*コラボ企画に参加しましたv
pixivの方に、漫画作品へのリンクを貼りました。
今回本当にありがとうございましたv
『君の手に…』(トキ春)
「…っ」
息が止まるかと、言う瞬間。
突発的な事に対しての対処法は、持っていた筈だと…自身の中から引き出すけれど、彼女関係には全く効果は無い。
「これ、可愛いよねっ」
「そうですか?」
「うん。そうだよっ。あ。でも手の方が良いかな」
「…音也…」
自分の対極にいる存在が、眩しい程の微笑み。
勿論、その中に計算や企みは、存在していないモノを作り出しながら、彼女の手に触れている。
…私は、先日『迷子予防ですから』と、小言に近い状態で手を初めて繋いだだけなのに、音也は簡単にその境界線を越えてしまう。
「ひらひらですね」
「女の子って良いよっ。リボンに合う。赤色も」
「…っ。もう…我慢出来ない」
こんなに、自分が心の狭い男だとは思ってもいなかった。
Sクラスの人間が、Aクラスに入るだけでも目立つ。
普段なら、彼女が気付くまで廊下に立って、その動きを見ながら待っていても、今は…もう。
「音也。彼女には紫が似合います」
「?。あっ。一ノ瀬さん」
「今度。用意しましょう」
「そう?赤も似合うと思ったんだけどなーっ」
「…いいえ」
「あっ。トキヤ?」
「きゃっ」
瞳を大きくして驚く表情も私を惹き寄せる、彼女の手首から、赤いリボンを外し音也に返す。
そして、すぐに手を拘束して、廊下へと連れ出した。
「お願いですから、あまりフラフラしないで下さい」
「…すみません」
「……言い過ぎました」
廊下の影に彼女を連れ込み、抱き締める。
初めて、譲れないモノが出来てしまった。
この腕から、彼女を逃がす訳にはいかない…その不安で更に、きつく抱き締めた。
___週末。
春歌の手には、肌触りの良い紫色のリボンが、結ばれていた。
それは、赤い糸よりも強い結び付きに…。