「ブッダ 大いなる旅路」①
「ブッダ 大いなる旅路」①インドー輪廻する大地
1998年にNHKスペシャルで仏教の大型特集(特に上座仏教)を
放映したことを知っった。
DVDを全部買うと高いので、NHK博物館(愛宕)に見に行った。
各地のNHKでは番組公開ライブラリーをやっていて、
無料で過去のNスペなどが見られるのだ。すばらしい。
見てみたら
この「ブッダ 大いなる旅路」シリーズは、かなりすぐれものだ。
第1回はインド。
お釈迦さまゆかりの地を訪ねながら、中村元訳のパーリ語仏典の朗読が
ところどころに入る。その言葉の美しいこと・・。
「見よ、すべてのものは燃えている。
欲望と怒りと愚かさによって」
クシナガラでついに入滅するとき、お釈迦様はこういった。
「私はなすべきことをなした。
再びこの世に戻ってくることはないだろう」
◆お釈迦さまもヒンズー教の神様!?
ヒンズー教の寺院に、お釈迦さまの仏像もあった。
ヴィシュヌ神がいろいろな人や動物に姿を変えて人々を救うのだが、
お釈迦さまは、なんとその「9番目の化身」として祭られてるのであった。
インタビュアーが「ヒンズーと仏教はどうちがう?」と聞いたら、
ヒンズー教徒のおばちゃんが「全く同じです!」と断言してた。
おばちゃん、それは違うんじゃなかい?
あと、いまだにバラモン教の祭官がいて、
一日中、365日、儀礼をやっていました。
◆そのまんまの上座仏教が残る「チッタゴン」
取材陣が、「釈迦時代の教えがそのまま残る地はないか」と探した結果、
見つかったのがバングラディッシュのチッタゴンという町です。
バングラディッシュは、いまイスラム教国ですが、
そのなかにひっそりと、仏教徒が生息しているそうです。
すばらしいシーンがありました。
村に寝たきりの病人がいて、家族がお坊さんを呼んで、お経をあげてもらう。
(ここでは生きているうちにお経をあげるそうだ)
そのお経の内容というのが、
「お釈迦さまはクシナガラで言いました。
人はこの世に生まれたら必ず死ぬ。
死の手から逃れることはできません」
すごくない? 死にかけてる病人の横で「必ず死ぬ」とお経をあげるんです。
これぞ仏教の真骨頂、ほんものの救いだと思います。
「必ず治る」なんていう、ウソでは救われない。
で、「今日はあなたの善行を思い出すために集まりました」といって、
家族・知人が、死にゆく人の過去の善行を思い出すのです。
お葬式では、遺体にすがって泣く親族を、周りが引き止めます。
「移り行くものに追いすがってはいけない」と言って。
行ってみたいな、チッタゴン。
あとで調べたら、この人たちはベンガル人で「バルア教徒」とも呼ばれるらしい。
「バルア」というのは姓で、この名前の人は、祖先が釈迦時代にマガダ国にいて
それ以来の仏教徒である(とされている)。
そういえば、前にいったヴェーサーカ祭(代々木)で、
仏教学者の方が「今日はバルアさんも見えてます」と喜んでおられた。

