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原発ストップ:どうする夏の電力/中 「オール電化住宅」戸惑い ~ 毎日新聞より

◇振り回される消費者

 大阪市の都心部にほど近い、北区と都島区の境を流れる大川(旧淀川)沿い。ここ数年、タワー型の高層マンションが次々と出現している。給湯や調理、冷暖房を電気に頼る「オール電化住宅」が多い。原発とオール電化は一見結びつかないが、エネルギー事情に詳しい山藤泰・関西学院大客員教授は「オール電化は、原発の運転を止めないための方法。逆に言えば、原発が止まればオール電化を売る目的がなくなる」と指摘する。

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 今月10日、関西電力は一般市民も含む節電要請を発表した。その直後、この地域のオール電化マンションを回ると、住民たちは一様に戸惑いを見せた。

 2歳の長女を公園で遊ばせていた主婦(33)は「元々無駄に使っていない。冷蔵庫は止められないし、昼間はできるだけ料理せず、冷房の温度設定を上げるくらい」と困惑する。数日前に扇風機も購入したが、近く2人目を出産予定で、「乳幼児2人を抱えて暑い夏をどう乗り切ればよいのか」と不安げだ。

 一方、夜勤が多いという公務員男性(40)は「昼間寝るのに『冷房を使うな』とでも言うんか」と憤る。今年2月に入居した際、「オール電化は光熱費が安くてエコです」と不動産業者から説明された。「それほど安くならないし、本当にエコかも分からん」と怒りが収まらない。

 大阪の消費者団体「全大阪消費者団体連絡会」(大阪市中央区)には10日午後、関西電力の担当者が節電要請を説明するため訪れた。飯田秀男事務局長は「節電自体は悪いことではない」と前置きしたうえで、オール電化住宅について「ガスや熱利用など別の選択肢を奪ったのだから、供給責任を全うすべきだ。消費者を振り回している」と批判した。

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 関電管内のオール電化戸数はここ数年、年間10万戸のペースで増加を続け、今年3月時点で約86・7万戸。東京電力(約89・8万戸)とトップを争う。東電の経営規模が関電の約2倍であることを考えると、関電管内の高い普及ぶりが際立つ。

 原発はフル稼働を前提にしており、深夜などは供給能力に余裕ができる。原発の増設や稼働率の上昇に合わせ、電力会社は深夜電力の料金単価を大きく下げ、オール電化を売り出してきた。山藤客員教授は「オール電化にすることは、好むと好まざるにかかわらず、原発を推進することになると、消費者は認識しているだろうか」と疑問を投げかける。