マダムの肉付き 秋篠寺
浄瑠璃寺の吉祥天が「チーママ」(by みうらじゅん氏)なら、
大ママっぽいマダムが、秋篠寺の技芸天です。
むかし行って、子供心に「艶やかとはこういうことか」
と思ったものです。
大人になって行っても、やっぱり、うっとりしました。
国宝ではなく重文ですが、その筋では有名な像です。
マダムは、腰をひねって、微妙に首をかしげた姿が
絶妙なのですが、実はこれ、
頭と体をあとでくっつけたからなんですって。
頭は奈良時代の脱活乾漆造、体は鎌倉時代に木造で、
合体させたそうです。
頭と体の間に、数百年の時間がたっているわけですねぇ。
しかも光背がないので、
とろりとした腰のひねりと肉付きがよく見えます。
大トロです。
技芸天はシヴァ神の髪際から生まれた天女だそうです。
数年前の死ぬほど暑い盛夏の平日に行ったのですが、
参拝客は2人で、静かにマダムと再会できました。
近所のおじいさんがベンチにずーっと座っていて、
庭にある木は、菩提樹だと教えてくれました。
実に羽ようなものが付いていて、
「竹とんぼみたいに、クルクル回りながら落ちるでしょう。
やってごらんなさい」と。
ああいう方が一人いらっしゃると、
寺参りもさらに楽しいですね。
ドビュッシーで「レントより遅く」というピアノ曲があるのですが、
その最初の部分を聞くと、秋篠寺の技芸天を思い出します。
ゆったり肉のついたマダムたちが、
退屈な昼下がりに半分まどろんでいるような音です。
秋篠寺
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