帝釈天の葛藤 「釈提桓因問経」その2 | 釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~

帝釈天の葛藤 「釈提桓因問経」その2


ひきつづき、
『現代語訳 阿含経典 長阿含経』(末木文美士ほか訳)第3巻より、
「釈提桓因問経」(しゃくだいかんいんもんきょう)(訳:丘山新)です。

このお経は帝釈天が、お釈迦さまに会いにいくお話ですが、
帝釈天が心情を吐露する場面があります。


==============================

仏は帝釈に告げられた。
「おまえは、むかし心からの喜びを得た時のことを憶えているか」


帝釈、答えて、
「はい、世尊よ、むかし得た心からの喜びを憶えております。
世尊よ、私はむかし阿須輪と戦い、そして私が勝ち、
阿須輪は敗れました。
私はそこで宮殿にもどり、心からの歓喜を得たのでございます。
しかしこの心からの歓喜をよくよく考えてみますと、
ただ穢れきった武器による喜び、闘争による喜びだけでした。


ところが、いま私が仏より得ました心からの
喜びには武器や闘争による喜びはございません」


==============================


帝釈天といえば、インド神話、リグ・ヴェーダの
武神・軍神として崇められてきました。

その帝釈天が、「穢れきった喜びだった」と吐露しているのだから
これは大変なことです。


もろもろの点で、この「釈提桓因問経」は読み応えがありました。




にほんブログ村 哲学・思想ブログ 仏教へ
にほんブログ村