青森駅 | 鼠帝国@アメブロ

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鼠は滅びぬ!何度でも蘇るさ…
※ブログ移転に伴う文字化け・リンク切れは適宜修正

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折角の北海道への修学旅行だというのに、少年は不機嫌だった。
青函トンネルは既に繋がったと聞いていたので、
列車で通れると楽しみにしていたのに、
旅のしおりには何故か青森駅で青函連絡船に乗り換えとあったからである。

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それが面白くなかった少年は腹いせに
青森行きの列車の中で、暗記した青森駅までの全駅名を
クラスメイトに得意気に披露するも、顰蹙を買っただけに終わり、
ますます気分を害した少年は青森駅で
演歌の一節のように無口で連絡船への桟橋を渡った。

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乗船中に甲板に出られれば少しは憂さも晴れただろうが、それも悪天候で叶わず、
小さな窓から海原に見えたイルカらしき影も慰めにはならなかった。

そんな理由で、少年はこの駅に良い印象を持てなかった。

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そんな忌まわしい旅行も、後に青函連絡船が廃止され、
少年の世代が最後の連絡船利用だったと知ると、
とても貴重な体験だったのだと気付かされた。

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苦々しい記憶も年月を経て、ワインの様に熟成され甘美なものとなる。
それを青森駅のそばで第二の人生を送る八甲田丸で暫し堪能。

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齢を重ねるのも悪い事ばかりでは無い。