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夢想家 683 ky ネズラー通信(C) 山本京嗣

シャーペンB。



『そんなことをするなんて!
 アキナはうちの子じゃありませんっ!』


おかあさんが怒る。

わたしが
妹の大切にしていた
アーモンドチョコの
チョコレートだけ、
食べて、
冷蔵庫に戻しておいたからだ。

割合的には、
妹の方が多く食べることが出来る。
妹想いなのに・・・


妹は
小さな箱に詰まった
アーモンドの行列を観て、
驚いて
泣いてしまったようだ。


わたしも負けない。


そもそも
あのお菓子は
二人で一つのものであって、
わたしは
チョコレートという部分を
舐めとっただけだからだ。

おかあさんは理不尽である。

そんなことで
「うちの子ではない」なんて。



わたしは
家出することにした。

わたしは本が読めるので、
おとうさんの部屋で
おとうさんの趣味、
「山と川と渓谷と」を読んで、

ビバークというものに
何が必要か知っている。


わたしはこの家の二階の押入れから、
天井裏に行けることを知っている。


わたしは
すばやく
フロッグ・コーンフレーク、
おとうさんのアルミシート、
水と父が持っている簡易浄化装置を
天井裏に集めた。

ついでに、
「山と川と渓谷」との特集号


「これだけは守ろう、
 山での緊急避難について」

という雑誌を一冊持って、

食料の残り、
水の使い方、
眠るときの注意点を
繰り返し読みつつ、

はや、
3日が過ぎた。


次の日に、
お巡りさんが来たようだ。

ふふふ・・・
食料は確保している。

夢想家 683-1 ky ネズラー通信(C)




わたしの7日間戦争が始まった。

おとうさんがよく歌っていた。

♪セブンデイズうぉー たたかううぉー

よく意味は知らないけれど、
多分、
そういうことだろう。





(こんな出だしはどうだろう?)