「解脱花」ってどんな花ですか?(世記経「忉利天品」)
『現代語訳 阿含経典 長阿含』も、残りわずかになってきました。
第六巻に入っている『世記経』の「忉利天品(とうりてんぼん)」。
忉利天は須弥山の頂上にある天です。
三十三天とも呼び、要はヴァーダの神話に登場する古代インドの神を
33に整理して、みなさんがここに住んでいるとしたようです。
忉利天を仕切ってるのは帝釈天。
「忉利天品」は、この天の様子を描写したもので、
仏教というよりバラモン的世界のありようが雑多に述べられているかんじです。
で、水中や陸上にさまざまな花が咲いているのですが、
陸に咲いているとされる花で、ぜひ見てみたいものがありました。
その名も「解脱花」!
原語はS.atimuktakaで、「完全に解放された」の意味なので、
漢訳では「解脱花」と意訳されています。
注を見ると、「和名はキントラノキオ科ホザキサルノオ、
白い花の咲く喬木」とあるのですが、
「ホザキサルノオ」って聞いたことあります?
ググッても画像が発見できず・・・。
で、ホザキサルノオ(別名ウスバサルノオ)が
英文名Hiptage benghalensis(中国名で猿尾藤)らしいので
それで検索してみると、こんな植物でした。
「解脱花」という、なんとも有難い名前の花を一度見てみたい。
でも、インドや東南アジアなど暑いところの植物で
日本では沖縄ぐらいしかないようですね。
ちなみに、前にも書いた『仏典の植物』(77年、八坂書房)
という本には、この解脱花もちゃんと出ている様子。
名著と思われますが、絶版のうえ、写真が白黒らしいんです・・。

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