1925年5月5日、加藤高明内閣によって普通選挙法が制定されました。これまで納税額で制限のあった選挙権が25歳以上全ての男子に与えられました。この時、女性にはまだ選挙権が与えられなかったので、普通選挙とは呼べませんが投票できる層に大きく変化があったことは間違いありません。

 そして、2025年はちょうど100年になります。ですので選挙について色々見ていきましょう。

 

 

今年の社会科2025選挙

 

 選挙の歴史

 

 

そもそも日本の選挙には4つの原則があります。

 

普通選挙:選挙権は年齢以外による制限を受けない

平等選挙:1人1票である

直接選挙:本人が直接行かなければならない

秘密選挙:無記名で投票すること(誰に入れたかバレない)

 

です。

 

 一番上の普通選挙の反対は制限選挙と言います。日本では1890年に選挙が始まってから、1945年になるまで永らく制限選挙が実施されていました。

 

 1890年の初めの選挙は「直接国税15円以上を収める満25歳以上の男子」しか投票権がありませんでした。その人口比は1.1%であり、国民の権利というには極めて弱いものでした。当時の帝国議会(今の国会)は、貴族院と衆議院の二院制でした。その衆議院の方のみを選挙で国民が選ぶということになります。

 

 そこから年月を重ねて納税額の制限を減らしていき、1925年には普通選挙法が制定されました。ここで有権者数は20%となり、制定前の5.5%を大きく上回ることになりました。この年、は【普通選挙法=誰でも投票していいよ】と【治安維持法=社会主義者は許さんけどな】の二つの法律が同時に成立したことにも注目です。

 

 そして第二次世界大戦に敗北し、日本は一気に民主化していきます。1945年、平塚らいてふ市川房枝が目指した男女問わずの選挙権が達成されます。「満20歳以上全ての男女」となります。ここで女性に初めて選挙権が与えられ、いわゆる「完全な普通選挙」が実現したのです。また帝国議会も国会に生まれ変わり、衆議院と参議院の2院制となり、どちらの議員も選挙で選ばれるため、より選挙権の重みが増したのです。有権者数も48.7%となり、ほぼ人口の半分となりました。

 

 また2016年には満18歳以上と選挙権の年齢が引き下げられ、有権者数はなんと83%にまでなりました。急に増えすぎやん!って思うかもしれませんが、いかに少子高齢化が進んでいるかがわかりますね。

 

 

 選挙の方法

 

 選挙にはこれが確実に正解という方法がありません。ですのでいくつかの選挙方式を組み合わせることでそのデメリットを打ち消し合うようにしています。ではどんな方法があるか見てみましょう。

 

小選挙区制

 地区をいくつかの選挙区に分けます。例えば衆議院議員総選挙では、東京は25個の選挙区に分けられていて、自分が住んでいる選挙区で投票を行います。品川区に住んでいる人なら東京第3区なので第3区に立候補している候補者に投票します。そうして全国に300の選挙区(295に減ります)があるのですが、「それぞれの選挙区から1人ずつ議員になることができる」のが小選挙区制です。

 

長所:大きい政党が勝ちやすい。お金がかからない。

短所:死票が多い

 

 死票とは1位の候補者以外に投票された票のことです。当選に結び付かなかった票という意味です。

 また、大きい政党が勝ちやすいことが長所というのは、小さい政党ばかりでは政権が安定せずに、政治が不安定になるからです。ですので理想は2大政党制になります。大きい政党が2つあれば安定する+暴走も抑えられるということになります。

 

 

大選挙区制

 小選挙区制と同じく選挙区を設定するのですが、「そこから2人以上の当選者が出ます」。小選挙区制ほど政権安定に結びつくわけではないですが、死票が少なくなります。

 

 

比例代表制

 比例代表制は選挙区制と違い、人ではなく政党に投票します。その政党の得票率に応じて議席が分配されます。

 

長所:死票が少ない。少数意見が反映される。

短所:小さい政党が議席を得やすく政権が安定しない。直接選べるわけではないので民意を完全に反映しているとは言い難い。

 

 比例代表制は政党があらかじめ議員名簿を届け出ていて、配分された議席分だけその名簿順に当選していきます。これを「拘束名簿式」と言います。対して2001年から参議院では「非拘束名簿式」が採用され、党だけでなく候補者にも投票できるようになりました。

 

 衆議院議員総選挙では小選挙区制と比例代表制を組み合わせた「小選挙区比例代表並立制」をとっています。小選挙区制で289人、比例代表制で176人の計465人になります。

 参議院議員選挙では(大)選挙区制と比例代表制で実施しています。

 

おまけ

 

 比例代表制における配分方法のドント方式を紹介します。比例代表制では、パーセンテージで決めるわけではなく、特殊な計算を使い議席を配分します。

例えば

7人が当選する比例代表のブロックで

【A党が2400票・B党が1800票・C党1080票・D党が600票】

獲得したとします。その後はこの獲得票数を1,2,3・・・で順番に割っていきます

 

÷1 A=2400 B=1800 C=1080 D=600

÷2 A=1200    B=900   C=540      D=300

÷3 A=800 B=600   C=360   D=200

 

となっていきます。ここからその商が大きい順に選びます。

  1. Aの2400
  2. Bの1800
  3. Aの1200
  4. Cの1080
  5. Bの900
  6. Aの800
  7. Dの600・Bの600
となります。7人目は二人いるのでここからは日本のルールです。なんとくじ引きします。その結果
・・・・・・
 
なんと!!
 
・・・・・・
 
Bの方が当選!!しましたのでBの議席となります。(どうでもいい)
まとめると、
 
A党3人
B党3人
C党1人
D党0人
となりました。
 
 
以上が選挙歴史と方法になります。これ以外にも知りたいことがある方はコメントください。では。