「涙」 | 真一がブログを書いたらこんな感じになる。

少女は今日もベッドの上で悲しみにくれていました。
だけど涙は出ません。
涙が出ない。それが少女の悲しみの理由でした。
少女は涙が全く出ない病気なのです。
涙が出ないと目がすぐに乾いて傷つきやすくなってしまうので、
起きているときは三十分に一回、すごく痛い目薬をささないといけません。
どんなに楽しい時間を過ごしているときでも、時計のアラームが鳴る度に
少女は現実に引き戻されます。少女にはそれがとても苦痛でした。


ピピッピピッ。


アラームが鳴りました。少女は枕元のポーチから目薬の容器を取り出し、
今日最後の目薬を両目に落としました。
痛みのせいでしばらくは目を開けることすらできません。
ようやく目が開けられるようになると、少女は部屋の灯りを消して、
ベッドに入りました。
顔を横に向けると、カーテンの隙間からキレイな星空が見えました。
少女の胸に急に悲しみがこみあげてきました。
神様、私はいつまでこんな思いをしなければならないの。
神様、早くこの目を治してください。
神様、なんで私だけ……。
そのとき、ひとすじの雫が少女の頬を伝い、枕を濡らしました。
よだれでした。