江差駅 | 鼠帝国@アメブロ

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※ブログ移転に伴う文字化け・リンク切れは適宜修正

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「なあ…この汽車、何処行き?」
函館駅で目的地への列車に乗ろうとした青年に、
地元民であろう中年の男性が尋ねてきた。
(それが初対面の人にモノを聞く口の利き方か?!サボの字も読めないのか…)
と心の中で悪態をつきながらも行き先を告げると、
その男性は「えさしぃ?!」と少し驚いた様子で復唱した。
あの頃の江差線は本州への列車や木古内や上磯までの列車が大勢で、
江差行きの列車は少数だったので、そういう反応も不思議ではなかった。

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列車は函館駅を出発すると津軽海峡を臨む風光明媚な車窓を肴に、
青年らを乗せて終着駅へ向かって走る。

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木古内で津軽海峡線と別れ、列車は江差線の末端へと分け入り、終点を目指す。
やがて列車が当駅のホームに滑り込み、青年が降りようとデッキへ向かったら、
そこで若い乗務員と乗客が何かやり取りをしていた。
どうやら同業者と思しきこの若い旅人は、
所持してる18きっぷに日付を入れてくれと頼んでいた。
乗務員は、まだ乗務に就いて日が浅いらしく、
「えぇ?…どうしよう?…やった事ねぇよ…」と
小声で聞こえてきたのが微笑ましかった。

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あれから数年後、江差線の木古内-江差間は廃線となり、当駅も天寿を全うした。
あの若い乗務員と旅人は、今でも鉄路を巡っているだろうか?
再び訪れた北の大地で汽車に揺られていたら、ふと、そんな想いが浮かんだ。

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