タイトルに元祖と書きましたが、チャンドラー登場以前にも巨大なブルーベリーはあったのかも知れません。
しかし、500円玉大になる最初の品種はチャンドラーだと思います。
チャンドラーは1994年に発表された品種で、ダロウの子、バークレーやブルークロップの孫にあたります。
日本には少なくとも10年以上前に入ってきているようで、2007年の各社のカタログには載っています。
1番下の会社は、親品種のダロウと同じページに載せているのがナイスです。
どれだけ物持ちが良いのか?という話ですね。未だに保管してありました。
かなり新品種の開発が進むブルーベリーですが、日本に現在入ってきているブルーベリーで安定してチャンドラーより大きい果実を実らせる品種は無いと思います。
ユーリカやタイタンなど500円玉サイズを狙える品種の数は当時と比べると圧倒的に増えましたが、どの品種も大粒ブルーベリーの代名詞をチャンドラーから奪い取るには至っていません。
チャンドラーが開発されてから30年近く経つので、そろそろ金柑やウズラの卵サイズくらいのブルーベリーが登場してもおかしくない気がしますが、ブルーベリー品種改良の拠点であるアメリカのトレンドが「機械収穫に向く」「熟期が揃う」「パリッと硬め」の品種なので、大きさがずば抜けた品種は当分出てこないと思われます。
果樹や野菜の品種は10年くらい経つと新品種にポジションを奪われて、過去の物になってしまうイメージでしたが、ブルーベリーは10年前に一線級にいた品種は大抵今も一線級のポジションは確保しているイメージです。
しかし、よく考えたらイチゴや梨、リンゴなんかも古い品種が未だに一線級ですね。
果樹で一線級を張れる品種は唯一無二の特徴があるから、新しい品種が出たところで特徴が被らなければ取って変わられるものでもないという事なのですかね?
話を戻してユーリカやタイタンは苗木購入に制約があるのに対して、チャンドラーはホームセンターでも見かける場合があるほど入手が簡単です。
当園もブルーベリーの中ではまずチャンドラーからスタートしたので、愛着のある品種ですが、味は良くも悪くも一般的にイメージするブルーベリーそのままな感じです。
甘味もありますが、酸味が勝っていて、特徴的な香りや風味があるわけでも無い普通のブルーベリーです。
他の多くの品種にも言えますが早採りすると強烈な酸味です。
摘み取り園などではサイズが目を惹くので、飛び道具的な位置付けで採用したら意外と味も美味しいから大人気になったという話を聞きますが、確かに大きいだけの品種だと思って食べたら味も美味しいです。
大きくて、味も最高の品種と期待して食べるとガッカリするかも知れません。そんな感じの立ち位置です。
サイズはスーパーで売られているブルーベリーしか見た事無い人であれば軽く驚くほど大きいです。
このサイズ感ならイチゴが嫌いな人向けにショートケーキの主役に使えるな。と考えています。
これで、味にも何かしら特徴があれば言う事無しなのですが、天は二物を与えないは果樹の世界では当てはまるようです。
木の特徴で言えば、葉は濃い黄緑でやや細長く大きいです。
ダロウも大き目の果実がなる品種ですが、チャンドラーには敵いません。サイズだけで言えば「青は藍より出でて藍より青し」という表現がぴったりなのですが、味は好みの問題かも知れませんが、ダロウの方が強い酸味の中にしっかりと甘味を感じられて好きかも知れません。
どの果樹でもそうですが、ブルーベリーには全ての面で優れた大谷翔平選手のようなスーパースターになれるような品種は少なく、それぞれの品種に一長一短があり面白いです。
チャンドラーとダロウのように、子が親を超えたようで、全ての面で超えたわけでは無いとか、説明文では凄そうな新品種でも、予期せぬ欠点があったりとか、完璧な品種が無いからこそ果樹栽培は面白いですし、多くの品種を集めたくなってしまいます。
集めた品種の力を100%出し切らせるのは栽培技術にかかっていますしね。
最後に栽培面の話を書いておきます。
チャンドラーはノーザンハイブッシュ系の中では暖地でも育てやすい部類に入るのではないでしょうか?
暑さにかなり弱いわけでは無いですし、土壌適応性もそれなりにありますし、乾燥にも極端には弱くないです。
暖かい地方だからノーザンハイブッシュ系を諦めている人でも割と大丈夫だと思います。
ブリジッタ、デュークやニュージーランド3兄弟のレカ、ヌイ、プルほど暑さに強くは無いですが、それらで上手くいったのであれば挑戦する価値があります。
ただ、ぴったり合うのは北陸や東北などの涼しい地域だと思うので、その地域の方はぜひ育てて500円玉サイズの果実を食べて欲しいと思います。