阿修羅と帝釈天の仲が悪いわけ(「世記経」6品「阿須倫品」)
仏像ブームの象徴的存在である阿修羅(アスラ)。
でも仏典のどこに出てくるの?
『現代語訳 阿含経典 長阿含』(第6巻)の
「世記経」には第6品「阿須倫品」という、
アスラについてのお経がありました。
このお経自体はどうということはないのですが、
注釈を読んでいたらけっこう面白かったです。
アスラたち(複数いるんです)は深い海の底に住んでいて、
帝釈天の軍隊と闘っているとされます。
なぜ犬猿の仲になったのか。
注釈によると、
パーリ本のなんとかいうやつ(つづりを書くのがめんどくさい)
など複数のものに、こう書いてあるそうです。
「はじめ忉利天(須弥山の上で帝釈天の棲家)に住んでいたアスラが、
帝釈天により、天の酒を飲まされ、
迷酔したところ足を持たれて須弥山の絶壁に投げつけられ、
須弥山の最下部に押しやられた。
それゆえ、この天の城郭を奪回するために、
アスラたちは帝釈天と戦う、とある」
帝釈天、むちゃくちゃするなー。
アスラは、インド神話「リグヴェーダ」では悪者どころか
至高の神的存在で、ゾロアスター経にいたっては
最高神アブラマズダに対応するそうです。
それが何の因果で、泥酔して暴行されるはめになったのでしょうね。
海老蔵と関東連合みたいな話だなあ。
しかし、あの興福寺の阿修羅が、深い海の底でユラユラしてるのを思うと、
イソギンチャクみたいで怖くなってきます。

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