トランプ氏が米国のメディアに「対抗勢力だ。黙れ」ツイ-トしたとかしないとか。日本のメディアも一生懸命ネガキャン張っているが、安倍政権に対するネガキャン同様、まず否定ありきで、ネガティブイメ-ジの張り合わせで論理一貫性がない。毎日新聞の反トランプネガキャンでは トランプ氏に対して「理屈無視」と批判しているが、毎日新聞が理屈を理解できずにトランプ氏の理不尽のせいにしている。

 

引用元http://mainichi.jp/articles/20170128/ddm/003/030/023000c

『始動

米大統領就任1週間 トランプ発言、理屈無視 輸入品課税、「壁」費用に充当』

 

引用①

トランプ米大統領の誕生から1週間が過ぎた。就任初日に環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの「永久離脱」を表明するなど、過激な政策表明が相次ぎ、世界は早くもトランプ氏のペースに巻き込まれつつある。だが、その発言は場当たり的な暴言が目立ち、中身を検証すると数多くの矛盾が浮かび上がる。型破りな指導者の下、米国はどこへ向かうのか。世界が注視している。

引用①終わり

TPPからの「永久離脱」の表明のどこが  「過激な」なのか。そもそも、まだ何も始まっていないTPP体制で米国が離脱しても、現在まで続いている制度がそのまま継続するだけの話である。「過激な」は単なるネガキャン目的のイメ-ジ操作用レッテル貼である。

 

引用②

実質は国民負担

 

 「米国民は他国と同様、国民のために闘う大統領を得た」。トランプ氏は26日、東部ペンシルベニア州での演説で力を込めた。壁の建設や北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で対立が深まるメキシコのペニャニエト大統領との首脳会談が中止になったことに触れ、メキシコからの輸入品に課税する「貿易戦争」も辞さない姿勢を打ち出した。

 

 ただ、課税案は政策面で混乱が続いていることも浮き彫りにした。

 

 スパイサー米大統領報道官は「輸入品に20%課税すれば、年100億ドル(約1・1兆円)を得られ、壁の費用は簡単に賄える」と誇ってみせた。メキシコ向けの高関税なら、米国も加盟する世界貿易機関(WTO)の協定違反の恐れがある。WTO協定にはどの加盟国にも同一の関税をかける「最恵国待遇」制度があるからだ。メキシコからの報復措置を招くと、米国からの輸出にも不利になる。

 

 また、メキシコからの輸入品に課税すると、企業は米国での販売価格に転嫁するため、実質的には米消費者が負担する。壁の費用は「メキシコに支払わせる」との公約を自ら取り下げることになりかねない。

引用②終わり

メキシコ産品だけ高関税、あるいは中国産品だけ高関税は WTO違反になるから米国が中心になってつくりあげてきた国際貿易秩序を米国自ら破壊するようなことはしない。トランプ氏はBORDER TAXという用語を使っており、これはいわゆる関税ではなく、国境調整税であり付加価値税と同種のものである。付加価値税と所謂関税の違いは 関税は払えば払った切であるが、付加価値税は輸入には課徴だが、輸出にリベ-トとして還付されることである。 現在米国は付加価値税制を敷いていないが、メキシコは16%である。例えば米国から車をメキシコに輸出すればメキシコ政府は16%の付加価値税が徴収できる。逆にメキシコから米国に車を輸出したら米国は一銭も付加価値税を徴収できない。 米国はメキシコの公共財の費用負担をするのに、メキシコは米国の公共財の費用負担をしない。「これは不公平だろ」というのがトランプ氏の論理である。壁は米国の公共財である。BORDER TAXで 壁の費用をメキシコに払わせるというのはそういう意味である。

 

「メキシコからの輸入品に課税すると、企業は米国での販売価格に転嫁するため、実質的には米消費者が負担する。」は短絡思考である。BORDER TAXであるから、例えば輸出入両方やってる商社をかませれば、輸入で課徴された税は輸出で取り戻せる。だから米国内の消費者に転嫁する必要はない。あるいBORDER TAXは間接税であるから輸入法人に払わせる仕向け地法人税にしろ、最終消費者に払わさせる消費税にしろ間接税を増税するなら、直接税を減税すれば、これまた米消費者の負担が増えることにはならない。

  

引用③

 政策的な矛盾はほかにも多い。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)についても「永久離脱」と明記した大統領令に署名。代わりに着手する2国間協定交渉で「為替操作や通貨切り下げを厳しく制限する」と述べた。中国や日本が輸出で有利になるように人民元や円を安値に誘導しているとみているからだ。

 

 ただ、中国は、景気減速に伴う資金流出を防ぐため、人民元を買う為替介入で元安を抑えている。日本は近年、介入をしていない。しかも最近のドル高はトランプ氏自身の景気加速策が世界の資金を米国に集中させ、引き起こした面が大きい。元米財務省高官は「通貨政策をあまり理解していないようだ」と首をかしげる。市場でも「トランプ氏の為替操作の定義が分からない。金融緩和で通貨が安くなることも含めると米国も為替操作になる」(SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミスト)との指摘が出ている。

引用③終わり

引用②で考察したように BORDER TAXには政策的矛盾はないから「他にも多い」は意味がな。

さて、金融緩和で通貨が安くなることは為替介入ではあるが、不当な為替操作とは言わない。同様に「中国は、景気減速に伴う資金流出を防ぐため、人民元を買う為替介入で元安を抑えている。」ことも不当な為替操作とは言わない。しかし中国政府が独占的に市場管理をしている以上、もともとの元の価値が不当に安いものであるかも知れないという話である。

 

引用④

 

 日本との自動車貿易を巡っては「公正ではない」と述べ、対日交渉に意欲を示したが、実態は異なる。米国が日本からの自動車輸入に2・5%の関税を課しているのに対し、日本は関税ゼロ。ドイツ車などは日本での販売を着実に増やしており、日本の政府や業界関係者からは「米国車が売れないのは、米国側の問題によるものだ」との声が上がる。

引用④終わり

 

BORDER TAXも関税の一種と考えれば、日本は関税0ではなく8%である。米国がBORDER TAX 20%を導入するなら、米国の現在の所謂輸入関税と合わせて関税は22.5%となる。日本は8%のままである。これで、そのまま競争してもよいではないか。「米国車が売れないのは、米国側の問題によるものだ」というと米国行政が問題だという話のように聞こえるが、そもそも米国行政の問題ではなく米国の自動車製造業のマ-ケティングがお粗末で日本市場売れる車が作れないことが分かれば、あとは企業努力の問題である。

 

 

引用⑤

 ただ、理屈が通らなくても強い姿勢に出るのがトランプ氏だ。自叙伝では「私の取引は単純明快だ。狙いを高く定めて、押しまくる」と述べている。「無理が通れば道理が引っ込む」の展開も否定できない。ある日本政府関係者は「トランプ氏は『自動車の対米輸出を自主的に減らせ』などと無理な要求を言い出しかねない」と危ぶむ。【安藤大介、秋本裕子、ワシントン清水憲司】

 

引用⑤終わり

上述のように、ちょっと詳細に踏み込めば トランプ氏は何も理不尽なことは言っていない。「理屈が通らなくても強い姿勢に出るのがトランプ氏だ。」は頓珍漢そのものである。きちんと理屈が通っているか、大前提の認識に誤りがあるだけで、前提の後の理屈は通っている。「理屈が通らなくても強い姿勢に出る」というのは、毎日の記者が理屈が理解できないのをトランプ氏の理不尽のせいにしているだけである。

 

日本のメディアだけではない、世界中のメディアが自分の理解能力を棚にあげて、「理不尽」「予測不可能」、「暴言をはく」、「差別主義」等々レッテル貼にいとまがない。世界中が日本の民進党のようになってしまったようだ。