作詞が凄いアーティスト 〜スピッツ編〜 | 書きたい時に書きたい事だけを書き殴るブログ 〜筆者:長濱裕基〜

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ブログ初心者が書きたい時に書きたい事だけ書き殴り続けた先に何が待っているのか。知識は皆無。注意は散漫。方向性は迷子。さて何を書こうか。

どうも皆様お疲れ様です。

 

 

 

2回連続で作詞のススメという記事を投稿しましたが、嬉しいことに「参考にします」といった有難いお言葉をいくつか頂戴しました。

 

 

 

あの…あくまで僕個人の持論ですので、

これが正解かどうかはわからないですよ?

 

 

 

…といった前言い訳から始まる今回の記事では、

 

 

 

実際にプロで活躍されているアーティストの方々の珠玉の歌詞を見て、

 

そこから歌詞の書き方や作り方を研究してみようというコーナーです。

 

 

 

まぁ研究というほど大袈裟なものでもないですが、

 

 

 

僕が考える「この歌詞はここが凄いと思う!」的なものを紹介していければと思っています。

 

 

 

最初は凄いと思う歌詞を何曲か紹介する記事にしようと思ったのですが、

 

 

 

作家性とか歌詞の方向性なんかが固定している方が紹介しやすいと思いましたので、

 

 

 

僕が個人的に歌詞が素敵だと思うアーティストを紹介したいと思います。

 

 

 

映えある第一回目に紹介するアーティストは、こちら。

 

 

 

 

 

スピッツです。

 

 

 

まぁここは歌詞が凄すぎるバンドですよね。

 

 

 

もう個人の作家性というか、変態性とかがものすごく滲み出ているし、

 

 

 

技術的なことでいうと比喩・メタファーの表現が物凄くうまいです。

 

 

 

よくこれだけエロ方向全開な歌詞にキャッチーなメロディを乗せれるよなって尊敬します😄

 

 

 

このスピッツというバンドは、ボーカルの草野マサムネさんが全曲作詞を担当しているのですが、

 

 

 

音楽雑誌「ロッキンオンジャパン」1994年のインタビューでは、歌を作る時のテーマは

「セックスと死」と話されています。

→このインタビューから大分経っているので今もそのままかどうかは分かりませんが😀

 

 

 

そんなスピッツ、草野マサムネさんの凄いと感じた歌詞を紹介していきます。

 

 

 

有名曲しか知らないという人も、是非触れてみてください!

 

 

 

①「渚」

 

 

 

 

 

 

「渚」は1996年にリリースされ、「ロビンソン」「チェリー」の大ヒット曲の後に発売されました。

 

 

 

スピッツがオリコン初登場1位となった最初のシングルでもあります。

 

 

 

全体を通して爽やかな印象があり、サビで聴ける伸びやかな高音が特徴の名曲です。

 

 

 

そこで紹介する歌詞は、最初の方に出てくるこちら。

 

 

 

「ぼやけた六等星だけど 思い込みの恋に落ちた」

 

 

 

皆さん、この歌詞どう解釈しますか?

 

 

 

例えば登場人物が「僕」と「君」がいたとして、

 

 

 

この「ぼやけた六等星」を「僕」とするか「君」とするかで歌詞の解釈が大きく変わってしまいます。

 

 

 

1)ぼやけた六等星=僕の場合

 

 

「こんな冴えない僕だけど、それでも思い込みで恋をしたんだ」

 

 

「ぼやけた六等星」を、何の取り柄もない自分と置き換えると、そんな自分でも好きになったあの人のところに向かっていきたくなったんだ、という解釈ができるかと思います。

 

 

この表現がなかなかにくいんですが、これがもし逆だったらどうなるか?

 

 

2)ぼやけた六等星=君の場合

 

 

「あんまり可愛くない君だけど、思い込みでも好きになれるもんだねぇ」

 

 

という、なかなかにゲスい印象に変わってしまいます😄

 

 

 

てか女性に対して「ぼやけた六等星」って表現、結構厳しくないですか?

 

 

 

センテンスの美しさに惑わされそうですけど、これ結構辛辣な表現だと思うんですが😄

 

 

 

この歌詞の凄いところは、

 

 

 

聴き手の解釈によって歌詞の意味が変わる、非常に奥深い歌詞であるということです。

 

 

 

スピッツの歌詞の表現力は非常に独特かつ繊細なので、よく歌詞を読み込んでみると面白い発見が色々あります。

 

 

 

では次の曲に行ってみましょう〜😄

 

 

 

②「さわって・変わって」

 

 

 

 

 

 

表現力でいえばこの曲も非常に秀逸です。

 

 

 

「さわって・変わって」は2001年発売のシングルです。

 

 

 

この曲、軽やかなメロディに隠れて、歌詞は結構エロいと思います。

 

 

 

紹介する歌詞はこちら。一番のサビ前の歌詞です。

 

 

 

「ぬるい海に 溶ける月 からまるタコの足」

 

 

 

もうこれアウトやろ😄

 

 

凄い表現じゃないですか?

 

 

 

この「からまるタコの足」っていう表現が最高ですね。

 

 

 

タコの足=8本ですよね。その8本が絡まるといえば…

 

 

 

そうですね。男女の営みとしか考えられないですね😋

 

 

 

そこに「ぬるい海」に「溶ける月」ですよ?

 

 

 

ここはあえて書きませんが(もうほぼ書いてます)、

 

 

 

「男女の営み」の中で、この「ぬるい海」と「溶ける月」は何をメタファーしているか、考えてみてください。

 

 

 

いや、恐ろしいよね😃

 

 

 

こういう解釈をすると、この曲がゴールデンタイムで流れていたことがパンクにしかならないです。

 

 

 

この歌詞の凄いところは、

 

 

 

深夜のコンプラ番組をゴールデンで放送させるような、卓越した比喩表現です。

 

 

 

これを女子に歌わせるメロディをつけるスピッツは凄い😋

 

 

 

これ以外にもスピッツにはエロの隠喩表現がある曲がたくさんあります。

 

 

 

でも比喩表現の技術が高すぎて、不快指数が全く高くならない。もう神ってる。

 

 

 

筆者のボキャブラリーが尽きる前に、次にいきましょう。

 

 

 

③「8823」

 

 

 

 

 

スピッツのライブ定番曲でもある名曲。

 

 

 

こういうライブ映えする曲を聞くと、改めてスピッツはロックバンドだと再認識します。

 

 

 

2000年にリリースされたアルバム「ハヤブサ」のタイトル曲。

 

 

 

紹介したい歌詞はこちら。二番サビ終わりの歌詞です。

 

 

 

「君を不幸にできるのは宇宙でただ一人だけ」

 

 

この歌詞、普通だったらありえない歌詞じゃないですか?

 

 

 

「君を幸せにできるのは僕だけだ」という歌詞の方が、君に対する想いは真っ直ぐですよね。

 

 

 

でもここでは「不幸」という言葉を乗せています。

 

 

 

おそらくですが、

 

 

 

「あなたを幸せにします」も、

 

 

 

「あなたを不幸にします」も、

 

 

 

ベクトルは違うだけで、想いの強さは同程度だと思うんですね。

 

 

 

ただどうでしょうか。

 

 


その人への思いの示し方としては、「君を幸せにできるのは僕だけ」と言われるより、

 

 

「君を不幸にできるのは僕だけ」の方が思いが強く感じられませんか?

 

 

 

というのも人生って何があるかわからないですから、

 

 

 

どれだけ相手を愛していても、その想いが永遠に続くとは断言しにくいです。

 

 

 

「君を幸せにできるのは僕だけ」っていう言葉には強い愛情を感じますが、根拠や確信が持ちにくいと思います。たとえその思いが本物だとしても。

 

 

 

でもその思いが本物であるならば、

 

 

 

「君を不幸にできるのは僕だけ」という言葉には、根拠も確信もあるように感じてしまう。

 

 

 

だって自分の好きな人を傷つけることって、多分やろうと思えば確実にできますよね?

→するしないは別ですよ?

 

 

 

でもその行為って、赤の他人にされても傷つかないんです。

 

 

 

自分が心から愛する人から傷つけられるから、傷つくんです。

 

 

 

つまりこの歌詞は、

「あなたを傷つけられるのは僕しかいない」

「それだけ僕はあなたにとって大切な存在なんだ」

ということを一文で表現しているのではないかと。

 

 

 

あいつのこと悪く言っていいのは俺だけだから」みたいな😋

→この喩えが正しいかは知りませんが。

 

 

 

この歌詞の凄いところは、

 

 

 

自分の想いとは敢えて対極の言葉を用いて表現の仕方を工夫することで、自分の想い以上の感情を表現しているところです。

 

 

 

作詞が難航する方は、今のテーマとは対極の言葉を引き出してみるのも面白いかもしれません。

 

 

 

長くなる予感がしてきた。次にいきます!

 

 

 

④「ワタリ」

 

 

突然ですが、ここでクイズです。

 

 

 

問題:

 

「寂しい黄昏」に何を加えれば最も切なくなるでしょうか?

 

 

 

よければ皆さん、考えてみてください。

 

 

 

そもそも寂しい黄昏って表現ですでに大分切ないんですけどね。

 

 

 

ですがここにもう一工夫して、切なさを増大させたい。

 

 

 

作詞あるあるですよね。

 

 

 

どうですか? 何か加えられたでしょうか?

 

 

 

「寂しい黄昏は誰かに会いたくなる」

 

 

 

「君がいなくなって気づいた寂しい黄昏」

 

 

 

「どうすればこの寂しい黄昏は過ぎていくんだろう」

 

 

 

作詞時間0分の僕の頭で書いた上の文章でも、わりかし寂しい感じにはなってます。

 

 

 

さてここに何を加えれば最も切なくなるのか。

 

 

 

スピッツの名盤「スーベニア」収録の「ワタリ」にて、草野マサムネさんはこのように回答されています。

 

 

 

 

 

 

「寂しい黄昏に泣ける贅沢」

 

 

 

はい、答え出ました。これです。

 

 

 

もうこれ以上の切なさはないでしょ?

 

 

 

「寂しい黄昏」をどう脚色しても、これ以上の切なさは表現できないです。だって元の言葉の時点で十分寂しいわけですし。

 

 

 

というよりもあまり脚色を多用しすぎると表現がごちゃついてしまいますもんね。

 

 

 

そこに登場するのが「泣ける贅沢」という訳です。

 

 

 

比べてみてください。

 

 

 

「寂しい黄昏を見て悲しく切ない気持ちになってしまう」感情と、

 

 

 

「寂しい黄昏を見て泣ける気持ちを贅沢だと羨む」感情、

 

 

 

どちらの方が切ないでしょうか?

 

 

 

後者の人だって、本当は黄昏を見て泣きたいんです。

 

 

 

でも泣いたりできない、泣いてる場合じゃない訳です。

 

 

 

そこには単純ではない感情の動きや、心の葛藤などが描かれているように感じます。

 

 

 

この歌詞の凄いところは、

 

 

 

素材の良い言葉を調理法に細部までこだわることで最高の表現が生まれているところです。

 

 

 

「ワタリ」という楽曲は、渡鳥のように掟やルールの国境を超えていく覚悟を歌った曲だと思っています。

 

 

 

だから歌詞全体を見ると凄く強い言葉も多く書かれているんですが、

 

 

 

この歌詞があることで、「本当は皆のように平穏な生活がしたい」という弱さも垣間見えます。

 

 

 

この辺のバランス感覚も非常に優れた詞だと思います。

 

 

 

皆さんもよければ、「寂しい黄昏」に続く言葉、探してみてください。

→それも作詞の練習になります!

 

 

 

いよいよ最後の曲紹介です。

 

 

 

⑤「若葉」

 

 

 

 

 

 

この曲は「櫻の園」という青春群像系の映画の主題歌だったそうです。

→未視聴のため感想は控えさせてもらいます。当たり前や。

 

 

 

どことなく優しいメロディで、卒業式なんかでも流せそうな曲なんですが、

 

 

 

友人関係や恋人関係、夫婦関係などの人間関係全てに通ずる、とても印象深い歌詞があります。

 

 

 

それが次の歌詞です。これは凄いというより考えさせられました。

 

 

 

「暖めるための火を絶やさないように 大事な物まで燃やすところだった」

 

 

 

本来暖めるという行為は、自分を守る、そして周りの人を助ける、正しい行為です。

 

 

 

だから暖めるために火を燃やし続けている訳ですよね。

 

 

 

目的は「暖める」ことだったはずなんです。

 

 

 

でもいつしか目的が「火を絶やさない」ことに変わってしまい、

 

 

 

絶対に燃やしてはいけない物を燃やそうとしてしまう。

 

 

 

これ今のSNSでの誹謗中傷とも重なるんですが、多分そういう方々は「絶対燃やしてはいけないものを燃やしてしまっていることに気づいていない」のかもしれません。

 

 

 

僕らもそうじゃないでしょうか。

 

 

 

その人のためを思ってした行為が実は全く意味を持たなかった。

 

 

 

自分がした些細なことが、相手を気付けてしまっていた。

 

 

 

いつの間にか「燃やしてはいけない物」を燃やす行為をしてしまっていた。

 

 

 

この曲は過去に過ちを犯しかけていたことを回想する歌詞なのかもしれません。描かれているのが現在だったら過ちに気づけていないからです。

→全体を見るとそうじゃないとも思いますが、あくまでこの一文だけで見れば。

 

 

 

あの時は気づけなかった。自分がしていた過ちや幼さに。

 

 

 

でも今になってやっと理解した。あれは間違っていたんだ、と。

 

 

 

この歌詞だけで、ここまで深く重みのある物語が想像できる訳です。

 

 

 

しかもこの歌詞って、見たことないような言葉ひとつもないですよね。

 

 

 

ただ当たり前にある言葉で作った文章なのに、心打たれる訳です。

 

 

 

ある意味、作詞の完成形かもしれません。

 

 

 

この歌詞の凄いところは、

 

 

 

ありふれた言葉や文章が描く、濃密で深い世界観です。

 

 

 

難しい言葉を知らないと書けないんじゃなく、文章の組み合わせや構成の仕方で、これだけ深い歌詞が書ける訳です。

 

 

 

スーパーの特売品でミシュランレストランでフルコースを作るような感じでしょうか😄

→たとえが本当にイメージダウンですみません。

 

 

 

 

今回の結論

 

結局歌詞を考察するのが一番上達しそう

 

 

 

今回紹介しなかった歌詞以外にも、スピッツには素敵な曲が山ほどあります。

 

 

 

わかりやすいのもあれば、ものすごくわかりにくいものまで、非常に考察しがいのある曲ばかりです。

 

 

 

是非とも作詞の参考に、というか普通にいい曲ばかりなのでオススメです。

 

 

 

作詞に関連した記事もまた不定期ながら更新していきます。それ以外の記事も。

 

 

 

もし「このアーティストの歌詞がすごい!」みたいな人を知っている方おられましたらコメントしてみてください。

 

 

 

それではまた次の投稿でお会いしましょう!