【第19回】リサイクル社会を目指して | NHK・にほんこども新聞

【第19回】リサイクル社会を目指して

木乃伊的生活.web

最近では世人の多くが環境問題に関心を持つようになったからなのか、エコ家電にはじまり、ロハスにリサイクル、ハイブリット車に調査捕鯨船の襲撃など、実 に多くの取組みが世界各国でなされている。とりわけ、「資源の再生」についての関心は高いようで、筆者もしばしばその日常において「こんなものも再生され るのか…」と驚かされることも少なくない。しかし、そうした状況の中、有効利用されない資源が少なからず存在していることも、また事実だ。なお、シーシェ パードの工作艇なぞは、イージス艦で沈めてやればいいと筆者は考えているが、今回それについてはひとまず置いておこう。


さて、ここで冒頭の画像をご覧頂きたい。この画像は、先般、都内の某高級住宅街のゴミ置き場で撮影したものである。この日は、いわゆる「資源ごみ」の回収 日であり、周囲には瓶・缶や、古紙の類が出されていたが、それに混ざって、とりわけ異彩を放っていたのがこのアイテムなのだ。実はこれ、道徳的観点から、 わざわざ画像を拡大することは避けるが、いわゆる「おとなのDVD」なのである。たしかに、考えようによっては「貴重な資源」だ。


成人男性の何割かは経験があるかもしれないが、通常、この手のアイテムというものは、その場の衝動だけで買い集めてしまうと、その後、ある時点を境に、収 拾がつかない状態に追い込まれてしまうものである。ましてや、一人暮らしのヤモメのジョナサンならいざ知らず、奥さんや彼女といった同居人がいる場合など はなおさらだ。しかも、物騒極まりないこのご時世、うっかり痴漢容疑の誤認逮捕でもされてしまい、家宅捜索でもされてしまえば、過去にどんな作品の愛好者 であったか?など、実に細かいリサーチをかけられることもある。おそらく、そうなった場合も、これらの作品群は、ほぼ確実に所有者の首を絞めるであろう。 痴漢なのに絞殺事件の発生だ。

あなたがもし、突如としてそんな災難に遭いたくなければ、今すぐ庭先に穴を掘って埋めて頂きたい。そうすれば後世の人々によって、歴史的遺産として扱われるかもしれない。貝塚ならぬエロビ塚の発見だ。



さて、ここで再び話を戻す。いずれにしかり、このアイテムの所有者も、何かの事情により、一気にそれまで所有していたコレクションを処分したのだろうと考 えられるが、それにつけても「資源ゴミ」である。素朴に「不燃物」として出せなかったのか?という疑問はあるが、もしかすると彼は、不燃物まで待てないと いう何らかの理由があったのかもしれない。「急に彼女と同棲することになった」「郷里の親が上京してくる」「余命1日だと知らされた」「友達の手前、ノン ケを装っていたが、その必要がなくなったので、趣味嗜好の異なる作品が急に忌々しくなってきて衝動的に捨てた」など、考えられる理由は実に様々だが、いず れにせよ、突然発生してしまった“やむにやまれぬ何か”により、ダメ元でこの日に出したのだろう。いくらなんでも、彼がこれらの代物を「資源」と認識した 上で、ルールを丸無視してまでも投棄したのだとしたら、あまりにハイブロウである。


だが、その一方で、そうした可能性が少なからず存在しているのもまた事実だ。兎角、世の男性諸氏のなかには、こうした「過去の恋人たち」に、並々ならぬ思 い入れを持っている人も少なくない。いくらやむにやまれぬ事情とはいえ、それを急に手放すはめになったとしたら、ほぼ間違いなく、捨てる直前に「再チェッ ク」するものだ。悲しいかな、それが男のサガである。

おそらく、これまで所有者はDVDの円盤が擦り切れるくらいに、これらの作品を堪能したはずである。「脳内ポストイット」を頼りに、思い出深い名シーンを 探り、しばし、なんともいえぬ感情に浸っていたかもしれない。そして、いざ「捨てる」となったときに、ふと過去の愉しい思い出が去来し、ある種のセンチメ ンタルな感情に襲われたのではないか。そんなとき、得てして男たちは、様々な苦悩や葛藤の末に恋人と別れるときがそうであるように、笑顔で彼女たちの後ろ 姿を見守るのだ。「次は絶対に俺よりもいい男を見つけろよな!」と。いつでも男という生き物は、実に不可解なセンチメンタル系黒歴史を、その人生に刻み込 んでいるものなのだ。まさに、男たちのララバイである。



最後にまったくもって余談ではあるが、今回、資源ゴミ回収所で見つけたこれらのアイテムは、当然のごとく回収されないであろうと、筆者は考えていた。しか し、しばらく時間を置いて再びこの場所を通りがかると、ノーマルの資源ゴミが回収されるよりも早く、これらの特殊資源だけが持ち去られていた。投棄主によ る復縁か、はたまた新しい出会いの始まりか。その結果について筆者は知る由もないが、これらが単なる不法投棄として扱われなかったことを知り、妙な安堵を 覚えたこともまた事実である。





今日も、男たちは、ひとには言えぬ黒歴史を、ひそかに紡ぎ続けている。