夢想家 680。 | ネズラー通信編集部のブログ

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シャーペンB。







太郎は
「ほじね犬」と
今では近所の子供に呼ばれているのだが、

実のところ、
世界中で愛される
英語では「GGREAT DOG」と呼ばれるほど

聡明な秋田犬である。


夢想家 680 ky ネズラー通信(C) 山本京嗣




実際、
太郎の血統は見事で、

曾祖父の代までは
マタギの相方として、
名を馳せた。

悲しい戦争時代も、
太郎の先祖たちは
身勝手なヒトの友人でいた。


門戸を開けると
太郎がこっちを見ている。

夢想家 680-1 ky ネズラー通信(C)




『やれやれ、
 またアイスか。』

以前、
私が
コリコリクンを食べていると、
飛びかかってきて、
うっかり落としてしまった。

何せ、
太郎はデカいのだ。

すると
太郎は
玄関先に落ちたコリコリクンを
一口で食べて、
赤御影の玄関を舐めている。

うーん。
犬には身体に悪いだろう。
でも、
太郎くらい大きくて、
本人が好んでいるのなら、
今回は目を瞑るか・・・

その今回が
何度も続いてしまっているところに、
私の甘さがある。



確かに
太郎は秋田犬なんだけれど、

私の家に同居している
アキナという猫に、
これは妻が拾ってきた猫なんだけれど、
自分の家を乗っ取られているし、

この辺りは
野鳥が多いのだが、

太郎は野鳥が
ギャーギャーと喚きながら
飛んでくると、

黙って、
壁に背中を向けて、
尻尾を下げている。


まあ、いい。

ただ
散歩のときには気を付けないといけない。

大型犬用のハーネスを着けているのだが、
メス犬を観ると、
ホント、
こちらが恥ずかしくなるくらい
口から
はぁはぁ言いながら涎を垂らし、

励もうとする。

私は
ドッグトレーナーもしていたし、
大学で
哲学の授業も持っているので、
余計に恥ずかしい。


(あそこのお嬢さんは
 お紅茶の水に行かれたらしいけれど、
 まあ、
 あの先生は犬に対しては
 全く教育が出来ないようね。)


近所の奥さんに
そう言われている、

先日
食事のとき妻に言われた。


うーん、

太郎の顔を見る。

愛らしい。

私をすごく好きなのが伝わってくるし、
私も太郎が大好きなのだが、


『太郎、
 もう少し、
 犬っぽくならないか?』


太郎に呟いてみた。

それが
私の身勝手な太郎への期待だとしても。





(つづく)