植物の苗木は様々な形状で販売されています。

オーソドックスなポットに入ったポット苗、根が剥き出しになった裸苗、そして畑から掘り上げた苗の根を麻布で包んだ根巻き苗などです。

根巻き苗は畑で大きく育てた後に掘り上げているので、ポット苗に比べて大きな苗を購入できるのが嬉しいです。


植替えの時に根鉢を崩すのか、崩さないのか悩む事があると思います。

植物の種類や季節、生育具合などで判断が変わってきますが、落葉果樹を冬場に植える場合は、移植を嫌う植物以外は崩して植える事が多いと思います。

崩して植える事で、土の入れ替えもできますし、古くなった根が落ち、新しい根の発生を促す効果も期待できます。


そして、本題の根巻き苗をどうするか?についてです。

教科書通りの回答をするのであれば、根巻きの麻布は土の中で分解されるのでそのまま植付けるです。

しかし、根巻きの中の土の状態はどうでしょう?

根の張り具合を理解せずに植えるのはどうでしょう?

麻布は分解されるとは言え、分解されるより早く根が麻布の中でパンパンになってしまったら、生育は確実に悪くなりますしその期間が勿体ないと思ってしまいます。

そのような考えがあるため、私は、ポット苗であれば根鉢を崩して植える植物は麻布を外しています。

その後、どの程度土を崩すかは土や根の状態を見て決めています。


苗の生産業者を信頼していないわけでは無いですが、どんな素晴らしい業者が生産した苗でも自分が作る土と合うかどうかは分からないため、麻布はできる限り外したいです。

明らかに違う土が鉢の中で2層になる事には抵抗があります。


では、早速麻布を外して根鉢を見ていきます。

紐を切る事で簡単に外す事ができます。

置いた状態で紐を切り丁寧に外せばよっぽど崩れる事は無いので、私の場合は根鉢を崩される事を嫌う植物でも外す事が多いです。

時間が許す限り目で見て状態を把握しておきたいというのが1番の理由です。


予想通り畑の土を押し固めたような状態でした。

露地に植える場合はこのままでも良さそうですが、当園の土とは全く違う物です。

多くの苗木を一括で管理しているので、できる限り同じ条件で栽培したいです。そのため、この土は崩していきます。


水を掛けながら土を落としました。

この時、簡単に切れてしまう根は弱っている根なので切ってしまっても問題は無いと思います。

そして、根を見られる状態にした事で、地上部と根の釣り合いが取れていない事が分かりました。

これほど立派な地上部でしたら根もこれの3倍は欲しいところです。

根を3倍に増やす事はできないので、地上部を1/3まで減らす判断をしました。


植え込み後です。


そして、剪定後です。

根を見たので地上部を減らす判断ができましたが、そのまま植えていたら、通常通りの剪定で終えていたと思います。


また、業者が使っている土を見る事も経験につながりますし、丁寧に根が巻かれている業者を見つけたら、リピートする判断にもなりますし、麻布を外して根鉢を見る事はオススメできます。

これから暖かくなり、落葉果樹の植付け期からは外れていきます。

植付け期外で根鉢を崩す事は植物の負担になりますので、夏場は麻布を外して土を見る程度に留めておくと良いと思います。