原始経典に見る密教の起源(長阿含「大会経」その2)
先日、現代語訳「長阿含」の第19経「大会経」を読んで、
お釈迦さまが呪文らしきものを唱えているので驚いた、
ということを書きました。
http://ameblo.jp/nibbaana/entry-10625569804.html
この「大会経」のことを調べたら、
どうも後々の密教に繋がる重要なお経のひとつらしいのです。
私自身は、基本的に合理的な原始仏教が、
どうやって呪術的な密教に繋がったのか?ということがひとつの疑問でした。
仏教の最終形態と言われる密教ですが、
原始仏教の経典「阿含経」に、やっぱり萌芽があったらしく、
その一つが「大会経」と見られているそうなのです。
以下、興味のない方にとっては全然つまんないメモです。
(『現代語訳 阿含経典 長阿含』4巻、中村元監修『新・仏教辞典』etc.より)
法蔵部=初期仏教が分裂した20部派のうちの一つ。
漢訳「阿含経」は、いくつかの部派が持っている経典の
ツギハギで、「長阿含」は法蔵部所属のもの。
法蔵部は仏滅後300年後に化地部から分裂した。
教義はのちの大乗仏教に繋がる要素を持っていた。
呪蔵= 分裂した各部派はそれぞれの経典を持っていた。
一般には三蔵(経蔵・律蔵・論蔵)のセットだが、
法蔵部はこの3つ以外に、呪蔵・菩薩蔵もあって「五蔵」だった。
(呪蔵ってなに!?
名前からしておどろおどろしいが、残ってないみたい)
大会経で音写の文を「呪」と呼ぶことは、呪蔵と関係がある、
と見られている。
密教の起源=この漢訳「大会経」に対応するパーリ語仏典Mahasamaya-suttanta
と、密接な関係にあるAtanatiya-suttanta(アーターナーティア経:漢訳なし)
は、後の密教経典の起源となったものとされる。
特に後者から「孔雀明王経」や「毘沙門天経」などの密教経典が
成立したことが論証されている。
パリッタ経典=
アーターナーティア経は、鬼神をはらったり病気治癒の祈祷に用いられる。
原始経典には、このような護身などの詩を備えた経典群があって、
スリランカなどの仏教徒は、今でもこれらを「パリッタ(防護呪)」と称して
唱える儀礼を行っている。
原始経典や南伝仏教=合理的で、祈りや呪文に対してはアンチ
だというイメージを持っていたのですが(そう書いてある経典もある)、
話はそう単純ではないようです。
たまたま古本サイトで『密教成立論 阿含経典と密教』(金岡秀友著、筑摩書房、1981年)という本を発見したのですが、これを読むとその辺のことが書いてありそう。
そのうち読んでみよう・・・。
でも、私の仏教学習は、生きているあいだに密教までたどりつくのだろうか。
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