「大丈夫?」
「はい」
「大丈夫?」
「はい」
「大丈夫?」
「はいっ」
何度繰り返したか分からない。
音也君は、朝出掛ける前に
『おはよう』
二人で決めた挨拶…キスを受け取りに来ただけだったのに。
少しだけ高かった体温で、物凄く心配をしてくれている。
「でも…」
「もう7時です。早く行かないと…」
「俺…心配なんだ」
「ありがとうございます」
「大丈夫?」
言葉や歌詞、台詞は繰り返されると、その意味は軽くなる。
授業でも習ったけれど…今、私を心配してくれている音也君の表情から、一回一回にちゃんと気持ちが籠っている事を感じて、愛しさが増していく。
「大丈夫です…でも…早く帰って来てくれますか?」
「うん!勿論!」
ぎゅっ。
力強く抱き締められると、首に掛けられたヘッドホンが軽く顔に触れる。
「あっ」
「あ…ああああっ。ごめんっ。痛かったよね」
「いえっ。大丈夫です。でも、いつも着けてますよね」
「うん。時間があったら、聞きたいし」
「ふふっ。音也君らしいです」
「うーーーん」
少し腕の力を緩められたのを感じて、何かを悩んでいるみたいな声を出している音也君に視線を向けると…。
まるでアニメなら、頭の上に
『ピコン』
弾む様な音がして、電球が出てくるみたいな状況になって…良い事を思い付いたみたいな感じになっていた。
____可愛い。
子犬みたいに。
時には太陽みたいに包み込む。
少し勢いで行動してしまう事はあっても、その動きや思考は、すぐに立ち止ってしまう私にとっては、導き手になるモノで…。
最初の試験で出会った時に感じた眩しさは、今でも変わらない…惹かれるモノ。
ちゅっ。
額に軽いキスが落とされる。
そのキスは素早くて、
『アイドルで、風邪をうつしてはいけないっ』
抵抗の言葉すら言わせてはもらえなかった。
「音也君っ」
拗ねる様に言葉を伝えると、跳ね返される様な笑顔をもらってしまって…心臓が激しく動き出す。
どうして、こんなに体に「+」を持っていられるのだろう。
不思議で仕方が無い。
「これ。今日は置いて行くね」
「え?」
「丁度聞かせたかった曲があるんだ。君の為に作った曲が入ってるし」
「…私に?」
「そうっ」
ウォークマンと、ヘッドホンを外すと、音也君は
『寝辛いかなぁ』
少し困った様な顔をしながら、私に着けてくれる。
本当は、少し体調が悪い時には、寂しい気持ちが簡単に心を覆って行ってしまうから…傍に居て欲しかった。
今日仕事じゃなかったら。
オフだったら。
朝何度も思っていたのだけれど…。
もう大丈夫な気がしていた。
「ありがとうございますっ」
「うんっ。あっでも、キツイと思ったら、寝るんだからねっ」
「はいっ」
時間。
分かってはいても、本当にギリギリの時間になってしまった音也君の頬に、私からキスを贈ってしまった。
我慢出来る訳が無い。
こんなに、私の事を心配して愛してくれる恋人への応援と、愛を込めたモノなのだから…。
「よっしゃっ。元気出たーっ。NG出さずに早く帰って来るからっ」
「はい。応援していますね」
「うんっ」
『ちゃんと寝てるんだよ』
優しい言葉を伝えてくれた恋人の背中に手を振り、姿が見えなくなったら、すぐにウォークマンにスイッチを入れた。
絶対に私を元気付けてくれる素敵な曲が、入っていると思いながら…。
_____♪
君が居る。
僕の傍に。
春の風が、今日も俺を
強く押して行く。
大好きだよ。
君だけが…
僕の宝物だから
_____♪
「はい」
「大丈夫?」
「はい」
「大丈夫?」
「はいっ」
何度繰り返したか分からない。
音也君は、朝出掛ける前に
『おはよう』
二人で決めた挨拶…キスを受け取りに来ただけだったのに。
少しだけ高かった体温で、物凄く心配をしてくれている。
「でも…」
「もう7時です。早く行かないと…」
「俺…心配なんだ」
「ありがとうございます」
「大丈夫?」
言葉や歌詞、台詞は繰り返されると、その意味は軽くなる。
授業でも習ったけれど…今、私を心配してくれている音也君の表情から、一回一回にちゃんと気持ちが籠っている事を感じて、愛しさが増していく。
「大丈夫です…でも…早く帰って来てくれますか?」
「うん!勿論!」
ぎゅっ。
力強く抱き締められると、首に掛けられたヘッドホンが軽く顔に触れる。
「あっ」
「あ…ああああっ。ごめんっ。痛かったよね」
「いえっ。大丈夫です。でも、いつも着けてますよね」
「うん。時間があったら、聞きたいし」
「ふふっ。音也君らしいです」
「うーーーん」
少し腕の力を緩められたのを感じて、何かを悩んでいるみたいな声を出している音也君に視線を向けると…。
まるでアニメなら、頭の上に
『ピコン』
弾む様な音がして、電球が出てくるみたいな状況になって…良い事を思い付いたみたいな感じになっていた。
____可愛い。
子犬みたいに。
時には太陽みたいに包み込む。
少し勢いで行動してしまう事はあっても、その動きや思考は、すぐに立ち止ってしまう私にとっては、導き手になるモノで…。
最初の試験で出会った時に感じた眩しさは、今でも変わらない…惹かれるモノ。
ちゅっ。
額に軽いキスが落とされる。
そのキスは素早くて、
『アイドルで、風邪をうつしてはいけないっ』
抵抗の言葉すら言わせてはもらえなかった。
「音也君っ」
拗ねる様に言葉を伝えると、跳ね返される様な笑顔をもらってしまって…心臓が激しく動き出す。
どうして、こんなに体に「+」を持っていられるのだろう。
不思議で仕方が無い。
「これ。今日は置いて行くね」
「え?」
「丁度聞かせたかった曲があるんだ。君の為に作った曲が入ってるし」
「…私に?」
「そうっ」
ウォークマンと、ヘッドホンを外すと、音也君は
『寝辛いかなぁ』
少し困った様な顔をしながら、私に着けてくれる。
本当は、少し体調が悪い時には、寂しい気持ちが簡単に心を覆って行ってしまうから…傍に居て欲しかった。
今日仕事じゃなかったら。
オフだったら。
朝何度も思っていたのだけれど…。
もう大丈夫な気がしていた。
「ありがとうございますっ」
「うんっ。あっでも、キツイと思ったら、寝るんだからねっ」
「はいっ」
時間。
分かってはいても、本当にギリギリの時間になってしまった音也君の頬に、私からキスを贈ってしまった。
我慢出来る訳が無い。
こんなに、私の事を心配して愛してくれる恋人への応援と、愛を込めたモノなのだから…。
「よっしゃっ。元気出たーっ。NG出さずに早く帰って来るからっ」
「はい。応援していますね」
「うんっ」
『ちゃんと寝てるんだよ』
優しい言葉を伝えてくれた恋人の背中に手を振り、姿が見えなくなったら、すぐにウォークマンにスイッチを入れた。
絶対に私を元気付けてくれる素敵な曲が、入っていると思いながら…。
_____♪
君が居る。
僕の傍に。
春の風が、今日も俺を
強く押して行く。
大好きだよ。
君だけが…
僕の宝物だから
_____♪