輸血医療「第2のイノベーション」

1900年、オーストリアの病理学者カール・ラントシュタイナーが血液型を発見し、輸血医療の道を拓きました。以来、輸血は医療の最も基本的な治療手段の一つとして普及しています。しかし輸血に必要な血液は保存法などについて進歩がみられるものの、依然として献血に頼っているのが現状です。

それから100年以上を経た現在、東京大学と京都大学の研究成果として、iPS細胞から血小板を産生する技術の開発に成功しました。輸血に必要な血小板の安定供給を実現するこの技術革新は、まさに医療現場が100年以上待ち望んだ「第2のイノベーション」といえるものです。

iPS細胞

iPS細胞

私たちメガカリオンは、この技術の臨床への応用をめざし、iPS細胞由来の血小板製剤の実用化を実現するために設立されました。国内外のアカデミア研究機関や企業と連携しながら、安全な血小板製剤を安定供給する生産技術を確立し、輸血医療「第2のイノベーション」を実現し、日本と世界の医療インフラの進展に貢献します。

手術に欠かせない血小板

ヒトiPS細胞から作成した血小板(緑色)がマウス血管内(赤色)で止血に働いている様子

ヒトiPS細胞から作成した血小板(緑色)がマウス血管内(赤色)で止血に働いている様子

血小板は血液製剤の主成分で、血管が損傷したときに集まり出血を止める重要な役割を担います。
とくに手術では大量に必要とされ、医療機関では欠かせないインフラ的な存在ですが、冷凍保存は不可能で、常温の保存期間はわずか4日程度です。

HLA適合血小板製剤の安定供給

赤血球にはA型、B型、AB型、O型などの血液型がありますが、 同様に白血球にもヒト白血球抗原(HLA:Human Leucocyte Antigen)と言われる型があります。繰り返し輸血が必要な患者は、自己と異なるHLAに対して抗体を産生してしまうため、HLAを一致させた血小板の輸血が必要になります。同じ型のドナーは、兄弟姉妹間で4人に1人、非血縁者間では数百人から数万人に1人の確率となり、ドナーがなかなか見つからない状況も数多くあります。
また、現在研究が進む再生医療の中でも、血小板製剤は非常に大量の細胞を必要とします。例えば網膜色素細胞が約1万、ドーパミン再生細胞が約100万、神経幹細胞が約1000万の細胞数を使用するのに対して、血小板製剤は2~3000億個の細胞数が必要で、しかも継続的に輸血する場合は、その回数分の細胞数が求められます。
こうした背景から、HLA適合血小板製剤の大量生産を可能にする当社の研究には、医療現場から大きな期待がかけられています。