Life in the Lone Star State -46ページ目

シンジケートローン契約(Vol.27)

第27回はRepresentationsの総論のその2です。

Representationsの法的効果としては、表明したいずれかの事実が真実でないことが判明した場合には、貸付人に貸付不実行の権利を付与するとともに、期限の利益喪失事由にすることで、失期させて債権を全額回収する権利を付与することにあります。この法的効果は必ずどの融資契約にも規定されます。

それに加えて、表明保証違反により貸付人が被った損害についても賠償する責任を負わせる旨の規定を置く場合も多いと思います。ただ、融資契約の場合における損害というのは、融資した貸付債権の元本と利息(及び諸々の手数料)のうち回収できなかった額ということになりますから、失期条項に加えて損害賠償義務規定を置いたとしても、さらに回収できる金額が増えるわけではないということになります。

表明保証条項の交渉においては、どんな事実を表明保証の対象とするかという点に加えて、当該事項に関してknowledge qualificationsを入れるかどうかという点がよく争いになります。Knowledge qualificationの文言としては、「借入人が知る限り」とか「借入人が知りうる限り」といった表現が一般的です。

また、materialityの要件を追加することで一定の絞りをかけることもよくあります。例えば、「借入人に関して一切の訴訟は係属していない。」といった表明保証は、将来の貸付実行時点でも表明保証する必要があることを考えると借入人としては受け入れ難い表明保証ですが、「借入人に重大な悪影響を及ぼす一切の訴訟は係属していない。」という表明保証であれば受け入れ可能と考える借入人はいると思います。この絞りのかけ方(表現)についても幾つかパターンがあり、 “would” “could” “could reasonably be expected to” “would reasonably be expected to”といった表現が一般的のようです。

wouldとcouldの違いについては以前こちらのエントリーでも書きましたが、could はその事象が起こる可能性が少しでもあれば該当することになるのに対し、wouldは一定の蓋然性が求められます。従って、上記の訴訟の事例で考えると、

“There are no suits which could have a material adverse effect.”

という規定よりも、

“There are no suits which would have a material adverse effect.”

という規定の方が借入人にとっては有利ということになります。Couldを使ってしまうと、訴訟の場合額が大きければ常にMACの可能性があるということになって表明保証条項の違反が生じてしまうので、通常はwouldとか合理性の絞りをかけるのが一般的だと思います。

なお、“Reasonably be expected” という要件を加えた場合には、合理性の要件を判断の一要素としなければならなくなりますので、貸付人側としてはあまり入れたくない文言ということになると思います。(ただ個人的には、合理的にと書かなくてもMACの有無の判断についてはやはり一定の合理性のある判断でなければ裁判所では支持されないとは思います。したがって、書いてなければ完全に恣意的な判断が許されるというわけでもないと思われます。)