シンジケートローン契約 (Vol.11)
第11回はRevolving Credit Facility型のシンジケートローン契約の延長についてです。
このタイプのローン契約では通常当初の貸付可能期間は364日に設定されています。1年は365日ですがそれより1日短い期間ということです。
アメリカのFederal Reserve Board(中央銀行のような機関です。)が定める金融機関の自己資本比率規制では、 “one year or less”の期間の貸付については、 “reduced capital requirements” すなわちより緩い自己資本規制が適用されると定められているようです。「1年又はそれ未満」の期間ですから365日としてもよさそうですが、実務上は(疑義を完全に避けるためでしょうか)364日としているようです。
日本のシンジケートローンでも新BIS規制(バーゼルⅡ)の関係から貸付可能期間は365日又は364日にしているケースがほとんどだと思います。新BIS規制によれば、
(自己資本比率)=(自己資本)/(信用リスク)+(市場リスク)+(オペレーショナルリスク)
という計算式で算出されますが、Revolving Credit Facility(コミットメントライン)の場合、1年以内の期間の貸付であれば融資枠の20%が、1年超であれば50%が信用リスクとして計上されます。つまり、貸付可能期間が短いほうがそれだけ信用リスクが低いとみなされ、分母が小さくなるため自己資本比率が大きくなり、その金融機関の健全性の評価が高まるというわけです。
ちなみに、日本法上は、銀行法第14条の2において、次のように定めています。
(銀行法第14条の2)
内閣総理大臣は、銀行の業務の健全な運営に資するため、銀行がその経営の健全性を判断するための基準として次に掲げる基準その他の基準を定めることができる。
一 銀行の保有する資産等に照らし当該銀行の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかの基準
そして、この規定を受けて「銀行法第二十四条の二の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」という下位規範が制定され、このなかで新BIS規制を反映した内容の基準が設けられています。
というわけで、日米ともにRevolving Credit Facility型のシンジケートローン契約は期間が1年と設定されているわけですが、そうすると当然借入人としては契約延長のオプションが欲しいと考えます。
しかしながら、ここで延長のオプションを借入人の権利(=貸付人の義務)として規定してしまうと、貸付人は実質的には1年以上の期間にわたって貸付義務を負っていることになり、上記の “one year or less”の条件を満たさなくなってしまいます。したがって、延長条項を規定する場合であっても、延長に応じるかどうかは完全に貸付人の任意の判断という形で規定されるのが通常です。
そうすると、借入人としては延長に応じてもらえるかどうかも分からないという不安定な状況に置かれてしまいます。延長の申し入れは、例えば、契約期間の終了の45日から60日前に借入人が申し込み、30日前までに貸付人が延長に応じるかどうかを決めるというスケジュールになりますので、仮に借入人の期待に反して延長に応じないと決定された場合、借入人は残された30日以内に別の金融機関を探して融資を取り付けなければならず、これは実務的には非常に難しいと思われます。
そこで、借入人側の対応策として利用されているのが、借入人が別途独自に貸付を実行してくれる金融機関を探して、既存のシンジケートローン契約の貸付人に追加することができるというオプションです。これは当然エージェント及び他の貸付人の同意が必要ですが、例えば既存の貸付人のうち1行だけが延長を拒否したといった場合に、借入人が新たに参加してくれる金融機関を見つけてくることができれば、他の貸付人は1参加行が入れ替わるだけで現状の融資を維持できるというメリットがあり、新たに参加する金融機関としても一から融資条件を交渉するよりは既存のローンに参加することで短期間で融資判断が可能となり、また既存の貸付人と担保順位等についても同順位の地位を確保することができるので、お互いにメリットがあるのではないかと思います。
日本では延長のタイミングで、借入人が新たに貸付人を追加できるというオプションが付されているケースは稀だと思いますが、脱退する貸付人の地位譲渡を受けるという形で参加することは可能なように思います。ただ、脱退する貸付人よりも融資枠が小さい場合には、一部の地位譲渡という形になり、逆に大きい場合には、地位譲渡+融資枠の増額という形になります。そうすると、旧契約におけるプロラタの関係が崩れてしまうのでこれはちょっと規定を工夫する必要がでてきそうです。
このタイプのローン契約では通常当初の貸付可能期間は364日に設定されています。1年は365日ですがそれより1日短い期間ということです。
アメリカのFederal Reserve Board(中央銀行のような機関です。)が定める金融機関の自己資本比率規制では、 “one year or less”の期間の貸付については、 “reduced capital requirements” すなわちより緩い自己資本規制が適用されると定められているようです。「1年又はそれ未満」の期間ですから365日としてもよさそうですが、実務上は(疑義を完全に避けるためでしょうか)364日としているようです。
日本のシンジケートローンでも新BIS規制(バーゼルⅡ)の関係から貸付可能期間は365日又は364日にしているケースがほとんどだと思います。新BIS規制によれば、
(自己資本比率)=(自己資本)/(信用リスク)+(市場リスク)+(オペレーショナルリスク)
という計算式で算出されますが、Revolving Credit Facility(コミットメントライン)の場合、1年以内の期間の貸付であれば融資枠の20%が、1年超であれば50%が信用リスクとして計上されます。つまり、貸付可能期間が短いほうがそれだけ信用リスクが低いとみなされ、分母が小さくなるため自己資本比率が大きくなり、その金融機関の健全性の評価が高まるというわけです。
ちなみに、日本法上は、銀行法第14条の2において、次のように定めています。
(銀行法第14条の2)
内閣総理大臣は、銀行の業務の健全な運営に資するため、銀行がその経営の健全性を判断するための基準として次に掲げる基準その他の基準を定めることができる。
一 銀行の保有する資産等に照らし当該銀行の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかの基準
そして、この規定を受けて「銀行法第二十四条の二の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」という下位規範が制定され、このなかで新BIS規制を反映した内容の基準が設けられています。
というわけで、日米ともにRevolving Credit Facility型のシンジケートローン契約は期間が1年と設定されているわけですが、そうすると当然借入人としては契約延長のオプションが欲しいと考えます。
しかしながら、ここで延長のオプションを借入人の権利(=貸付人の義務)として規定してしまうと、貸付人は実質的には1年以上の期間にわたって貸付義務を負っていることになり、上記の “one year or less”の条件を満たさなくなってしまいます。したがって、延長条項を規定する場合であっても、延長に応じるかどうかは完全に貸付人の任意の判断という形で規定されるのが通常です。
そうすると、借入人としては延長に応じてもらえるかどうかも分からないという不安定な状況に置かれてしまいます。延長の申し入れは、例えば、契約期間の終了の45日から60日前に借入人が申し込み、30日前までに貸付人が延長に応じるかどうかを決めるというスケジュールになりますので、仮に借入人の期待に反して延長に応じないと決定された場合、借入人は残された30日以内に別の金融機関を探して融資を取り付けなければならず、これは実務的には非常に難しいと思われます。
そこで、借入人側の対応策として利用されているのが、借入人が別途独自に貸付を実行してくれる金融機関を探して、既存のシンジケートローン契約の貸付人に追加することができるというオプションです。これは当然エージェント及び他の貸付人の同意が必要ですが、例えば既存の貸付人のうち1行だけが延長を拒否したといった場合に、借入人が新たに参加してくれる金融機関を見つけてくることができれば、他の貸付人は1参加行が入れ替わるだけで現状の融資を維持できるというメリットがあり、新たに参加する金融機関としても一から融資条件を交渉するよりは既存のローンに参加することで短期間で融資判断が可能となり、また既存の貸付人と担保順位等についても同順位の地位を確保することができるので、お互いにメリットがあるのではないかと思います。
日本では延長のタイミングで、借入人が新たに貸付人を追加できるというオプションが付されているケースは稀だと思いますが、脱退する貸付人の地位譲渡を受けるという形で参加することは可能なように思います。ただ、脱退する貸付人よりも融資枠が小さい場合には、一部の地位譲渡という形になり、逆に大きい場合には、地位譲渡+融資枠の増額という形になります。そうすると、旧契約におけるプロラタの関係が崩れてしまうのでこれはちょっと規定を工夫する必要がでてきそうです。