シャーペンB。【ミッキー・ノラ先生の日常。】偉人には
逸話がつきものである。
アインシュタインが家族に冷たい人間だった、
など
マイナスな側面は
あまり後世に残らない。
でも
そのヒトは人間だから、
失敗もするし、
後世から観て、
酷い人間だなぁ、と思う部分も持っていて当然だと思う。
そんな完璧なヒトはいないのだ。
さて、
ミッキー・ノラの逸話は多々あり、
やはり
家族をないがしろにしてまで、
フンコロガシを大切にしたバランス感覚がトチ狂った
「異人」であったことは間違いない。
『もう、今日こそミッキー、
あなたには飽き飽きだわっ!』
『まあまあまあ。』
(飛ぶお皿。割れる音。)
『どうして
給与の半分以上も
フンコロガシのフンや餌に使っているの!
こうなりゃ、
離婚しましょ!
あなたには付き合いきれないわっ!』
『・・・』
『何、黙っているのよ!あなたもフンコロガシなのっ!』
『いやね、
アルマヴィーヴァ伯爵んところの
髪結いのアントワーヌがさ
相談所しているから、
そこまで言うなら行かないか。』
『・・・いいでしょう。』
そして、
二人は当時の相談所であり、
病院であり、
理髪店でもあったアントワーヌの店を訪ねた。
『どうされましたか?』
『うちの亭主がフンコロガシに夢中で、
家庭を顧みないのです。』
『ご主人、あれ?ミッキー・ノラ先生?』
『ああん、俺はフンコロガシだ。』
『いやいや、ここはふざけないで、
奥様が悩んでいらっしゃいます。
私ですよ、
「今を転がせ」と先生に教えてもらった
アントワーヌです。』
(びっくりして顔をみるミッキー。
確かに自分の教え子の顔と名前が重なる。)
『ああ、
あのポエムばっかり書いていた
アントワーヌか。
どうしてアンナをみると心臓が痛むのだろうか、
これってK・O・I☆、とか書いていた!』
『先生、
そんな過去は今はいいんです。
奥様のおっしゃっていることは
ほんとですか?
家庭を顧みないなんて、
先生の「今を転がせ」という生き方と
違うじゃないですか。
今しか大切にできないから、
今を転がすんだ、って
先生は僕に教えた。』
『まあ、そうだけれどさ。
俺、フンコロガシ好きなんだよ。』
『そうなんです。
家の半分はフンコロガシに占拠されていますの。』
『先生、
奥様は世界にたった一人です。
フンコロガシはたくさんいる。』
『いやね、
フンコロガシは静かだろ?』
このように、
ミッキー・ノラは
自分の好きなことを
家庭を顧みないで
やってしまうダメなヒトであった。
(つづく)