債権法の改正(Vol.1) | Life in the Lone Star State

債権法の改正(Vol.1)

最近ようやく重い腰を上げ、この本を読んでおります。

債権法改正の基本方針


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民法改正検討委員会の2年半にわたる検討の結果が1冊に凝縮されており、非常に読み応えのある内容に仕上がっています。より詳細な解説本がこれから順次刊行されるそうですが、とりあえずはこれ1冊を読めば、全体像は十分掴めるかと思われます。

この改正案を公表した民法改正委員会はあくまで学者有志による私的な研究会という位置づけです。したがって、これが今後の民法改正の唯一絶対的な土台となるわけでもないようですので(もちろんかなり強い影響はあるのでしょうが)、実務家の立場からすれば、現時点であまり入念に読み込んでもな、という気持ちも若干あります。という言い訳をしたところで、大枠をつかむという観点から、新たに導入されるコンセプトやこれまでの考え方と大きく変わる点などを備忘的に書いておきたいと思います。

第1回は総則部分です。

1. 公序良俗

・現行民法は「公の秩序又は善良の風俗」という文言だが、「公序または良俗」に変更。意味は同じ。
・2項は暴利行為が公序良俗違反に当たることを具体的に明文化。したがって、2項は1項の例示という位置づけ。

2. 「消費者」、「事業者」概念の新設

「消費者」とは、「事業活動以外の活動のために契約を締結する個人」、「事業者」は「事業活動のために契約を締結する個人」と定義し、人、消費者、事業者という3つの「人」概念を導入。事業活動とそれ以外って明確に区別できるんだろうか?

3. 意思能力

意思能力を欠く法律行為は当然無効ではなく、取消事由。現行法は当然無効だが、相対的無効(無効を主張できるのは意思無能力者のみで相手方からの無効主張は不可)と実質的に大差なし。無効と取消の二重効の議論が解消される。

4. 錯誤無効

・表示の錯誤と事実の錯誤を分けて規定する。
・効果は取消事由とする。

5. 代理

・大枠は現状のまま
・無権代理人と相続の論点について明文化。資格併存説(本人の資格と無権代理人の資格が同一人に帰属しても、2つの資格は併存する)を採用。双方相続型の場合は、いずれを先に相続しても本人の資格で追認拒絶可。但し無権代理人の責任は負う。(=履行責任は負わないが賠償責任を負う。)

6. 無効・取消

・意思表示の瑕疵に基づく法的効果を取消で統一したので、相対的無効の概念は敢えて規定せず。
・一部無効の概念を明文化。契約等には通常入れてる条項なので特に影響はないか。

7. 条件・期限

大枠は変更なし。当然喪失条項、請求喪失条項の有効性を確認的に規定。

8. 時効

物権との絡みが多いので今回の改正の対象からは外れる部分が多い。大きな変更はなし。

(続く)