まもなく2024年度の入試が全て終了し、次の入試は2025年度になります。この2025年という年は様々な出来事の周年にあたります。その中でも最も大きいものは「第二次世界大戦終戦から80周年」だと思います。ですので今回は第二次世界大戦について、中学生までで習う知識+αで解説したいと思います。

 

 

今年の社会科第二次世界大戦

 

 

 ドイツの凋落

 ことの始まりは1914年の第一次世界大戦まで遡ります。イギリス・フランス・ロシア+アメリカ・日本 VS ドイツ・オーストリア・(イタリア)の構図で世界全体?を巻き込んだこの大戦は、イギリス・フランス側が勝利します。戦後の処理において、ドイツの盟友のオーストリアは国土を大幅に削られもはや昔の力はありませんでした。さらにドイツの処理に関してパリで講和会議が開かれ、ベルサイユ条約によって内容が決定しています。主なものを挙げますと

 

・ドイツの領土を大幅に縮小すること

・ドイツは植民地を全て放棄すること(中国の山東省の利権は日本に譲られた)

・軍隊を大幅に縮小すること

・1320億マルクの賠償金を支払うこと(現在の日本円にして200兆円ですが、当時のドイツの国家予算は70億マルクでしたので感覚としてはもっと大きくなります)→数字の変動はありましたが、2010年に完済しています

 

これらがドイツに課された罰則でした。

 

 そこからは非常に苦しい時代に突入します。戦後にボロボロにされた国内の復興だけでも大変なのに、賠償金を支払わなければならず、イギリスは待ってくれそうなのですがフランスはめっちゃガメつく支払えと言ってきます。そしてついにドイツは紙幣の増刷という手段に出ました。今の日本で言うなら、1万円札を刷りまくることです。

 当然そんなことをすればお金の価値そのものが下がってしまいます。お金の価値が下がると、同時に物の価値があがります。そうして物価が急激に上昇する「ハイパーインフレ」が発生し、物価は戦前の1兆倍にまでなりました。明日からうまい棒が10兆円で売ってるってことですね。

 さらにフランスは、ドイツの財政と賠償金の支払いの遅さに我慢の限界に達し、ドイツの主要工業地域であるルール地域を占領します。日本で言うなら中京工業地帯が占領されるようなもんです。そんなことをされればもはやドイツに打つ手はありません。しかし、フランスとイギリスも第一次世界大戦でアメリカに多額の借金をしており、その返済に追われていたので必死でした。

 

そんな状況を見かねたアメリカは一つの案を提示します。

 

アメリカがドイツにお金を貸す

     ↓

ドイツが工業に充てて稼いだお金をイギリス・フランスに返す

     ↓

そのお金をアメリカに返す

 

こんなふうにアメリカが手を差し伸べることで全てがうまくいくと言う計画でした(ドーズ案)。

 

 

 世界恐慌とその影響

 しかし、そんな計画も1929年に破綻します。世界恐慌が発生したのです。アメリカにはもはやドイツに貸すお金はありません。そうすれば自然と計画は崩れ去り、ドイツはまたしてもお金のない状態に戻ります。

 

 ここで大切なのが窮地に立たされた大国はドイツだけではないと言うことです。よく第二次世界大戦の構図は全体・軍国主義の枢軸国 VS 民主主義の連合国とされていますが、「持つ国」VS「持たざる国」も一つの視点となります。

 

「持つ国」はアメリカ・イギリス・フランスです。

「持たざる国」は日本・ドイツ・イタリアです。

 

 広大な領土・豊富な資源・植民地を持つか持たないかです。「持つ国」は政策を実行できます。アメリカはニューディール政策イギリス・フランスはブロック経済で徐々に不景気からの脱出を図ります。

 しかし「持たざる国」はどうでしょう。何もできません。国内の産業を頑張るしかないですが、そんなことではまた米英仏に遅れをとってしまいます。ではどうすれば良いか。各国の出した答えは「奪うこと」でした。ないならないで奪えばいいんです。ドイツやイタリアの国民も、落ちてゆく自国を見て強力なリーダーを欲しました(日本は軍部の暴走なのでまた少し違う)。

 

 ドイツの憲法は連合国が作ったもので、皇帝の政治を終わらせ、選挙でリーダーを決める今と変わらない方式でした。こうすればヤバいやつがリーダーになることはないだろうと。しかし本当にヤバいやつは国民の心を掴むのなんてお手のもので、リーダーになるのなんて通過点に過ぎないのです。「アドルフ・ヒトラー」は簡単にドイツで権力を握り、大半の国民に支持されていました。ここからナチスドイツの暴走が始まります。ちなみにイタリアも「ベニート・ムッソリーニ」という人がリーダーとなります。

 

 

 日本の軍部

 一方日本ではリーダーとしては昔から天皇がいましたが、国の実権を軍部が握ることになります。

 発端となったのは度重なる軍縮条約の締結でした。政府は他国と軍備縮小の条約を結びますが、軍部はそれが気に食わない、許せなかったのです。さらに1931年関東軍(満州地方にいる日本軍)は南満州鉄道を爆破し、それを中国のせいにし、満州地域を占拠した後に満州国を作ってしまいます(満州事変)。それに同意しなかったのが犬養毅首相でした。軍部はさらに不満を募らせます。

 そうして起こったのが五・一五事件でした。犬養毅が軍部の人間に暗殺されてしまいます。さらに続けて起こった二・二六事件では政府の主要人物が殺傷されるということになりました。こうなっては、軍部はもはや誰にも止めることはできません。そうしてついに中国へ進軍し、日中戦争が勃発するのです。

 

 

今回はここまでです。世界各地でヤバい奴らが着実に権力を広げていきます。