シンジケートローン契約 (Vol.23) | Life in the Lone Star State

シンジケートローン契約 (Vol.23)

引き続きCondition Preccedentです。

6. 担保権の設定及び対抗要件の具備

これは借入人が担保提供をしている融資契約の場合にのみ規定されるCPです。

借入人の信用力に依拠して融資を行ういわゆるコーポレートファイナンスの場合、借入人に対して担保を要求するかどうかは、その借入人の信用力次第です。

他方、プロジェクトファイナンス、買収ファイナンス、不動産ファイナンス等の場合には、借入人となるのはvehicle entity(SPV)ですので、SPV及びそのスポンサーが所有する資産、さらには今後取得する資産等、預金債権等を担保に取ることを条件に融資がなされるのが通常です。

そして、担保の提供がCPとして規定される場合、具体的には、①有効な担保権の設定と②有効な第一順位の対抗要件の具備の2つの条件が規定されます。そしてこの対抗要件の具備については、アメリカでは各州のUCC(Uniform Commercial Code)によって規定されています(不動産についてはUCCの対象外ですが)。

UCCにおける対抗要件の具備の方法としては、①Filing、②Possession、③Controlという3つがあります。①のFilingという方法が最もスタンダードな方法で、Financing Statementを所管のFiling Officeに提出することで対抗要件を具備します。日本の登記に近い方法ですが、担保対象物の特定の仕方は日本に比べてかなり緩いです。またPromissory NoteやStock Certificateについては、①の方法に加えて、②のPossession(占有)によっても対抗要件の具備が可能です。③のControlというのは、預金口座やLetter of Credit上の権利等を担保に取る場合に使われる対抗要件の具備の方法です。日本法上は、預金「債権」を担保に取るという考え方をしますが、UCCのもとでは、預金口座自体を担保物(Collateral)と見て、口座内の預金を含むその口座に係る預金者の権利を包括的に担保に取ることができます。

担保提供の際には、事前に他の担保権が設定されていないことを確認するためにLien Searchという手続きを取ることが一般的です。これは、その担保物が所在する土地を管轄するFiling Officeで、当該担保対象物に既に担保が設定されていないかどうかを照会する制度です。ただ、必ずしもFilingの方法によって対抗要件を具備しているとは限りませんので、第三者が占有していないか等のDue Diligenceが必要になる場合も考えられます。これを怠ると、2日前にエントリーしたような大問題が生じる可能性があるということです。

また、これは不動産担保の場合ですが、こちらの不動産法は非常に権利関係が分かりにくく、さらに日本と違って登記制度等の公示制度がないため、実際の権利関係を確認するのは非常に困難です。そこで、担保設定の対象となる不動産を借入人が所有しているということを担保するために、Title Insuranceをかけることを貸付人が要求することがあるそうです。ただ、この保険は非常に高額のようで、これを借入人の負担でかけようとすると、交渉段階でよく揉めることになるようです。日本の登記制度上も登録免許税でかなりの額を取られますが、権利関係は明確に知ることができるので、この点は日本の制度の方が安心して取引ができるように思います。