Polygamist(多重婚主義者) | Life in the Lone Star State

Polygamist(多重婚主義者)

今日はWSJよりこの記事。

First Sex-Assault Trial After Raid on Polygamists Under Way

2008年の4月にテキサス州のエルドラドというところにあるFundamentalist Church of Jesus Christ of Latter Day Saintsという宗教グループの敷地において、Child Abuseが行われているという通報に基づき家宅捜索が入り、その結果400人超の子供たちが保護されたという事件があったようですが、これに関してこの宗教グループの創始者の息子(38歳)が未成年者(16歳)に対するSexual-Assaultで起訴されているというニュースです。

問題を複雑にしているのが、この宗教ではPolygamist(多重婚主義)を謳っており、この被告人にも複数の妻がいて、今回の起訴で被害者とされている未成年というのが被告人にとっては妻の一人という認識だったようで(記事ではone of "spiritual wives"だと書かれています。)、この場合にもSexual-Assaultがあったと言えるのかが問題となっています。

記事によれば、この被告人と未成年者との間には子供が生まれているようで、そのDNAを鑑定することで、二人の間に関係があったことの立証は可能だとしても、その行為がAssault(暴行、脅迫)に基づくものであったという点までの立証は難しいのではないかと言われているようです。というのも、被害者である未成年者は被告人の妻という主観的認識を持っており、検察側の証人として証言することを拒んでいるようで、仮に証言が得られないとすると、Assaultの部分の立証及び行為がテキサス州内で行われたことの2つの点において立証が困難ではないかという見方をされているようです。

これは信教の自由をパターナリスティックな制約でどこまで制限することができるかという問題でもあるように思います。パターナリスティックな制約というのは、類型的に弱い立場の人や保護が必要な立場の人(典型的には未成年ですが)をその人の意思に反してでも保護的な観点から国が一定の規制を設け、仮にそれによって人権が制約されることになったとしても、憲法違反にはならないという考え方です。テキサス州では法律婚の関係にない未成年者との性行為は、同意に基づくものでも違法とされており、これはパターナリスティックな制約の1つと言えます。(したがって、厳密には、本件でもAssaultの立証がなくても有罪にはなるのでしょうが。)

今回の被告人には9人の妻がいたようですが、被害者として挙げられているのはこの未青年者だけですので、他の8人についてはお互い夫婦という認識で関係を持っていたとすれば(重婚罪の適用は別として)問題はないということなのでしょう。

したがって、被告人側としては被害者がいないんだから犯罪は成立し得ないという主張をしているようですが、上記の規制の趣旨から考えると検察が起訴するのももっともかなと思います。あとは立証の問題ということになるんでしょうか。

日本の刑法上は、13歳未満だと同意があっても強姦罪が成立し、13歳以上の未成年者に対しては同意があったとしても淫行条例で処罰されうるということになっています。日本で多重婚をするのは戸籍制度上非常に難しいので事実婚ということになると思いますが、本件のような事案があった場合に、淫行条例で処罰されるんでしょうかね。

ちなみに日本の判例の淫行の定義は次のとおり。

本条例(福岡県青少年保護育成条例)一〇条一項(当時)の規定にいう『「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為』をいうものと解するのが相当である。

宗教的な教義に真摯に基づいて多重婚をしているような人がもしいたとしたら、上記の淫行の定義にはあたらないような気もしますが、どうでしょうか。今の日本では教義だといくら言ってみたところで多重婚主義者を尊重するような社会でもない気もするので、結論はよく分かりませんね。