Life in the Lone Star State -37ページ目

有限責任事業組合と投資事業有限責任組合

今日は自分の備忘目的も兼ねて、有限責任事業組合と投資事業有限責任組合の異同について書いておきます。

1. 共通点

これら2つの組合は民法上の組合とは異なり、それぞれ特別法によって認められている組合です。といっても民法上の組合がベースになっており、法人格はいずれもありません。あと、共通するのはいずれも構成員課税という点です。(組合に法人格がないのでまあこれは当然ですが。)

2. 相違点

(1) 根拠法

まず根拠法ですが、有限責任事業組合は、「有限責任事業組合契約に関する法律」で、この法律はLLP法などと呼ばれています。LLPというのはLimited Liability Partnershipの略です。

他方、投資事業有限責任組合の根拠法は、「投資事業有限責任組合契約に関する法律」で、こちらは「ファンド法」などと呼ばれているようです。投資事業有限責任組合というのは、投資目的で組成される組合ですので、いわゆる投資ファンドをこの形態で組成することが想定されています。

(2) 事業内容

有限責任事業組合は、「共同で営利を目的とする事業を営むための組合」と定義されています(LLP法第3条)。ベンチャー事業を行う場合などにLLPを設立することが想定されている典型例のようです。

これに対して投資事業有限責任組合は、「事業者に対する投資事業を行うための組合」と規定されています(ファンド法第1条)。いわゆる投資ファンドです。

(3) 構成員

有限責任事業組合の場合、構成員は全員が有限責任組合員です(LLP法第15条)。民法上の組合員は全員無限責任ですので、民法上の組合よりは組合員の負うリスクが限定的であり、また会社形態の組織に比べると、迅速な意思決定ができ、課税上も有利といったメリットがあります。

これに対して、投資事業有限責任組合は、無限責任組合員と有限責任組合員から構成されます(ファンド法第2条第2項)。これは、投資ファンドを想定しているので、米国のGeneral PartnerとLimited Partnerから成るPartnershipに近いイメージです。ここで想定されているのは、ファンドを運営するファンドマネージャーが無限責任組合員となり、投資家を有限責任組合員という位置付けにすることで、投資のハードルを下げるというコンセプトです。

(4) 出資の履行

有限責任事業組合の場合、全額の出資の履行がなされることを条件に組合契約の効力が発生します(LLP法第3条第1項)。

他方、投資事業有限責任組合の場合は、条文上は「各当事者が出資を行い」としか書かれておらず(ファンド法第3条)、必ずしも引き受けた出資額全額の履行が必要というわけではないと解されています。これは、投資ファンドは通常最初の組成段階では投資家に対して引受額の一部の履行しか求めず、その後一定の投資期間中、General Partnerは投資家に対してCapital Callを行う権利を有しており、このCapital Callを受けた場合に、投資家は指定された金額を追加出資する義務を負うことがPartnership契約に規定されるのが通常で、この実務に対応するために当初から全額の払い込みを必須の要件とはされていないようです(詳細はこちらのモデル契約の解説を参照)。

(5) 業務執行

有限責任事業組合の場合、原則、総組合員の同意に基づいて決定されます(LLP法第12条第1項)。

これに対して投資事業有限責任組合の場合は、無限責任組合員が単独で行います(ファンド法第7条第1項)。有限責任組合員は業務執行については関与しません。投資ファンドの例で言うとファンドマネージャーが単独で運営し、投資家はその配当を受けるのみというイメージです。

3. まとめ

ざっくりとしたイメージで、有限責任事業組合はベンチャー事業を行うため、投資事業有限責任組合は投資ファンドのためにそれぞれ利用される組織形態と覚えておけばよいかと思います。上記の相違点もこの利用目的の違いから大体思い出せるのではないかという気がします。

それにしてもこの紛らわしすぎるネーミング何とかなりませんかね。。