グルテンフリーではないけれど | 神戸 六甲道の自然派フレンチ ビストロ ヒマワリのオープンキッチンから 

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ヒマワリで ホッ♪として元気になって頂けますように!
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こんにちは

ビストロ ヒマワリの
後藤 聖名(ごとう みな)です。


今日は 少し長くなりますが
パンについて話をしますね


「小麦製品を食べるとしんどくなるのに
ヒマワリのパンは食べてもしんどくならない」


と言って下さる方が少なからずいらっしゃいます。


何故でしょう?




添加物や油脂などを使わず、
良質の小麦、自然海塩、水
パン酵母だけを使っている。

勿論それもあると思いますが
実は 他にも秘密があります。


先日 イギリス在住で
自然栄養療法士の
一美 キンロス先生と
チャットで パンの話になり、

日本で サワードゥーのパンは買えますか?という話から
天然酵母のパンの話になったんです。


それでサワードゥやパンの酵母について
色々調べてみました。


サワードゥのパンとは
小麦や他の穀物と水を発酵種(サワードゥ)にして作る 昔からの原始的な作り方のパンの事です。



それで、
サワードゥパンなら 通常のパンよりも
身体に負担がかからないらしく、
例えば アトピーの方でも症状が出にくいという人が沢山いらっしゃるらしいのです。



実はヒマワリでも、ずいぶん前にサワードゥを作っていた事があります。

しかし、サワードゥは
熟成すると酸味がでます。

酸味のあるパンは日本人受けしないのと、発酵力が安定しないので扱いづらくていつの間にか やめてしまいました。


今回 改めて調べてみたら
サワードゥは なんと、
スプーン1杯の中に5千万の酵母と
50億の乳酸菌(微生物)が含まれるそうです。
乳酸菌が糖を 乳酸と酢酸に変えるので
これにより酵母が熟成するにつれパンも酸味が増していくという訳なんです。


phが低下する事によって
多くの微生物は殺菌されて、耐酸性の酵母だけが 糖を二酸化炭素とエタノールに変換しながら生き続けます。


ですからこのサワードゥという微生物の塊は 時間とともに腐敗ではなく熟成という
形で生き続けるのです。

腐敗するのでなく、時間と共に熟成していくのは
味噌やチーズも同じですね。


そもそも
サワードゥパンが何故身体に負担が少ないかというと

まず 通常のパンは
小麦に含まれる「グルテン」が
胃腸に負担をかけるのに対して


サワードゥパンなら

長時間発酵している間に
乳酸菌が タンパク質であるグルテンを
分解(前消化)してくれているので
私達の胃腸で消化されやすい

という事なんです。

しかも血糖値も上がりにくいのだとか。


通常のイーストで作られたパンが含むフィチン酸が消化吸収を妨げるとも言われていますし、
それを考えると グルテン過敏症と思っている人の中でも本当は多くの人が
グルテン過敏症でない可能性も考えられます。

消化に良いという事に加えて
そして サワードゥの自然の多種多様な菌と、その数のおかげで

単にパンを膨らませるだけの目的で 
人工的に ある単一の菌を純粋培養した
市販のイースト(パン用酵母)と比べると
風味も香りも格段に違う味わい深いパンになるという訳です。


菌の数と多様性。そして
昔ながらの作り方である長時間発酵

という点がサワードゥパンが
一般的なパンと大きく違う所で
その事が身体に負担をかけない理由のようです。


ではなぜ こんなに素晴らしいものなのに日本でサワードゥパンが普及していないのでしょうか?

サワードゥをはじめ自家製のパン酵母は 
菌の種類や数が多いと言ったメリットがありますが それだけに
その中に 不必要な菌も混じっているリスクと隣り合わせなのです。
それが 自家製酵母が安定しにくい原因です。


特に湿気の多い日本では
実験室などの整った環境でない限り 
どうしても カビや雑菌が入りやすい環境となってしまいます。


万が一雑菌が酵母に入っても、パンは高温で焼くから問題ないとは言え、

まず 良くない菌が入り込んだパン酵母は
香りや風味に欠けますし、第一に発酵力が弱まって パンを充分に膨らませる事も出来ないでしょう。

これは私の想像ですが
サワードゥパンが日本で普及していない理由は味の好みだけではなく、

サワードゥの微生物が、
湿気の多い日本の風土には合いにくいのかもしれません。


ヒマワリでは 安定して発酵力がある市販の酵母、ホシノ酵母を使っていますが

私が一番気になったのが
サワードゥパンは身体に負担が少ない。

だけど、ヒマワリで使っている
ホシノ酵母のパンはどうなの?

ということなんです。


サワードゥは扱いがとても大変なので
サワードゥパンを作っているお店は日本ではとても少ないと思われます。


なので
皆さんも 
サワードゥパンは買えなくても
近くに売っている天然酵母パンはどうなんだろう

というのが気になりますよね


まずヒマワリで使ったいるホシノ酵母について調べてみました。

ホシノ酵母は日本古来の酒造りの技法を生かし、小麦粉、米、米糀を主原料にして作られています。

小麦、米は北海道の大地を守る会の物を、
米麹は自家製で 化学物質を使わずに
相当こだわって作っておられるようです。

(化学物質と菌の発酵は私の経験からも相性が悪いと感じています。だから昔ながらの作り方をしている味噌もお酒も化学物質を使わない所は多いと思います)


ホシノ酵母は購入後
菌を目覚めさせるのに
お手入れをしながら使えるまでに約1週間かかります。(予備発酵)

ヒマワリでは
その目覚めさせた酵母菌を使って

真冬や真夏以外は
常温で一晩、12時間くらいかけて
パンを発酵させています。


市販のパンが食べられないのに
ヒマワリのパンなら
食べても大丈夫な方がいらっしゃる理由は
この長時間発酵の間に
酵母や乳酸菌が
サワードゥパンのように
グルテンを分解してくれていて、
消化されやすいからなのではないか?
と考えられます。

その証拠に
過発酵した時にパンが膨らまなくなってしまうのは
パンが膨らむ為に必要なグルテンが分解されてしまっているからではないか?
と見ています。


長時間発酵というのが大事なポイントで


同じ天然酵母パンであっても
効率よく 早く発酵させる為に
温度を上げたり、酵母のエサになる
糖分を加えたりして
比較的短時間で作ったパンでは
こうはいかないかもしれません。

ここでもう一つ 天然酵母パンを作る上で
大事なことがあります。

それは
パンを作っている場所、壁や柱、天井や空気中に住みついている菌の事です。


昔ながらの製法の自然派のワインやお酒の醸造でも

素材そのものが持っている菌と
空気中に住む菌のちからで発酵させています。
もちろん お水も大事です。


ヒマワリが3年前に
今のお店に引っ越して来た当初
こんなことがありました。

それまでシェフは10年以上 毎日パンを作っていたのに、引っ越ししてからしばらくの間、
パンがうまく膨らまなくなったんです。


ようやくパンが安定して膨らむようになるまでに半年以上かかりました。

空間に菌が住み着き、定着するまで、結構時間がかかるようです。


この事から 発酵には
パン酵母の他に 空気中の菌たちの
存在がとても大きいということがわかります。

ですから
ただ天然酵母パンという表向きの表示だけで菌の数や種類、発酵時間を
判断する事はとても難しく、


同じ酵母や材料でも作り手や場所、
作り方によって大きく変わる事が予想できます。


ですが 私が思うに
天然酵母パンでもお味噌や酒、醤油でも
多種多様な菌によって時間をかけて作られたものは


香り豊かで 味に深みがあって
格段に美味しいと感じています。


お近くのパン屋さんで
もし、天然酵母パンを見つけたら
どんな酵母で
発酵にどのくらい時間をかけておられるか
など 一度聞いて見られるのも
参考になるかもしれませんね。


そして まず、食べてみてどうか?
という事も 一つの判断材料になります。


もちろん グルテンアレルギーの方に
長時間発酵の天然酵母パンなら絶対に大丈夫 とおすすめするわけではありませんが。。


そして パン作りに興味があれば
一度 ステイホーム期間中に
長時間発酵の
天然酵母パン作りに挑戦するというのも良いでしょう。

本当に美味しいんですよ!

パンが大好きで
昔はパン屋さんを見つけたら
吸い込まれるように入らずにはいられなかった私でしたが

今では 毎日シェフの焼き立てパンがあるので
市販のパンには全く魅力を感じなくなってしまいました。。



でも、くれぐれも
良質なパンだからと言って
食べすぎにはご注意下さいね。



現在 お騒がせ中の新型ウイルスも、
私達の身体が 良い菌で、満たされていたら 入り込む余地がないであろうと思われますので

食べるものは勿論、生活習慣、環境も
見直さなければいけないなと
また改めて思いました。

本当は
まだお伝えしたい事が沢山あるのですが 
長くなりすぎましたので
続きは また後日にしたいと思います。


こちら過去記事もどうぞ

グルテンフリーではないですが
グルテンレスの貴重な古代小麦
「アインコーン」の話



参考文献 
「ホシノ天然酵母と国産小麦で作る
生きているパン」伊藤幹雄 著
朝日出版社

参考記事


自然派フランス料理
ビストロ ヒマワリ 


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