Life in the Lone Star State -93ページ目

シンジケートローン契約(Vol.10)

第10回は借入人の支払義務に関する規定についてです。

まずは、LSTAの借入人の全ての支払義務に適用される一般条項を引用します。

The Borrower shall make each payment required to be made by it hereunder (whether of principal, interest, or fees, or of amounts payable under section [Yield Protection] or otherwise) prior to 12:00 noon, New York City time, on the date when due, in immediately available funds, without deduction setoff or counterclaim.

ここで “immediately available funds”という表現が使用されていますが、これは要するにCashと同等のものでということです。実際は現金を手渡しするわけにもいかないので、通常はWire Transferによる入金という方法が取られます。この表現を入れておかないと、小切手による支払いも可能ということになってしまい(アメリカでは小切手による支払いが通常よく利用されています。)、 小切手を受け取った貸付人は、小切手を換金するまでに数日を要し、その間の運用利益を損なってしまいます。

日本のシンジケートローン契約でも「即時利用可能な資金で」という表現が使われていることがあります。初めてこの表現を見たときに「即時に利用できない資金」とは?と思いましたが、もともとの趣旨はこういうことです。

また、LSTAでは弁済日の何時までに支払うという支払時限についても規定してあります。これは2つ理由があって、1つは時限を特定しておかないと、仮にその日の営業時間内に支払いがなされなかった場合でも、そこからすぐに相殺や担保権の実行などの回収手続に入ることはできず、翌営業日まで待たなければならないという判例があるためだそうです。(アメリカは何でも判例がありますね。)もう1つは、金融機関としては、弁済を受けたその日から早速その資金を別の運用先にまわしたいわけで、これが午後の遅い時間に弁済がなされると、事実上翌営業日からしかその資金を動かせず、1日分の運用利益を失ってしまうということのようです。というわけで支払時限は、通常午前中か午後の早い時間帯(11時から13時ぐらい)に設定されていることが多いようです。これは日本も大体同じですね。

最後に弁済日が営業日でない日にあたる場合の規定ですが、この場合翌営業日に支払いという規定にするのが通常です。ただ、NY州法では、営業日でない日に弁済日が設定された場合には、翌営業日に支払えばよくて、その場合延長された日数については利息を払わなくてよいという法律があるそうです。これは任意規定なので、異なる合意をすればその合意が優先しますので、通常は必ず別途の合意を契約上明記しているようです。