4月鑑賞映画まとめ(前編) | 三つ子の魂百まで…トラウマニア

三つ子の魂百まで…トラウマニア

映画レビュー、コレクション紹介、映画や趣味全般について書いています。

『エイプリル・フール』<1986年/アメリカ>

大学生連中がカネ持ちの友人に招待され、孤島の別荘で浮かれているうちに一人ずつ殺されていくアッと驚く工夫を凝らした殺人鬼モノの秀作。題名からして分かる通り四月馬鹿の話ですから、随所に悪ふざけなギミックが仕掛けられているんだけど、これがすっごく笑える!スッポリ外れるドアノブに壊れる椅子…。どれもこれも悪質な冗談かと思いきや仲間が次々と姿を消していき。


中の人たちもそうだけど、見る側もまんまと

引っ掛かってしまう巧みなプロット。13金シリーズのプロデューサーがタッチしているせいか、しつこいジェイソンばりに一度懲りてもまた見たくなる中毒性が特徴。筋肉質なヒロインは「13日の金曜日PART2」でジニーを演じたエイミー・スティール。一人二役のマフィーにこれまたホラーヒロイン役が多いデボラ・フォアマン。皆さんお馴染みというかこの人が出てきて喜ばない人はいないであろう「バックトゥザフューチャー」のビフことトーマス・F・ウィルソン。特殊メイクが凝ってるし、チャールズ・バーンスタインの音楽も美しく異色コメディホラーとして馬鹿(4月)に出来ない1本です。騙されたと思って見て(笑)


【2017年4月1日】鑑賞。
※初見は80年代にレンタルビデオで。

----------------------------------------------------------------------『ヴァイラス』<1998年/アメリカ>

なんかよう分からんけれども、電磁波的な

ビカビカが宇宙から飛んできてロシアの

衛星探査船が駄目になり、ショボイ船乗りが

金に目が眩み忍び込んだら人体を材料に

鉄屑でへっぽこサイボーグを作る工場を

発見したからさあ大変!

隔絶された逃げ場のない恐怖。

全体的にどこかで見覚えのある話の流れとか

突っ込みたくなるんだけど、極力CGを使わない

アナログの極みともいえるハンドメイド感溢れる

サイボーグや鉄クズ虫の質感に愛を感じます。

釘が刺さったウッズ役のマーシャル・ベルは

ほんと不運なキャラばかりやらされる俳優さん

でして『エルム街の悪夢2』では全裸でフレディに殺されるボンデージホモ教師とか

『トータル・リコール』だとクアトーの二人羽織り

とか、本作でも最終的に相当イジられてますし

ご苦労様ですよねw

巨乳を揺らして奮闘するジェイミー・リー・カーティスは安定の存在感。体当たりなのかカネが無くて破れかぶれなのか分からないけどドイヒーな容姿を晒す大御所のドナルド・サザーランド。

死してなお悪態をつく様はさすが大物の貫禄

ですよ。

知的生命体なのに爆弾の隠し場所は

分からないのな(笑)
全体的に既視感を覚えるんですよね。

『ゴースト血のシャワー』『クラス・オブ・1999』

『ザ・デプス』『リバイアサン』『ザ・グリード』

『ハードウェア』数えだしたらキリがありません…。豪快な爆破シーンや人物描写が丁寧で

非常に楽しめる作品ではあります!

【2017年4月3日(月)】

午後のロードショー(2016年9月15日(木)放送)の

録画で鑑賞。※初見は00年代にTV放映で。

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    『殺人魚獣ヘビッシュ』

     <2014年/アメリカ>

遺伝子操作された水陸両用の殺人雷魚

ヘビッシュ(なんだこのネーミングw)が

沼地に逃げ込み住民を食い散らかす

お決まりパターンな安っぽいCG全開の

モンスターパニック映画。

ヘビッシュの見た目はブ男だけど、鱗や卵が

シャボン玉の構造色系なカラーで実に美しい。

アンコウ鍋の要領で捌いて食べたら美味しいかも?ドス黒い鳴き声を発するんだけど、

まるで郷里大輔(ドラゴンボールのシェンロン)

みたいで笑ってしまう。まぁこのブサイク魚より

何より一番恐ろしく逞しいのはお婆ちゃん

でしたけどな~♪

襲われるというよりは自ら身を捧げに行くような

死に方をする連中ばかりで、TVムービーの

レイティングからなのかブシャー!っと

血飛沫カットを入れてハイお仕舞いなパターンがすっごくいい加減だけど、醜い仲間割れが

起きたり無理くりブードゥー教を持ち出したりと

工夫を凝らしているのは好印象ですね。

ハッピーハッピーな雰囲気で〆るのも

ファミリー層向けでとても和みます(え?)

【2017年4月4日(火)】
午後のロードショー<2016年6月13日(月)>
地上波初放送の録画で鑑賞。

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        『セルラー』

     <2004年/アメリカ>

  

監禁された女性からの電話を受けた見ず知らずの青年が彼女を救出するため携帯電話のみを

手掛かりに事件の真相を突き止める

ハイテンションなクライムサスペンス。

監禁というワードにどんより暗い話なのかと

思ってたら、1本の電話をまるでリレーのように

繋いでいく疾走感が実に見事で一切無駄がなく

最後までダレない面白さでした。

キム・ベイシンガーがなんかシュッとしてて

綺麗だし、機械いじりが出来ていざという時には

殺しも止む無しな肝っ玉お母さん役が素敵でしたね。クリス・エヴァンスはチャラ男なんだけど、

事件に巻き込まれ尻に火が付いた途端、

内に秘めた男らしさが開花し出来るイケメンへと

変身するのも見所の一つですな。

「ファイナル・デスティネーション」のデビッド・R・エリス監督が得意とするカーアクションと伏線の張り巡らせ方など犯罪版ファイナルデッドっぽい筋書きの上手さが良く出ていると思います。

ジェシカ宅で犯人たちが見ているTVに

「デッドコースター」の交通事故シーンがちらりと

映る小ネタが嬉しいじゃないですか~。

悪役のジェイソン・ステイサムは珍しいけど、

やっぱ抜きん出たオーラを放っていてアクション

俳優の片鱗を感じるのはさすがですよね。

巡査役のウィリアム・H・メイシーはのんびりして

そうだけど勘が鋭く本気モードに入ってからの

立ち回りがカッコ良すぎ!

携帯ショップに押し入る場面とか西海岸の桟橋

からアレな感じとか「フォーリング・ダウン」っぽいシーンもあるけど、着信履歴が50件登録されるのを売りにされても今見ると困っちゃうよねw 

題名負けしない「携帯電話」が主役の傑作異色

サスペンス!

【2017年4月5日(水)】午後のロードショー
<2016年9月2日(金)放送>の録画で鑑賞。

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        『レオン』

  <1994年/フランス、アメリカ>

凄腕の殺し屋レオンと孤独に押し潰されそうな

少女マチルダの歳の差を超えた愛の弾丸が

炸裂するラブストーリー。

スナイパーとして身を潜め生きる価値を見失ってしまった中年と、両親に虐待を受け厄介者として扱われ居場所がないマチルダが同じアパートで少しずつ互いを理解し合う恋愛物なんだけど素敵な意味での凸凹バディ感に胸が熱くなりますね。

何を着させても様になるナタリー・ポートマン。

ダボダボのMA-1を羽織る姿は公開当時話題になりました。ジャン・レノを知ったのもこの作品が初めて。

変装ごっこやピンポンガムぺったんゲームとか、

これまで笑う事が少なかった日常生活に花が

咲いたようにはしゃぎまくる二人が微笑ましい。

ミルクが好物のレオン。学はないけど勘は鋭く

人情深い。人を殺める事しか生きる道がなかった彼をおしゃまなマチルダが誘惑する。

ちょっと危険な香りがするけど、なんかいいよね

孤独なオジサンと少女のカップルって。

気が狂い過ぎてて刑事には見えないゲイリー・オールドマンの仕草が腹立つくらいカッコ良くて、

あの薬の飲み方とか真似したくなっちゃう(笑)

レオンはマチルダに生きる勇気と希望を与えてくれたんだね。華麗なアコーディオンの音色も印象的。ニューヨークがリュック・ベッソン色に染められる名作中の名作!!

【2017年4月6日(木)】
午後のロードショー<2016年6月30日(木)>
放送の録画で鑑賞(完全版ベースの編集)。
※初見は1996年11月17日、
日曜洋画劇場のTV初放映で(オリジナル版)

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     『ジャッカルの日』

  <1973年/イギリス、フランス>

ド・ゴール大統領暗殺に雇われた凄腕の

スナイパー。コードネームは"ジャッカル"。

寡黙で心が読めないニヒルな役柄を

エドワード・フォックスが好演しています。

特注ライフルがストローみたいに細っこくて、

これを筒に仕舞ったり車のシャーシに忍ばせたりと偽装工作が冴え渡っているのが本作の醍醐味。

派手なアクションシーンがある訳ではないのに、

じわりじわりと物語に吸い寄せられる展開は70年代ならではの重みが出ていて本当に素晴らしいです。変装技術はあのジェームズ・ボンドをも軽く凌ぐ腕前で、見事「別人」に成り気るジャッカル。

車の塗装にスプレーガンを用いる場面でバッテリーから電力引っ張って来る所が妙にリアリティがあるし、ライフルの試し撃ちで念入りにスコープの調整をし、ダムダム弾が炸裂するまでの流れはニヤニヤが止まりませんでした。

音楽があまり流れないのもドキュメンタリータッチな印象を与えるのに一役買っていると思います。サウナに立ち寄ってゲイの客についていく所とか仕事のためなら手段を選ばない殺し屋ジャッカル渋すぎます。
今回見たTV放送は93分。オリジナルは143分あるそうなので相当削られていますが、ちょっと分かりにくい箇所がありましたけどテンポは良くて「そう来るか!」な結末に大満足。シトロエンとかアルファロメオなどの名車がばりばり出てきてハリウッド作品とはひと味違うマットな映像感覚にウットリ。

【2017年4月7日(金)】午後のロードショー
<2017年2月10日(金)>放送の録画で鑑賞。
◆エドワード・フォックス(ジャッカル)野沢那智
◆ミシェル・ロンズデール(ルベル警視)稲垣隆史

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     『コロンビアーナ』

  <2011年/アメリカ、フランス>

マフィアに家族を殺された少女が大人に成長し、敵討ちをするため暗殺者としての道を歩む

ゾーイ・サルダナのしなやかな身のこなしと計算

され尽くした殺しのテクが冴え渡るフランス製作のアクション作品。

幼少期のカトレアが忍者のように壁を伝い下水道を潜り証拠品を持ち出すアクロバティックなシークエンスはちょっと唐突過ぎて驚いてしまうけど、もっと驚くのがテーブル嘔吐。ホラーより気持ち悪いです。お食事中に見ない方がいいですw 

留置場でのカラクリも本当に綿密に練られていて気持ちいいですが、全身タイツ姿は「燃えよドラゴン」のブルース・リーのようであり、キャットウーマン風にも感じられ、個人的に「アバター」のイメージしかないゾーイ・サルダナですけど、空気のようにダクトをすり抜ける軽快なスタイルに見惚れてしまいました。あと演技が達者じゃないと仕事にならないんですよね殺し屋さんは!

この手の題材は恋人がいると必ず足が付く。写真から身元判明までの流れは都合が良すぎると思うなあ。マシンガン乱射に爆破の連続とマーシャルアーツまで炸裂したりダークヒロイン的な要素もあって痺れます。

殺し屋も学がなくては命の危険にさらされる。

勉学を優先させた叔父とのやりとり(知らん車に八つ当たりw)とか復讐は復讐を呼び何も残らない

虚しさとか孤独を背負って生きていくカトレアの

行く末が切ない…。

【2017年4月8日(土)】午後のロードショー
<2016年6月9日(木)>放送の録画で鑑賞。
※地上波初放送

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      『野獣捜査線』

     <1985年/アメリカ>

シカゴ市警の寡黙な刑事キューサックが麻薬密売組織に真っ向から戦いを挑む80年代のライトなノリが懐かしい犯罪アクション。

黒のスタジャンに太腿が筋肉でパンパンなジーンズ姿がキマりすぎている本物の格闘家チャック・ノリス大先生が、プロウラーという護衛用ロボットと共にマフィアのアジトへ殴り込みを駆ける熱いアクションシーン。全く役に立たないロボットとかギャングの井出達が「ロボコップ」に影響を与えているよーな?ダン・ウェッソン715で悪党をガンガン撃ち殺し、控えめながら得意のカラテも披露。悪党専門家?なヘンリー・シルヴァはあまり目立った活躍しなかったけど、足を怪我したデニス・ファリーナは健闘していましたね。

最大の見せ場はシカゴ高架鉄道で繰り広げられる追跡劇。実際に走行中の電車へよじ登ってノースタントで演じるチャック先生さすがのプロ根性!夜間のカーアクションも迫力満点だし、警官の溜まり場になっているバーに何を血迷ったか強盗へ入るチンピラに一斉に銃口が向けられるユーモラスなくだりとか楽しくてしょうがないです。あと中華風な音色でキョンシーか出てきそうなサントラが癖になりそう(笑)

捜査中の誤射により隠蔽工作を図った刑事の不正が許せず悩みを打ち明ける新人くんの話を親身になって聞いてあげるキューサック。最後まで信念を貫き通した挙句、同僚から爪弾きにされながらも単身巨大な悪に立ち向かう重量級のアクションは見ていて爽快。市民がいとも簡単にマシンガンで蜂の巣にされるのはなかなか強烈だった(汗)

【2017年4月8日(土)】ムービープラス
<2016年12月8日(木)放送>の録画で鑑賞。

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    『GODZILLA/ゴジラ』

     <1998年/アメリカ>

ハリウッド版ゴジラ。

怪獣というより恐竜に近いフォルム。

俊敏な動きでNYのビル群をすいすい走り抜ける

ゴジラをアパッチやF18が追撃する場面は破壊王エメリッヒ節が炸裂していて非常に盛り上がる。

チビゴジラの大群とか『ジュラシックパーク』の

二番煎じで全くヤル気が感じられないけど、

本家ゴジラがファミリー層をターゲットにした

軽いノリのパターンの時と似たようなものですかね(笑)

主要キャラの存在感がペラすぎるのと、悪意を

持って攻撃してこないゴジラを一方的に痛めつけ、メリケンの嫌らしさが滲み出るラストの胸糞悪さ。隠しアイテムにジャワカレーとインデペンデンス・デイのVHSが出てきます。

市長のモデルが思いっきり映画評論家の

ロジャー・エバートで笑った。

恐竜パニック映画として見れば腹も立つまい…。

【2017年4月9日(日)】午後のロードショー
<2016年8月1日(月)放送>の録画で鑑賞。

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     『テキサスSWAT』

     <1983年/アメリカ>

一匹狼のテキサスレンジャーが武器密輸組織を壊滅させる勧善懲悪、現代の西部劇タッチな土埃舞い上がる男のロマン。散らかり放題な家に狼と共に暮らすマックエード。スーパーチャージャー

搭載の愛車ダッジトラックは差し詰め鉄の馬と

言ったところか。彼に懐いて離れない相棒のケイヨも良い味出てます。しかもちゃんと戦力になる頼もしいメキシコ野郎だ。

ヤクの売人を追跡する際、暴走するピックアップトラックに掴まって自ら捨て身のスタントを演じるチャック大先生はやはり本物のアクションスターですね!この売人を演じてるのは「ブレードランナー」でJ.F.セバスチャンをやったウィリアム・サンダーソン。いつもの屑っぷりが板に付いていて初っ端で死なないのがすぐ分かりました(笑)

離縁した妻に「悪魔の赤ちゃん」のシャロン・ファレル。娘には「13日の金曜日PART3」でヒロインのクリスを熱演したダナ・キンメル(えらいキュート!)。気が付かなかったですが、スタント担当と脇役で

ジェイソンの中の人ケイン・ホッダーが出ているとは何という偶然の一致!
ジャンル映画ファンにはお馴染みの顔ばかり揃っているのも見応えがあります。R.G.アームストロング(デビルスピーク、プレデター)、バーバラ・カレラ(ドクターモローの島)、そしてジョン・キャラダイン(燃えよカンフー)。

チャック先生とキャラダインの真剣勝負は双方ともに武術の達人であることがリアリティを倍増させています。バズーカやMAC10でのドンパチにブルドーザーまで引っ張り出してくるハチャメチャ加減が大らかな80年代らしくて見ていて妙に落ち着きますよ。手首を怪我したマックエードがマグナムの反動に痛みを覚える場面とか頭からビールを浴びて闘魂注入するディティールの細かさ。フランチェスコ・デ・マージの思いっきり西部劇なサントラも素晴らしいし、OP&EDに出てくる狼の姿もグッと来る。

【2017年4月10日(月)】ムービープラス
<2016年12月4日(日)放送>の録画で鑑賞。

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       『アウトロー』

     <2012年/アメリカ>

頭脳明晰で洞察力の鋭い元軍人ジャック・リーチャーと弁護士ヘレンが狙撃事件の真相を突き止めようと暗中模索している内に危険な陰謀の影が動き出す…。

控えめなトム・クルーズが、腹に響くような重低音エンジンのコルベットのステアリングを自ら握るド迫力のカーチェイスが最大の見せ場。

無人で流れるコルベット。
バス停の列に紛れ、そ知らぬフリをするジャック。
空気の読める黒人さんがそっと野球帽を差し出し彼をかばう。そこからのニンマリ笑顔な二人がもの凄い和やかな空気を醸し出していて堪らんのですよ(笑)

上半身裸のトムクルに顔を赤らめるロザムンド・パイク。「眠りたいから」を誤解し、はにかむロザムンドが超絶可愛くてもう彼女のファンは鼻血が出ますよ。それと結構おっぱい大きいんですね。。
肝の据わった悪玉を演じるヴェルナー・ヘルツォーク監督がまた上手くてね。それを軽く出し抜くのがガンショップ店主で元海兵隊のロバート・デュバル。座頭市撃ちでトムクルの存在感をゼロにさせるナイス爺さん。

全体的に平坦な作りだけど、間抜けなチンピラの自作自演とか笑いの要素をぽつぽつ入れたりする異色のアクションミステリーに仕上がっています。邦題の『アウトロー』はイーストウッド版があるんだからどうにかして欲しかった。劇中に一度もアウトローなんて台詞は出てこないし、続編はジャック・リーチャーだし。エンタメにしては主役が大人しすぎて少し退屈。

【2017年4月11日(火)】BSプレミアム
<2016年6月10日(金)放送>の録画で鑑賞。
※初見は2013年2月1日(月)
公開初日にシネプレックス平塚で

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   『トリプルヘッド・ジョーズ』

     <2015年/アメリカ>

海洋汚染の影響で海の生物に異変が。

バカでかい三つ頭のサメが飛んで跳ねて

「自然を破壊する愚かな人間は食い散らかしてやらぁ!」とは言ってないですが、気持ちいいように四肢が千切れ飛んで、肉魂ゴロゴロの地獄絵図が広がるバカに出来ないモンスターパニックの佳作!

天下のCG依存体質なアサイラム製作だけど、今作は出し惜しみせずスピーディーな展開と思いっきりノータリンな演出で腹抱えて笑えるマトモな仕上がりに。ゴミを食べると強くなるって発想が地球に優しいエコシャークじゃないw んでもって地球のクズ虫な人間どもを始末してくれるんだから救世主ですよ。飛び上がり着地した地点に偶然3人立ちすくんでいるやつらをパクリと食べちゃうご都合展開。

中性的な顔立ちで胸の大きな博士をやってたジーナ・シムズがド美人で見惚れてしまいました(汗)

でもいきなり退場するなんて勿体ない扱い方…。アサイラムにしてはドブス少な目で水着のネェちゃんわんさか出てくるし目の保養になること請け合い。パンチラ見て元気出して(笑)

幾らカネを積まれて出演快諾したのか知らないけど、あのメキシカンあばたおっさんダニー・トレホが「マチェーテ」のスピンオフを思わせる大立ち回りを繰り広げるからさぁアドレナリンが大量放出しちゃって大変!ライフルが役に立たないのに大鉈で斬首するってえらい別府待遇ですな。

本家ジョーズからのオマージュもあるんだけど、傾いた船尾で落ちてくる人間を待ち構えるジョーズがまるでピンボールマシンのような雰囲気。どの口に入るかな~ってニヤニヤしてると背中にオノ突き刺してサメサーフィンを披露する出オチ兄ちゃんとかもうホントサービス精神旺盛で満腹満足。低予算なビジュアルをカバーする壮大なオーケストラも素晴らしい。

キングギドラの如く三つの頭を持つ異形のサメ。デザイン的に画面映えするからアニマトロニクスで製作し、もちっと真面目な作品を作ればいいのにとあれこれ想像すると興奮が収まらないB+級な痛快作。お前先に逃げろじゃねぇよ。余裕ブッこいてるとピッコロ大魔王みたいに性質の悪いトリプルヘッド君にズタズタにされっぞ!!

【2017年4月12日(水)】午後のロードショー
<2016年7月7日(木)>放送の録画で鑑賞。

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 『ヒストリー・オブ・バイオレンス』

   <2005年/アメリカ、カナダ>

ある事件がきっかけで主人公トムの内に秘めた

暴力性が目覚めるクローネンバーグ監督が

長年追及してきた知られざる内面の不安、もう一人の自分を抑制し生活する苦しみを登場人物らの見事な演技合戦でジリジリ見せていく異色サスペンス。

ヴィゴ・モーテンセンが色男すぎて目が眩みそう。トレードマークのケツ顎。階段でのセックスシーンでお尻全開になるけど、これまた見事に引き締まった顎そっくりなセクシーヒップを披露してくれます。殺し屋をテーマにした作品は数あれど過去を封印していた者の怒りのスイッチがONになった瞬間、別人格のように冷静沈着な殺人を犯してしまう衝動性に驚かされました。とにかくアクションヒーローより強く、踊るような華麗な身のこなしで傷口をほじくり返そうと寄って来る奴らを瞬殺していく殺陣にウットリ。

学校でイジメられていた息子がキレて悪友をボコボコにしたり、何の躊躇いもなくショットガンの引き金を引く父譲りの冷酷さが一番悲しかった。血は水よりも濃し。しかし「悪」が遺伝するのはやり切れない。夫の裏の顔を知ってしまった妻が家族として再び受け入れようとするラスト。ヴィゴの目に涙が溢れるクローズアップ。平穏な生活に戻れるのかどうか・・・身内より家族。深いテーマだ。

外国映画でセミの鳴き声が聞こえてくるオープニング珍しいですね。なにか不吉な前兆のようで不穏な空気を感じさせます。

【2017年4月13日(木)】午後のロードショー
<2016年9月27日(火)放送>の録画で鑑賞。

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 『キングコング 髑髏島の巨神』

     <2017年/アメリカ>

これ程までに凛々しく生き生きとしたコングは見た事がない!髑髏島で生活する巨大怪獣たちは愛らしい子もいれば気味の悪いヤツもいて胸躍りました。この地球上には前人未踏のエリアもあるであろう。パンドラの箱を開けるかの如くそこへ立ち入ってしまった人間たちの脱出劇と戦時中の兵士のモノローグを交えて展開させるとはファンタジックさの中にもリアリティが溢れており映画の世界へ没頭してしまう事請け合い。

夕陽をバックに悠々たるシルエットを浮かべる巨神コングと「地獄の黙示録」をオマージュした世界観。ヘリの編隊を蚊を潰すかの如くいとも簡単に破壊するカタルシスぎんぎんのアクションシーン。怪獣映画と戦争映画を見事マッチングさせた製作陣の熱意と愛情が滲み出た本家に恥じないリメイク。全編VFXで描かれる巨大生物に一抹の不安を覚えましたが、そんな事など本編開始3分で吹き飛ぶ出し惜しみないストレートな展開に眠気も吹き飛びます。携帯用レコードプレーヤーとか70年代のロックミュージックに乗ってカメラマンのブリー・ラーソンが好奇心旺盛にシャッターを切る姿やライカにフィルムを装填するシーンをわざわざ入れるところに昭和生まれの自分は懐かしさで目頭が熱くなりましたね。

凶悪なスカル・クローラー相手にメガトンパンチや絞め技にスクリューアッパーをキメるコング兄貴。強いだけじゃない、危害を加えない人間や島に住む仲間を思い遣るジェントルマンな彼はなかなかのイケメンさん。ベトナム戦争が終結してなお、争い事に躍起になるサミュエル・L・ジャクソンの傲慢さ、執念深さが通例のサミュエルあるあるネタに繋がる所も上手く狙ってきやがりました(笑)「不名誉より死を…」→黙れ!の流れw 腕が千切れたり、刺さったり死体がゴロゴロとPG12指定ではあるけれど、ホラーマニアが歓喜するグロ場面も出てくるので免疫のない人は要注意かも…。

キング・オブ・モンスターの称号を得たキングコング。そこからの伏線がなんと素晴らしい事か!ラストはグッと来ますね。(人間ドラマも)無益な暴力は何の解決にもならない所か人生を滅茶苦茶にしてしまいます。コングは島が穏やかであるよう見守り続ける最後の希望。いつの日も平和であり続けたい。そんなテーマが込められた素晴らしい大傑作に鳥肌が立ちました。まぁタコのような物を食べたくなりますわな~♪

【2017年4月14日(金)】

TOHOシネマズ海老名で鑑賞。
※日本語吹替版

トム・ヒドルストン(GACKT)
ブリー・ラーソン(佐々木希)

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   『ゴジラ FINAL WARS』

     <2004年/東宝>

地球防衛軍が少しカッコ良く見えるのは冒頭だけで、ゴジラまで下手な芝居を打つもんだからどうにも開いた口が塞がらない落ちぶれたミレニアム最終作。

X星人がまるで「ヘルレイザー」のセノバイトのような衣装に身を包んでいるし、伊武雅刀がピンヘッドに見える(笑)北村一輝の奇声と濃ゆい顔に飽き飽きしてたら、松岡くんとケイン・コスギの横スクロールなバイクアクションが飛び込んできて大爆笑。

怪獣は沢山登場するし、着ぐるみのクオリティも素晴らしいのに全然画面映えしない金をドブに捨てるような下手っぴな脚本。プログレ界の巨匠キース・エマーソンを招いても、2~3曲しか使わないなんて無礼すぎるだろ!

子供向けの茶番もまだ昭和ゴジラの方が楽しめました。一番強かったの轟天号のマイク・ハガー(ファイナル・ファイトの)みたいな船長だけじゃないか。光線ビュンビュン撃ちまくって、瞬きしないから人間じゃないって言われても大変でしたねとしか思えず、まったく人を馬鹿にしたような安直な作りで睡魔に襲われ参りました…。

【2017年4月16日(日)】午後のロードショー
<2016年8月3日(水)放送>の録画で鑑賞。

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    『快楽殺人トリプル5』

     <1988年/アメリカ>

カップルばかりを狙うヒッピー風の殺人鬼を追う

減らず口を叩いてばかりの阿保デカとブンヤの

ドブス婆がのーんびり世間話してるだけの低予算スラッシャーホラー。

アベックの男を殺害後、女を縛りあげジワジワ刺し殺したのち死姦を楽しむ花柄模様のシャツを着た殺人鬼。斬首や腹部抉りとか特典のフォトギャラリーで見ると丁寧な特殊造型なのに、ビデオ撮りのシャギーでソフトな質感のため全くディティールが潰れてしまっているトホホ徒労感がヤバいです。Hi-FiのプチノイズがDVDで聞こえてくるのは妙な気分になりますねぇ。コレVHSでも発売してるので、先にVHS買った人は状態悪いなーって思うかも?

愛用のナイフが蛇の舌みたいな形状。それを丹念に研ぐハァハァと息の荒い犯人。Rが付いてるナイフはとっても研ぎ難そうでイライラする。殺りたいのとヤリたいのが合体した一石二鳥な犯行。第一発見者や犯行現場に居合せた人物を安直に容疑者へ仕立て上げる頭の巡りの悪い刑事たち。何を勘違いしているのかブスの癖に色目を使って情報を聞き出そうとする婆の胸元に顔を埋めるジジイ。ホント質感が80年代のポルノ映画のかったるいドラマパートみたいで、給食後の20分休みのようなノンビリ感が嬉し悲しw

ほとんど景色が変わらず、警察署も犯行現場も同じ場所で撮ってるんじゃないかと思うほど変わり映えしないヴィジュアル。血糊をぶちまけて、吐血させれば一丁前なゴアシーンを演出できますよね。チープ過ぎるけど監督のやりたい事は何となく伝わってきます。音楽担当のフランキー・ハリウッド・ロドリゲスってすげえ語感だな(笑)

【2017年4月17日(月)】
HIGH BURN VIDEOから発売中のDVDで鑑賞。