヒンドゥー教について、
高円寺のインドカレー屋などに貼ってある怖い絵のイメージ
ぐらいしか持っていませんでした。
すごく乱暴に、バラモン教が後世(定方説ではBC2~3世紀頃?)
から民衆化したもの=ヒンドゥー教、としましょう。
バラモンの聖典「ヴェーダ」に対して、ヒンドゥー聖典は「プラーナ」。
この『インド宇宙論大全』では18あるプラーナ聖典うち、
特に「ヴィシュヌ・プラーナ」をもとに宇宙観を解説しています。
へそから咲いた蓮に乗ってるのがブラフマン。
ほんの一部引用されているこの「ヴィシュヌ・プラーナ」が、
ものすごく奥深そうなのです。
異端である仏教についての当てこすりがあったり、
逆に「これお釈迦様のセリフ?」と思うような仏教との類似があったり。
これについてはまた後日。

にほんブログ村