帰りの電車の中。
終電はガラガラで、
自宅の方に近づくに連れさらに人は少なくなり
最終的に俺たちだけになった。
車両の端の、優先席に向かい合って座った。
ウトウトと今にも瞼が離れなくなりそうになっているフン。
「……起きろって、もうすぐ駅着くよ」
「まだあと4駅あるじゃん…」
そう言って手すりの棒に頭を潜り込ませて本格的に眠りにつこうとする。
独りになる気がした。
置いてくなよ、と思った。
なんか今日の俺は
おかしい_________________
「今日なんか変」
視線を上げると、フンが俺に向かって言った。
眠気を堪え少し充血した目と、あくび、涙。
いつもより一層の、色気
「俺も……そう思うよ」
軽く笑いながら、フンが起きたことにホッとする。
するとフンは俺の目をまっすぐみた。
また、鋭い目つき
これからフンが言おうとしてることは、空気で何と無くわかった。
だから、俺から切り出した。
「昔住んでた家……グァンジンの家だったんだよな」
「!……グァンジンから聞いんだ」
「まぁそんなとこ」
また微妙な空気が流れる。
先を続ける。
俺とグァンジンが知り合いだったことを知ってるかと聞くと、
「聞いたよ、………全部」
その含んだ言い方はあの日のことも知っているようだった。
「そっか……」
グァンジンより……先に言いたかった
「……驚かないんだな、フン戸惑った様子もないし」
「驚いたよそれなりに…でもまぁどのみち過去の話だし」
「フンは割り切れてすご________」
と、言いかけてやめた。
しまった。
まるで俺がグァンジンのことが気になって仕方ないみたいに聞こえたかも…
「い、いや、俺もまぁ、過去の話だしって思ってるけどな!」
なんて被せるように言い訳をすると、
「…嘘つかなくていいよ」
「え……」
その冷めた声に背筋が凍る。
「_______俺とグァンジンの過去の関係に嫉妬してるんでしょ」
フンは俯いて笑い声を立てる。
それは明らかに素で言ってることではないように思えた。
俺の失言を聞かなかったことにしたがってるように思えた。
これ以上聞きたくないと言ってるように思えた。
