連邦制について | Life in the Lone Star State

連邦制について

今日はアメリカの連邦制度について少し書いてみたいと思います。


アメリカという国家は50の州の集合体ですが、各州というのは日本の都道府県とは少し位置づけが異なります。すなわち、各州がそれぞれ独自の統治機構(立法・司法・行政)を有しており、基本的なコンセプトとしては、各州自体が国家に近い存在として認識されています。日本でも各都道府県レベルで立法機構(都道府県議会)と行政機構(都道府県庁)はありますが、最大の違いは司法機能の有無と言えます。


日本の場合、司法機構は国に専属し、各都道府県には最高裁判所の下部機関である地方裁判所(及びその支部)が設置され、法適用についても(条例の存在はあるものの)一元的な運用がなされています。


他方、アメリカの場合、州ごとに憲法があり、その他の重要なあらゆる法律(契約法、刑法、会社法、商事取引法(UCC)など)が州レベルで制定されているため、50州全てが異なる内容の法律を有しています。(多くの部分は似通った内容であると推測されますが。)したがって、こちらでは法律家になるための司法試験(Bar Exam)も各州ごとに受験する必要があり、試験科目、内容もまちまちです。


このような制度を見ると、中央集権の国家体制のもとに育った私のような日本人には、連邦制度というのは非効率な国の体制ではないかと思ってしまいます。私はノースカロライナ州からテキサス州に移ってきたのですが、交通ルールも少し違うし、車の登録の方法も微妙に違うし、担当する機関の名称も違うし、細かな点で不便を感じたりします。アメリカ人もそういう感情はあるんでしょうが、それは違う国に来たときに感じる不便と同じようなものという認識なんでしょうかね。連邦政府という統一の統治機構はありますが、連邦憲法修正第10条では"The powers not delegated to the United States by the Constitution, nor prohibited by it to the states, are reserved to the states respectively, or to the people." と規定されていて、連邦政府に委譲された権限というのは憲法に明記されたものだけなんですね。つまり、あくまで州が国家であり、連邦は最低限必要なことだけを担う便宜的におかれた統治機構だという考え方を取っているといるということがうかがわれます。連邦制度を維持することについては、効率・非効率の問題を超えたアメリカ国民の意思があるんだろうなということを強く感じます。


ただ、なかには人口が100万人にも満たない州もあるのに、国としての統治機構を全て維持するというのはなかなか大変なことではないのかなと思います。この辺はBar Examの話とも絡めてまた明日にでも。