こちらが、Netflixの「今際の国のアリス」の第3シーズンでの佐藤信介監督との30分間のラウンドテーブル(数人の記者)・インタビュー記事になります。興味のある方は、チェック、気に入ったらフォローしてみてください。
Q : 以前のインタビューで、必ずしも原作の漫画シリーズを知らなくても、楽しめるようなシリーズを制作することを心がけているということでしたけれども、シーズン3においても同じことが言えますでしょうか?
佐藤信介: もちろん、シーズン1、2を見てもらった方に向かって、シーズン3というのは作られているわけなんですけれども、原作をもちろん知らない方々でも、この映像の世界に引き込まれるように作品を作ってます。
なので、映像的にやっぱり引き込まれるような、それはもう原作を知っている方も、知らない方も、ただそれを見るだけで、その映像に引き込まれるような、そういうビジュアル体験っていうのを目指して作ってますね。
Q : サバイバルゲームものは、他にもいろいろありますけれども、『今際の国のアリス』はどういったところが、その他の作品とは違うのでしょうか?
佐藤信介:まあ1つあるのは、そこには的確なルールがあって、そのルールの中で、 完全にゲームに従いながら物語が進行していきます。その中でその人のトラウマであったりとか、キャラクターであったりとか、あるいは自分の悩みみたいなものが、そこに被さってきて、それでゲームに勝ったり負けたりしていくという物語とゲームが一体になっているような、そういう体験というのが、『今際の国のアリス』ではユニークなんじゃないかなと思います。
その中にものすごく残酷なゲームがあったりとか、ものすごく小さな世界を描く知的なゲームがあったりとか、ちょっと未来的なゲームがあったりとか、 ちょっと昔の遊びをモチーフにしたようなゲームがあったりとか、予期せぬゲームが展開されていくというのが、一つの特徴になっているかなと思いますね、割と知的なゲームというのは、自分も考えていかないといけないようなゲームもあったりして、その辺が特徴になっている面白いとこなんじゃないかなと思ってます。今回のシーズン3も、 ゲームをやっているような気持ちでストーリーを追っていくような、そういうドラマを目指して作っていました。
Q : シーズン3では、その原作から少し離れて、いろいろ自由にストーリー展開がなされているのかなと想像しますが、いろんな新たなテーマであったり、そういったことを語る余白ができたという感じがするのですが、このシーズンで語ろうとしているコアメッセージに最もふさわしいゲームプレイは、どのようにして考えていったのでしょうか?
佐藤信介:もちろん、そこで語りたいテーマを念頭にゲームを作っていったわけなんですけれども、とはいえゲームをやっぱり作らなければならないので、そこにふさわしいゲームっていうのを、まず考案するところから全て始めてはいます。 もちろん、そこで知的なゲームをやるのかとか、なんかもっと暴力的なゲームをやるのかとかという、そのビジュアル的なテーマっていうのは、そのストーリーに沿って作ります。
例えば、最後のゲームだと、やっぱり渋谷を舞台にした、ある種の心理的なゲームをやりたいということがあったわけなんです。 だけど、それを決めた後でも、やっぱりゲームを考えなきゃいけないわけです。それで、シーズン1の一番最初のゲームもそうなんですけれども、オリジナルゲームというのが、結構、今までのシーズン1も2も入ってるんですけども、そういうのもす全てどういったゲームをそこでやりたいかを決めるんですけど、最終的にはそのゲームのルールっていうのをどんどん決めていかなきゃいけなくて、 それは普通にゲーム制作と同じで、まずあるルールを考えついて、そのルールの穴みたいなものがあるんで、その穴をどうゲームにしていくかっていうか、埋めていくかみたいなことを、本当にゲーム・クリエイターみたいにずっと考えていたという感じですね。
その中で、どういうチョイスをして、それぞれのキャラクターがいくのかというところで、僕らが語りたいテーマを一致させていかなきゃいけないんです。 それは、またもう一つの難しいところでした。それをどうやってやったかを、ちょっと思い出せないですけど、もう本当に毎日シナリオを考える作業と、ゲームを考える作業を同時並行でやっていた感じですね。
Q : ちょっとこれ、関連する質問にたまたまなるんですけれども、やっぱりファイナルゲームについて、いろんな技術的にも難しかったでしょうし、そのキャラクターの心情をカメラで捉えるのも、いろいろ難しかったかと思います。 また、シーズン1が渋谷に始まり、そしてシーズン3のフィナーレがこう渋谷に終わるというのも、ふさわしい締めくくり方かなと思いますけれど、この一番最後の未来すごろくのインスピレーションとなったもの、そしてどうやって最終的にまとめ上げていったのか教えていただけますでしょうか?
佐藤信介:渋谷で最後のゲームをしたいというのがありました。 今まで渋谷をずっと描ききっていたんですけども、渋谷でゲームしたことは一度もなかったので、 最後に渋谷のゲームがあるという風な、ストーリーが良いんじゃないかなと思ったんですよね。 でそこでできるゲームっていうのをすごく考えていたんですけれども、ちょっとやっぱり最初に始まったゲーム、生きるか死ぬかというマンションの部屋を舞台にしたゲームをシーズン1にアリスたちは経験するんです。
そこで何か最後も、部屋を舞台にしたゲームが展開できたら良いのかなと思って、ちょっとシーズン1のゲームと似てる、二つの部屋のどっちに向かうのかで、そのゲームの勝敗が決まるという、そういったゲームにならないかなっていうのがありました。
すごろくみたいなものが、日本にはあるんですけれども、今までのシリーズ全体が自分の過去のトラウマ の中で、苦しみながら戦っている人物が、そのゲームの中でチョイスしたあのことによって、その未来が決まってくるみたいな。 それがこの全てのシリーズの根幹にあったような気がするのです。そういったものを凝縮するようなゲームを最後にやれないかなと思って作ってました。
でも、さっき言った通り、そういうテーマはわかってるんですけども、そのゲームを考えるっていうのとは、そのテーマを考えていればゲームが出てくるわけじゃないので、ちょっと全然違う頭で考えなきゃいけなかったことは、よく覚えています。確かあの時は、あそこのスクランブル交差点の中に入るものと考えた時に、なんか正方形、なんかスクエアというか、そういったものを考えて、スクエアの中で出来ていくゲームみたいなのを考えてたんですよね。
そうすると、すごろくみたいにしたいんですけれども、ちょっとなんていうか、碁盤でできるようなゲーム感みたいなものと融合して作っていった感じがしますね。 ゲーム作る 時はそういう発想で作って、ストーリー的にはそういうテーマ的なものを考えて、それを合体していくというか、そんな作業でしたね、 具体的に言うと。
Q : 佐藤さん、どうもありがとうございました。最後に何か語りたいことが、このグループや観客にあれば、仰ってください?
佐藤信介:そうですね、いろいろ語りましたけれども、何も知らないというか、真っ白な状態で見て頂きたいなというシリーズなので、いろんな予備知識をちょっと忘れて、みんな見ていただければ、楽しんでいただければなと思います。 はい、ありがとうございます。
