『にっぽんの仏教』というムックが出ていた | 釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~

『にっぽんの仏教』というムックが出ていた

今日、本屋さんに行ったら、こんなムックが平積みされていました。


『にっぽんの仏教』 枻(えい)出版社、2010/8/24、1575円


<アマゾンの紹介文>======================


にっぽんの仏教、その歴史や教えがあますところなく分かります


・宗派ぞれぞれの特徴を知る   寺院の配置、そして教えとは…
◎天台宗 ◎真言宗 ◎浄土宗 ◎浄土真宗 ◎曹洞宗 ◎日蓮宗 ◎黄檗宗


・戦国武将お墓めぐりin高野山


・仏教はアートだ! 曼荼羅・仏画・仏像いろいろ


・精進料理&普茶料理を体験する


================================


釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~


立ち読みでパラパラ見たところ、大型本で写真もきれいで、
精進料理の特集など、 楽しそうな本でした。


ただね、「にっぽんの仏教」があますところなく分かりはしないと思うよ。
私も「各宗派の違い」が知りたくて、こういったライトなムックや仏教雑誌
をいくつか読みました。でも、ちっとも頭に入りませんでした。
「○○宗は○○年に開祖・○○が・・・」と言われても。
例えばなぜ浄土宗の寺に阿弥陀如来、真言宗の寺に大日如来がいるのか。


しかも、各宗派のお坊さんが出てきて、いろいろ違うことを説かれるので、
迷宮に迷い込んで、仏教が何を説いているのかさっぱりわからなくなりました。

この手の本は、各宗派に取材して原稿チェックも受けているので、
「釈迦時代は托鉢で肉をもらえば肉を食い、労働も料理もしなかったので、
中国の禅宗で発達した精進料理はもとの仏教と関係ない」
なんていうことは書きにくいわけです。


今、「わからなかった理由」が、わかるようになりました。
原点がわからなかったからです。
原点とはもちろんお釈迦様が最初に説いた、いわゆる原始仏教、釈迦仏教。
起点がないから、地図が描けなかったのです。

最近になって、個人的にはこういう理解の仕方をしています。


・各宗派の教えや仏像を見たら、釈迦仏教との距離を測る。
 (何が違って何が同じなのか)


・距離が遠くても、いちいち腹を立てない。
 (なるほど、そう変遷したのね、と冷静に理解する)


こと仏教に関しては、私の体験では、
簡単そうな本だから簡単にわかるわけではなくて、
ハードコア目な本を読んだほうが近道、
という気がします。


安価なものでは、『日本仏教史』(末木文美士著)とか、お勧めです。


釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~ 日本仏教史―思想史としてのアプローチ (新潮文庫)


ちなみに、この『にっぽんの仏教』を出した枻出版社って

この出版不況下でガンガン業績伸ばしてるんですよね。
それも、ハーレーとかブーツとか湘南生活とか、

極めて趣味性の強い雑誌・ムックで。


基幹雑誌『Lightning』編集長の講演を聴いたことがありますが、
ムック1冊を1人で作るぐらいの勢いだそうで。
業界他社に聞いたら、「ギャラが安いし過労死寸前」との声もありましが、
好きな世界の雑誌・本を作れるなら薄給は厭わず!というのが
本来の出版社だとも思うし、いまどき見上げた会社です。


にほんブログ村 哲学・思想ブログ 仏教へ
にほんブログ村