新たに防空識別圏を設定した中国に大きなプレッシャーをかけるため、アメリカ軍は、ステルスではない巨大な旧式の爆撃機を2機、堂々と飛行させた(11月26日)。

威勢の良い「防空識別圏」の設定の宣言とは裏腹に、中国はアメリカ軍の報復を恐れ、B-52爆撃機に対して警告を発することも、スクランブル発進をすることも出来ず、じっとだまって見過ごした。

恵 隆之介氏によると、中国には前科がある。そのため今回、アメリカに対して強く出ることが出来なかったのだという。

実は、中国には、昔、南シナ海の海南島付近でバンコク発-香港行きの民間航空機を撃墜し、3日後、アメリカ軍の報復を受けて撃墜された経験があるとの話。


■キャセイ・パシフィック航空機撃墜事件(Wikipedia) 1954年7月23日
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%B7%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F%E6%92%83%E5%A2%9C%E4%BA%8B%E4%BB%B6

1954年7月23日、何の警告もなく、キャセイパシフィック航空機が公海上で中華人民共和国の人民解放軍空軍によって撃墜された。乗客乗員18名のうち、10名が死亡した。

■Airliner Disaster, South china morning post, Saturday, July 24, 1954
http://www.helianthus-productions.com/schinapost.jpg

1954年7月26日、生存者を捜索している最中に攻撃してきた中国軍機2機を、アメリカ軍機が撃墜。

■South China Morning Post, July 27, 1954
http://www.helianthus-productions.com/aircombat.html

中国からは何も公式発表はなく、イギリスのキャセイパシフィック航空には賠償金268,500ポンド(当時のレートで約2億7千万円)が支払われたという。


この事件は、完全に中国による過失であり、中国はアメリカに自国の戦闘機を撃墜されても全く何も文句を言えなかったのだ。


【アーカイブ】沖縄の声-防空識別圏の危険性と沖縄の教育[桜H25/12/1]


恵氏も指摘していることではあるが、今回の中国の問題は、「防空識別圏」自体の問題ではない。更に、日本と中国の「防空識別圏」が1部重なっていることに問題があるのでもない。

「防空識別圏」について中国は勝手な解釈をして、「圏内を飛ぶ航空機は、中国国防省の指令に従わなければならない」、「指令を拒否したり、従わなかったりした航空機に対して中国軍は防御的緊急措置を講じる」として、防空識別圏に名を借りた空域の管轄権の主張をしたところに大きな問題があるという。これは明らかな国際法違反である。


■中国の防空識別圏設定(2013-12-01) 田母神俊雄 公式ブログ
http://ameblo.jp/toshio-tamogami/entry-11715953977.html


このような中国によるルール違反は大問題だ。

「ルールとは、自分が守るものではなく、相手に守らせるものである」というのが体に染みついているので、中国人は自分が力を持っているならルールを破るのは当然であり、悪いとは全く思っていないのだ。

こんな中国の覇権主義は、国際世論の支持を取り付け、実力で阻止しなければならない。

なお、11月26日の米軍機のアピールの前、11月23日に、日本はスクランブル発進をして、中国の設定した新たな「防空識別圏」から中国の偵察機を追っ払っていたことが明らかになった。


■鍛冶俊樹の軍事ジャーナル【11月27日号】中国空軍の敗北
http://melma.com/backnumber_190875_5936744/
『おそらく航空自衛隊のF15が緊急発進したのを見て中国空軍の戦闘パイロットは二の足を踏んだのであろう。中国にはJ10やJ11などF15に一応対抗できる機種はある。しかし稼働率が異様に低く墜落率が驚くほど高いと言われる。当然訓練も儘ならず、パイロットの練度も低い。
一口にいえば、空自のF15が出撃した瞬間に中国空軍は敗北したのである


自衛隊の出動記録は以下の通り。


http://www.mod.go.jp/js/Press/press2013/press_pdf/p20131123_02.pdf



これについては中国側からは何も発表がない。

劣勢を見破られたくないのがバレバレだ。

この先、中国はどうして良いのかわからなくなっている、というのは事実のようだ。

新華社通信を使ってウソの発表をしたり、工作員を使ってアメリカのマスコミ発表に細工をしたりしてあの手この手で世論形成を試みてはいるが、いよいよ、中国共産党の虚勢もこれまでだ。






■習政権メンツ丸潰れ 米爆撃機が「識別圏」を挑発飛行 虎の尾を踏んだ中国
  - ZAKZAK 2013.11.27
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20131127/frn1311271810010-n1.htm


■国際的慣例とは違う、異常な“中国式防空識別圏”=中国自身の首を絞める結果に(レコードチャイナ:2013年11月29日)
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79823&type=0


■【中国防空識別圏】中国が日米機に緊急発進、新華社が報じる 日本政府高官は否定 - MSN産経ニュース2013.11.29 23:23
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131129/chn13112923250013-n1.htm


■中国紙「闘争の狙いを日本に集中」 軍事衝突も辞さず - ZAKZAK 2013.11.29
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20131129/frn1311291531003-n1.htm


■米航空局「計画提出指導していない」NHK NEWSweb 11月30日 18時26分
http://megalodon.jp/2013-1130-2202-46/www3.nhk.or.jp/news/html/20131130/k10013472171000.html


■【中国防空識別圏】世界が反発、中国は迷走 設定から1週間 - MSN産経ニュース 11.30 21:59
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131130/chn13113022000008-n1.htm


■【松本浩史の政界走り書き】中国の防空識別圏は「張り子の虎」? それでも力む中国の意図とは - MSN産経ニュース 2013.12.1 18:00
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131201/plc13120118010006-n1.htm


■【中国防空識別圏】日本の対応策検討提案に米英豪が賛同、中国反発 ICAOで駆け引き - MSN産経ニュース 2013.11.30 18:38
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131130/plc13113018380015-n1.htm
日本政府は、中国が沖縄県・尖閣諸島周辺を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定した問題を受け、カナダのモントリオールで29日(日本時間30日)に開かれた国際民間航空機関(ICAO)理事会で「安全が脅かされる」として対応策を検討するよう提案した。外務省が30日に発表した。米国、英国、オーストラリアが賛同したが、当事者の中国は反発した。中国の防空識別圏問題は、国際機関を舞台にした駆け引きに発展した。