縁結び特別拝観 長谷寺
奈良県桜井市の長谷寺で、
年2回恒例の「大観音特別拝観」が行われています
(10月1日~12月31日。もう1回は3~4月に始まる)。
ここの十一面観音は、高さ10mの巨大仏(木造で日本一)なのですが、
特別拝観のときは、堂内に入って足に触れることができるのです。
そのご利益は、ずばり「縁結び」。
お寺としては「観音さまとあなたのご縁」という意味かもしれませんが、
一般の認知は「結婚祈願」でしょうし、お寺もそれを見込んでいるでしょう。
「婚活中」の女性が大挙するんでしょうかねえ。
(出雲大社に婚活女性が大挙するというので、
駅前に「女性一人客歓迎」のビジネスホテルができてて驚きました)
婚活の世話までせねばならない
神さま仏さまも大変なことです。
私が長谷寺に行ったのは、5月頃でした。
沿革とかは面倒なので公式サイトに任せるとして、
一言でいって、絶対に行く価値のあるお寺でした。
広くて見るものがたくさんある。仏像がデカい。
四季折々の花が美しい。きれいに整備されている。
そしてなにより、「生きている」感じがするお寺です。
たまたま「ぼたん祭り」だったので大変な賑わいで、
まず門前に3人ぐらいのお坊さんが立っていて、
「いらっしゃいませ~」とは言わないですが、
そんな感じで迎えてくれました。
お寺のあちこちで、仕事をするお坊さんとすれ違い、
かなりの人数が修行していらっしゃるようす。
一番感動したのは、どこかのお堂で、
いきなり「声明」(お経に節をつけた宗教コーラス。
密教版ゴスペル?)が始まったことでした。
長谷寺は真言宗豊山派なので、有名な豊山声明です。
4人ぐらいのお坊さんが、誰に聞かせるでもなく、
声明を上げ(唱え?歌い?)、聞いているのは数人。
風が吹いて、山吹の花びらが散る中で聞く声明は、
もうほんとうに最高でした。
東京だと、入場料数千円でホールでやることがありますが、
やっぱりお寺で聞くほうがいいにきまってる。
逆に一番失望したのは、有名な「登廊」でした。
仁王門から本堂に登っていく399段の廊で、
それ自体はステキなのですが、
延々と説明テープが流れているのです!あれはブチ壊し。
他のお寺でもたまにありますが、やめてくれませんかねえ。
売店で『週刊・古寺を巡る 長谷寺』(小学館のムック)
を売っていたので、買ってみました。
予想通りの内容ではありましたが、
ひとつ、シブいなぁと感心したのは、最後になんと
保田與重郎の「大和長谷寺」が転載されていたことです。
センズいいじゃん、小学館。
このシリーズは、最後に、過去の名文を載せるようです。
長谷寺の観音を彫ろうと思ったら、近くの初瀬川に神木が
流れ着き、それを観音様にした、という伝説があります。
ここの観音は、蓮の台座でなく、珍しく岩の上に立たれて
いるのですが、たしかこれも霊験あらたかな岩だったと思います。
保田先生が書いていたのは、
神木や岩という古来日本的な信仰と、仏教信仰と、
ぐだぐだに混じっているが、それが日本的な信仰の形であり、
よろしいではないか、というような内容です。
(すごい雑なまとめですが)
保田與重郎は、桜井出身の偉大な批評家で、
山之辺の道や奈良の社寺について、たくさんの文章を
記しているので、そのうちチャレンジするつもりです。
余談ですが、長谷寺参道は「にゅうめん」(温かいそうめん)が
名物でお店が何軒もあるので、食べてみました。
おいしいですが、850円ぐらいして、あっという間にお腹がすきます。
長谷寺HP
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