釈尊百景(4) 平面的で古代の匂う釈迦立像に遭った(奈良・西大寺) | 釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~

釈尊百景(4) 平面的で古代の匂う釈迦立像に遭った(奈良・西大寺)

今週はへんに忙しくて、ブログを開く暇もありませんでした。
大阪出張がありまして、そんな貧乏暇なし状態にもかかわらず、
朝7時の新幹線で無理やり、奈良にいってまいりました。

便利な場所しかいけなかったので、
ベタですが、大和西大寺周辺の、薬師寺・唐招提寺・西大寺を
駆け足で回りました。
薬師寺・唐招提寺は何度目かですが、西大寺ははじめて。
ターミナル駅のすぐ近くで、周りは商業地・ベッドタウンだし、
ついでのつもりで寄ったら、
この西大寺が、意外にめっけもので、よかったのです。

何がいいかというと、その、やる気のなさです。

何年か前にJR東海のCMで「失われた大寺」とかなんとか
言われていましたが、西大寺は764年に称徳天皇の勅願で
建てられた、由緒正しきお寺です。
広大な敷地に大伽藍が並び、
一時は、東大寺に匹敵する勢いがあったそうです。

$釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~
↑ やる気のある場面。


ですが、平安時代に再三の災害で衰退して、
鎌倉時代に叡尊師が真言宗律宗総本山として再興するも、
その後も戦火で縮小し、寺勢はいまひとつ。

その反面、伽藍が木造で渋みを帯びたままだし、
仏像が重文止まりのせいか観光客はまばらだし、
非常になごめました。

その前に行った薬師寺が、塔や伽藍を建て直したりして、
ずいぶん肩に力が入っているため、
西大寺のくすみ具合と諸行無常感が印象的でした。

西大寺で一番有名なのは、愛染堂の秘仏・愛染明王で
見られなかったのですが、実は本堂の釈迦如来立像が魅力的。

$釈迦むに・スーパースター ~仏教のつれづれ~

京都・清涼寺の釈迦像を模し、この時代に流行ったタイプらしいのですが、
平面的でアルカイックスマイルで写実性がなく、古代の匂いがする立像でした。


あとで調べてわかったのですが、古代インドの優填王(うてんおう)が、
釈迦の在世中に栴檀(せんだん)の木で造らせた釈迦像を模刻したもの
という説があるそうです。国宝でなく重文ですが、貴重ですよね。
期せずして、私の好きな非写実的なお釈迦さまに会うことができました。

そして、この本堂は、くすんだ板造りで、
なかに灯篭がたくさん置かれていて(電気ですが)、
出るときに受付番の人に「ありがとうございました」と言ったら、
「は~い、ど~も~」と、やる気のない答えが返ってきたところも、
さすが「失われた大寺」だなあと、しみじみしました。
大和西大寺はターミナル駅で便利だし、おすすめです西大寺。

無数にある奈良の寺のなかから、
西大寺をCMに選んだJR東海(というか電通?博報堂?)は
玄人のお仕事だと思いました

↓JR東海のCM 西大寺編


にほんブログ村 哲学・思想ブログ 仏教へ
にほんブログ村