
ニコラウスは、
久しぶりに
地上に降臨することにした。
神の国から観る地上の恵まれない世界に、
聖人として、
再び仕事をしなければ、と思ったからだ。
かといって、
ニコラウスはキリストではない。
全てを救済できる奇跡の力はないが、
隣人を愛する力を持っている。
今回は、
8歳から一人で両親の介護をしている
32歳の青年のところに降臨した。
【一人目の精霊 ― ポリースメンズ ー 】ニコラウスは、
青年が疲れ切って
嘆きながら眠りにつく頃、
認知症で一晩中、
怒鳴り続けている彼の父と母の横に降り立った。
「どうか、紳士、ご婦人、怒りを治めて下さい。」
ニコラウスはそう告げた。
認知症から来る幻覚と相まって、
母の方は110番通報した。
そしてポリースメンたちがやってきて、
東洋人の顔をしていないニコラウスは、
不審者、家宅侵入の嫌疑で、
管轄の警察署に手錠と腰縄をされ、
逮捕されてしまった。
「ワレ、警察なめとんちゃうぞ!モノトリやろ!闇バイトか!」
「どうか、紳士、怒りを治めて下さい。」
「何ぬかしとんねん、何日でも拘留したるぞ
(実はできないが脅しで警察は使う)
モノトリと言え!はい!じゃ!クソがぁ!」
「いえ、決してそのようなモノでは!」
「じゃあ、ハイと言ったら帰してやるわ。」
「そうですか。
『はい。』」
「よし認めたな。」
そして、デタラメな作文が始まった。
「私は空腹と寒さのため、◎◎宅に侵入し、冷蔵庫にあった・・・」
「OH MY GOD!」
【二人目の精霊 ― 検察・副検事 ー 】 「あなたみたいな人を私は何人も観てきた。
罪を軽くしようと、
外国人を盾に、罪を軽減しようとしている。
知らなかったと。」
「何を言っているのでしょう。
私はヒトの苦痛を和らげるため、ここにいます。」
「検察なめんなよ!
こっちはヒトの命預かって仕事しとるんじゃ!
お前、警察で認めたやろ!」
そして、デタラメな作文が始まった。
【三人目の精霊 ― 裁判官 ― 】「わたしは、あなたみたいな人を何人もみてきた。」
「だから違います!」
「それはどうかな。じゃあ、座って弁護人と検察のやりとり観てて」
(定番のやり取りと定型文)
「では、判決を言い渡す。
家宅侵入罪で懲役1年、ただし、初犯ということを考えて執行猶予1年を言い渡す。」
その瞬間、
ニコラウスは、ここまで人を信じられない世界になっていることを
神に報告するため、
また昇天した。

「賊が逃げたぞ!」
もう、1000年は降臨しなくていいんじゃない?
そう、イエスに言われたニコラウスは、
「そうですね。」と笑い、
クリスマスが商戦になっている世界を
神の国から嘆きつつ、見下ろしている。

まさに
今日。