昨日、なんと我が家の太陽光(最大出力7.84kW)が、8.1kWの瞬間最大出力を記録しました。
嫁が目撃しただけで写真とか取れてません。
曇天時に雲の隙間から直射日光が差し込むと快晴時の日射量の1.2倍程度になる効果が出た模様です。一瞬なので総発電量にはほとんど利きませんが、うれしいですね。
さて、今日のお題ですが、そろそろ気が付いている人もいると思いますが、現実にはまったく役に立たないことをこのGWにせっせと書いています。
先日の固定資産税もそうですが、もう買ったのに太陽光パネルの容量について考えたって仕方がないです。でも、気になるからウダウダ考えています。
今日の疑問の始まりは、この快晴時発電波形からです。
こちら小平パナ5.52さんのHITの波形を30度の勾配の屋根に換算した春分の日の波形です。
縦軸の容量あたりの発電量は、発電システム全体の効率を示しています。
なんと0.9を越えています。パワコンの効率は、パナソニックなら94.5%なんだから効率が0.9超えたっていいじゃないかと考えるかも知れませんが、これは変なのです。実際の発電では、パワコン意外にも様々ロスがあるため、効率は良くて0.8前後になると私は理解していました。
効率が1せまる、もしくは超える方もネット上では多数見かけます。あくまでネットですから自慢のためにごまかしている人や宣伝のため過大な記事をあげているケースもゼロではないでしょう。
しかし、そうだとするとそのような事例が多すぎます。パナソニックの社員は大勢いるから組織的な陰謀だと考えるにしても人数が多すぎます。っていうか三洋時代からの発電所の方が報告や解析は詳細だったりします。HITの効率が妙に高いというのは事実だと私は考えています。
そこで見かけ上、効率が高くなる理由について次の順で考えてみました。
1.日照量の量と中身
2.最大発電量はどうやって決めているか
3.システム全体の効率はどうやって決まっているか
4.発電量の誤差
1.日照量の量と中身
発電量は、太陽の光の量で決まりますから南にいけば発電量が増えると多くの人が考えるでしょう。原理的には、間違いではないのですが、実際にはそうなりません。太陽の高度にパネル角度をあわせれば受け取ることのできる日射量にはそれほど大きな差はあないのです。違いは、緯度の違いで太陽の光が大気に吸収される量だけになり、空気の透明度の差などの方が大きくなります。
春分の日前後の快晴時の日照量をNEDOのMETPV-11を利用して札幌と東京と沖縄で30度の勾配で比較するとこのようになります。
北海道(十勝) 3.7MJ/hm^2 > 1027W/m^2
東京 3.4MJ/hm^2 > 944W/m^2
沖縄 3.3MJ/hm^2 > 917W/m^2
JIS規格の1000W/m^2 に届くのはこの中では高緯度の北海道だけです。
地域によって年間発電量ではかなり差がつきますがコレは、緯度による日照の差より晴れの時間の長さ、日照時間の方が良く効きます。
いづれにしても今日のお題に戻すと場所が違うから発電効率が高いことを単純な日照量に求めることは難しいということです。
しかし、こんなことを感じたことはないでしょうか?
海の日差しは強い。
そうです。緯度が変わるほど移動しなくても日差しが強い場所は存在します。しかし、METPV-11の気象観測の記録を見る限り、日照量の地域差は安定しています。
気象観測は、3種の日照計を用いて行われます。
全天日照計 すべての日照量を測定する。
直射日照計 太陽の直射光のみを測定する。
散乱日照計 散乱光のみを測定する。
です。
正式な日照量の測定法は、直射日照計と散乱日照計を加えて全天の日照量としたものです。
METPV-11でも、この直射日照量と散乱日照量の双方がデータベースに記録されています。
このデータベースを元に太陽光発電は設計されているのでこの中に入っていないものが誤差要因となります。
この中に入っていないもののひとつは、地上からの散乱光です。
気象観測は、場所による差が出にくい地点を選びます。これに対して海面など光の反射面が近い場所にあると低角度の散乱光の成分がかなり増えると予想します。
つまり、条件がそろうと日照量が気象観測結果より多い地域というのはありえるということになります。
しかし、これは地域差ですからHITのユーザーがみんな海に住んでいるわけじゃないですよね。少なくとも小平は海じゃないです。
特殊な場所を除けばこの影響もさほど大きくないはずです。
2.最大発電量は、どううやって決まるのか
コレは、JIS規格で定められいます。
単純に書くとこうなります。
日照量 1000W/m
大気の吸収 AM1.5
セル温度 25度
日照の中身はやはりJIS規格で決まっています。
コレに準拠した太陽光発電のソーラーシュミレーターを使って測定します。
ソーラーシュミレーターは太陽光発電モジュールに実際に光を当てて発電させて出力を測るものです。
すべてのパネルが測定され出力対比表が作製されます。
この出力対比表の出力は、メーカーの公証値の90%以上でなければクレームをつけることができます。
発電量が多いことは、単純にこの出力対比表に示された実際の出力に求めることも可能です。
一時、HITの発電量は105%くらいあるからお徳だといわれたころもありましたが、最近は各メーカーとも差が少なくなって着ているような気がします。
先日、ネットで公開している人を探して回ったところどどこも103%前後で大きな差はないようです。
では、このソーラーシュミレーターのところで差が付かないかというと私は、散乱光の成分で差が付く可能性があると思っています。
ソーラーシュミレーターは、平行で一様な光であることが要求されています。
これに対して自然の光は、斜めに入射します。特に散乱光は、全方位に飛んでいるので必ず低角度成分を含みます。
反射防止の方法は主に二つあって黒色にする方法と表面テクスチャを用いる方法があります。
垂直の直進光なら差はないか、黒色が有利と思いますが、低勾配なら表面テクスチャが有利になると予想します。
直接比較した資料は見つからなかったのですが反射防止フィルムのプレゼン資料を見つけました。
ピラミッド状の表面テクスチャを持つHITは、実際の日射には含まれている低角度の光や散乱光に強いのではないかと予想しますが、定量的なデータがないので評価はなかなか難しいところです。
もっとも散乱光の成分自体が日射のうちせいぜい20%程度なのでこの効果による発電量の上昇は大きくても2%程度と予想します。
3.システム全体の効率はどうやって決まるのか
JIS規格によると
日射量年変動補正係数 0.97
経時変化補正係数 結晶系 0.95 アモルファス系 0.87
温度補正係数 結晶系 0.97 アモルファス系 0.88
アレイ回路補正係数 0.97
アレイ回路負荷整合補正係数 0.94
パワーコンディショナ回路補正係数 0.9
となっています。
メーカーから提供された値がなければ、この値を使って計算することになってます。そのまま計算すると効率は0.7くらい、70%になります。
日射量年変動補正係数は、天気の変動の誤差ですが、今回は快晴で考えているので考える必要はないでしょう。
経時変化補正係数は、初年度の報告と仮定して、かつベストコンディションの日を想定すれば汚れなしということにします。ただし、太陽光の波長変化や入射角度の補正は残るので結晶系で0.96、アモルファスで0.99となります。HITは間を取って0.98としてみます。
最大出力温度係数は、温度変化の係数です。先の測定した日の平均気温は5.8度なのでコレもJISの値から屋根一体型の温度上昇は、21.5度なので屋根温度は27.3度で計算することになります。
これから計算すると温度係数は0.993となります。計算おかしくないかと思った方もいるでしょうがあくまでJISに準拠していますのであしからず。何気にこの計算は私はかなり、ショックだったのですがこれについてはまた後日。
アレイ回路補正係数は、ダイオードや配線による損失です。
アレイ回路負荷整合補正係数は、発電の動作点の制御による損失の見積もりです。MPPTと呼ばれる制御技術の発展でかなり小さくなってると思うのですが現実的な数字を拾えてません。
インバーター回路補正係数は、パワコンの変換効率です。HITなら94.5%ですから0.945になります。。
よく解らないのが、アレイ回路補正係数とアレイ回路負荷整合補正係数です。
システムの内部抵抗やダイオードのロスの値なのでコレが公開されればいろいろ参考になると思うのですが、今のところメーカーごとの差異は公開されていないようです。
システムの組み方でかなり変わるとは思うのですが、何らかの形で公開して欲しいです。
仕方がないのでJISの値を採用します。
以上をすべて掛け合わせると理想的なシステムの効率が出てきます。
結果は、効率83.9%です
汚れを無視するという仮定がちょっとどうかと思わなくもないですが、JISに従って計算するならこれが上限のはずです。
4.発電量の誤差
最後に測定誤差です。
太陽発電量や売電量は、それぞれCTセンサで測定されています。
メーカーの仕様を見ると測定誤差は2%だそうです。
ネットで実際の誤差を調べた方を探してみたところプラスマイナス1%程度が一般的なようです。
ちなみに私は、なぜが発電量だけ4%ほど少なく表示されています。
売電量は、メーターと一致してるんですが・・・
なんで?
まぁコレは、実際の発電量が変わるわけじゃないからかまわないんでけどね
以上まとめると
日照量の地域差は±10%
散乱光の増加 0~+2%
システムの効率 83.9%
発電量測定誤差 ±1%
よってピーク時の出力は、理想的には 74.8~95.1% となります。
出力対比表を加味して100~105%とすると74.8~99.8%
となり、すべて最大で見積もれば見かけ上効率が1になっても悪くなさそうではありますが、まだ現実に追いついていない感じです。
日照量が110%に達するなどというのは特殊なケースだけです。
やはりシステム効率のアレイ回路補正係数とアレイ回路負荷整合補正係数のJISの見積もりが過大なのではと思うのですが資料がないのでなんともいえません。
太陽光発電の効率は、最後はほんの1、2%のロスを減らす積み重ねで結構差が出るものです。
太陽光のモジュールの効率とパワコンの効率だけ見るよりもメーカーシュミレーションや実績をよく確認して選ぶのが良いと思います。
ながなか難しく書いておいてつまらない結論ですいません。
ここ数日、アレコレ書いててさすがに疲れてきました。
今日は、これから庭で穴ほりです。
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