ハイチ地震とブードゥー教 | 釈迦牟尼スーパースター ~仏教のつれづれ~

ハイチ地震とブードゥー教

今日、自衛隊のPKO部隊が、大地震のあったハイチに向かいました。

先日、アメリカのテレビ伝道師がハイチ地震を「悪魔と契約を結んだ」
ブードゥー教信者に対する神罰だというナンセンスな発言をして、
物議をかもしたそうです(1月27日)。

ブードゥー教は宗教というより、歌って踊る民間信仰で、ハイチではいまも盛んです。
ブードゥー教の司祭らが「遺体を集団埋葬するのは冒涜にあたる」と異議を唱えたり、
「ブードゥー教にのっとった儀式をきちんと執り行うまで、遺体を触らせないという遺族が多い」
(国連ハイチ安定化派遣団のブラジルの国防省)という報道もあって、
自衛隊も苦労が多そうです。


天災や犯罪や病気など、理不尽な不幸と死に対して、
どうやって自分を納得させればいいのか?
「宗教」が生まれた理由は、ほとんどこれに尽きる、という気がします。

で、その納得のさせ方は、宗教によって当然違いますよね。
たとえば、自分の子供が殺されたら・・・・?


◆ロシアの中学校占拠テロ

2004年、ロシア北オセチア州で、テロリストが中学校を占拠して、
死傷者350人(うち150人以上が子供)を出した事件。
あのときテレビで、子供を殺されたお父さんの口から出た言葉に驚きました。
神はときどき、無垢な魂を欲してお召しになるんだ」。

ものすごい納得のさせ方です!
たぶんキリスト教の一派、ロシア正教の人と思われます。


◆アーミッシュ射殺事件

2006年、米ペンシルベニア州で、アーミッシュ(キリスト教プロテスタントの一派)
の学校で、非アーミッシュの男が銃を乱射して自殺した事件。
監禁された女子生徒ら4人が殺されました。
ところが、容疑者の葬式に参列した人の、約半数はアーミッシュだったそうです。
アーミッシュらは容疑者の遺族を抱擁し、心からの許しを表明した
という報道に、世界中がド肝を抜かれたものです。

「何があっても、恨まない!赦す!」と腹を括るのも、
(ものすごく難しいですが)ひとつの納得の仕方でしょう。


◆お釈迦さまのゴータミー法話

で、お釈迦さまならどうするかというと、
有名な、ゴータミーの逸話が思い出されます。
(殺されたのではなく、病死なので少し違うのですが)

ゴータミーという女性が小さな息子を亡くしました。
ゴータミーは半狂乱になって、遺体を抱えたまま、
「誰かこの子を生き返らせる薬を下さい!」と言いながら
町じゅうを歩き回っていたのです。

町の人に教わって、ゴータミーはお釈迦さまに会いに行き、
「この子を生き返らせる薬を下さい」と頼みました。

お釈迦様はこんなふうに言いました。
「では、家々を訪ねて芥子の粒をもらってきなさい。
そうすれば、芥子で薬を作ってあげよう。
ただし、まだ一人の死者も出したことのない家でもらった
芥子でなければいけないよ


ゴータミーは、家々を訪ねて回りました。
ですが、死人を出した事のない家など、一軒もなかったのです。
ゴータミーは、
「死んだのは息子だけじゃない。死なない者などいないんだ
と知って、お釈迦さまの弟子になりました。
                  
        (テーリガータ=岩波文庫『尼僧の告白』に所収の法話)

すばらしい!!!
ゴータミーに向かって、「みんな死ぬんだから諦めなさい」と、
いきなり言わないところが、この法話の素晴らしさですよね。


ちなみに、ブードゥー教は、私の憧れるニューオリンズでも信者が多く、
黒人音楽に多大な影響をおよぼしております。
最後に、ハイチの復興を願って
J.B. Lenoirのブルース「Voodoo Music」を捧げます。


Voodoo Music - Blues Highway (John Mayall J.B. Lenoir cover)




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