久しぶりに函館に来て、なぜかこの町にはまってしまい、当時住んでいた京都から函館月参りを始めたのが、2008年9月のこと。

 

全国津々浦々で、かつての中心街が寂れゆく中、JR函館駅前で、棒二森屋とWAKOという2つの地元デパートが健在であるのを目にして、この町はちょっと違う、まだまだ活力が衰えていない、と感動にも似た思いを抱いた。

 

しかも、この2つの地元デパートの前を、今や全国で5つだけになってしまった公営の路面電車が走っている。

そのことも函館の印象を強くした。

 

 

あれから10年余りが過ぎた。

すでにWAKOデパートは姿を消し、明日は棒二森屋が閉店する。

いったいこれは何なのだろう。

 

10年も眺めていると、徐々に函館の実像も透けて見えるようになる。

近年は函館でも外国人観光客が急増し、ホテルは建設ラッシュ。

ブランド総合研究所の魅力度調査で、これまでに5度、全国1位に輝いている。

しかし、人口減少率は全国トップクラス。

 

何とかしなくてはならないのだろうが、誰も何ともできない、

というのが今の日本の地方都市の現実のような気がしてならない。

 

せめて自分のできることといえば、

この現実に、まずはもっと目を向けてもらえるようにすること。

オリンピックに、万博、インバウンドで盛り上がるのもいいけれど、現実はこうなのだ。

 

そういう思いで、まずは

「かつて栄えた地方都市の駅前からデパートが消えるの歌」

「鉄道が消えた町」

「10年間でなくしたもの」

という3曲の入ったマキシシングルCD “Songs for the people here”を発売した。

(上のリンクより、歌の一部が試聴できます)

 

 

その後、ひょんなことから棒二森屋の記念誌の編集・発行を引き受けることになり、

編集期間わずか半月ほどという突貫工事で『棒二森屋物語』を、昨年末に刊行した。

 

 

そしてこの、函館駅前から老舗デパートが消えるという現実を、なるべくたくさんの人に伝えるべく、

CDと記念誌発行のプレスリリースを在札幌のテレビ各局に送付したのだが…